紙の本
栗本薫/中島梓展のカタログのように
2011/01/29 19:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
2011年7月2日~9月26日、東京・弥生美術館で開催された『栗本薫/中島梓展』の企画担当者であろう同美術館の学芸員・堀江あき子氏が編者となっているこの本ですから、言ってみれば同展のカタログみたいなものと思えばいいのでしょうか。
ちなみに、私は東京在住でもないので、同展は見に行っていないどころか、東京に弥生美術館なるものがあることすら知りませんでした。この本の[編者紹介]を見ると、堀江氏が企画した同美術館の展覧会は『少年倶楽部』とか江戸川乱歩とか南洋一郎とか武部本一郎をてーまにしたものがあるそうなので、その流れで栗本薫/中島梓というのもありかな、とは思いますが。
本の帯には「永久保存版」となっていますが、栗本/中島ファンからすれば内容自体に目新しいものはなく、栗本/中島の主に文章となっている創作活動がまんべんなく網羅されている感じです。
構成としては、
第1章 永遠に終わらない物語-グイン・サーガ
第2章 栗本薫 青春記
第3章 元祖・ボーイズラブの世界-耽美系『JUNE』作品を中心に
第4章 稀代のストーリーテラー-栗本薫の世界
第5章 栗本薫が愛した世界
となっていますから、見る人が見ればわかる内容でしょう。
川出書房新社の「らんぷの本」シリーズの1冊として刊行されていることの良い点は、栗本の創作の一端を伺わせる直筆ノートなどの写真が収められていることでしょう。子どもの頃のマンガやマンガ創作のためのノート、その他の創作ノートや書斎の写真を見ているだけでファンとしては満足できるのではないでしょうか。
と、栗本/中島の作品群を改めて見直してみると、晩年はがんと闘いながらのせいもあったにせよ、「グイン・サーガ」や一部の耽美系、伊集院大介シリーズだけでなく、もっともっと様々なジャンルの物語を書き続けてくれたら良かったなあと思います。初期の頃のSFや伝奇・時代小説のような作品をもっと読みたかったですし、中島梓名義の評論も示唆に富むものが多く今でも読み返したくなるものばかりです。
亡くなってもう2年近くになりますが、改めてご冥福を祈りたいと思います。
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亡くなってしまったのが
本当に残念だった作家の一人です。
もう、グイン・サーガは完結されない…
そう思うと残念な気持ちです。
それとなくなる前にせめて1冊は
読んでみたかったなぁ。
機会があったら全冊制覇してみたいな。
この著者の作品。
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2009年に他界した栗本薫/中島梓さんの全作品録
著者は弥生美術館の学芸員であり、弥生美術館は「稀代のストーリーテラー 栗本薫/中島梓 展」を開催した美術館である。本書は展覧会に合わせて刊行されている。
そのため、文章によって「栗本薫/中島梓」を語るというより、色々な資料を見せ、それについて解説を加えるといった美術館の展示と同じ手法をとっている。
本書は「栗本薫/中島梓」という人物を深く掘り下げると言うより、作品全般について光を当てどんな人物だったかを振り返るといった感じに仕上がっている。
「グイン・サーガ」のファンの一人としては、未完で終わった「グイン・サーガ」の最終巻「豹頭王の花嫁」に繋がる創作ノートのページを見ることができただけでも本書を買った甲斐があったと思う。
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弥生美術館学芸員の堀江あき子さんが編集したもの。
武部本一郎展を開催するために栗本薫の所蔵していた作品を借りたのがきっかけだという。
後に、栗本薫展を開催した際の資料をもとに出版したらしい。
貴重な絵や写真がふんだんにあり、
ながめるだけでもよい。
大作 グインサーガ
BL(ボーイズラブ)
伊集院大介などの推理小説
SF,随筆などなど
作品の幅が広い。
音楽演劇などを含めた芸術性と
BLにはじまりSFへも広がる文学性と
テレビ出演など人生を謳歌した人間性の
3つの軸で再編成してもらえるとありがたかった。
学芸員の方らしい、きまじめな整理になっている。
全体としては整理が散漫に感じるかもしれない。
特定の分野の愛好家には不満が残るかもしれない。
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読み応えかなり大!
ファンにはたまらないです!
じっくりじっくり読みたい!
そして、まだまだ読んでない小説いっぱい有るの、発覚!!
ヤバい!楽しみが増えてしまった!
グイン・サーガ、20巻ぐらいで挫折したんだよな…また、最初から挑戦しようかな??
いや、トワイライト・サーガから攻めるか?(すいません、未読です…)
あー、今だにワクワクさせてくれる栗本薫様、ありがとうです!
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作家栗本薫・評論家中島梓の活動をまとめた本です。
私は栗本作品は、グインサーガから入り、魔界水滸伝から伊集院大介と読み進めていったのですが、でもこうやって一連の活動を眺めてみると、私が知っているのは栗本薫の多くの才能のうち、ごく一部だけだったように思えます。
巻末の方に著作一覧が載っていて、428 冊がリストされています。私が持っているのは、詳しくは数えてませんが、300 冊くらいでしょうか。かなり頑張って読んだつもりですが、まだまだですね。
彼女の作家としての活動期間は 1978 年から 2009 年の 31 年間なので、年 13 冊以上、つまり、月 1 冊以上出版されていることになります。ホントにこの人は凄い人でしたね。
このリストには同人作品は含まれてないようなので、本当にすべての作品を合わせると何冊になるんでしょうか。オソロシイ。(@_@)
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膨大な活動からタイトル通りJuneとグインをメインに紹介。
一歩下がったような冷静な記述で総観しているが、所々で熱が噴出しているのが素敵。
巻末に著作一覧があるのも嬉しい。作品がこれからも多くの人に読まれますように。