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2件の殺人事件で無期懲役となり服役中である著者が、悪質・長期受刑者の収容される刑務所で過ごしながら記した死刑肯定論。
「ほとんどの殺人犯は反省しない」「悪党の楽園化している刑務所」「終身刑の欠陥」という話には、さすが現役の無期懲役囚だと思わず感心した。
被疑者・受刑者の人権ばかりがクローズアップされ、被害者・被害者家族の人権がとかく疎かになりがちな日本の司法制度にあって、死刑反対論に対する痛烈な批判(と皮肉)であると思う。自称人権派の人たちには是非一読をお勧めしたい。
久々に読む価値のある新書本であったと評価したい。
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現役受刑者による「死刑こそ人間的な刑罰である」という「超リアルな提言」と帯にある。
著者は無期懲役囚(死刑希望)の美達大和という人。勿論、仮名(ペンネームともいう)
ネットでは、もしかしたらこの著者は架空の人物ではないかとの意見もある。
二人を殺して無期懲役になったそうだけれど、その事件について語られていないので何を反省してどう謝罪を続けるのかの具体性が見えてこない。
本書で書かれていることは死刑を宣告された人はすべてが他者のせいであって運が悪かった、判決を下した裁判官への恨みなどでいっぱいで反省は全くないこと。執行猶予になってもすぐに舞い戻ってくることなどなど性悪説だ。
また、人権重視から刑務所内での暮らしは快適ー三食つき、規則正しい暮らし、医療・娯楽の充実で笑い声が絶えないことも描かれている。
全体的に抽象的で随所に海外の学者の説などが投入されているのも引いてしまう。
あるブログから一読の要があると書かれていたので読んでみたのだが期待はずれであった。
200ページほどの新書版なのにずいぶんと時間がかかってしまった。
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2件の事件で2人を殺害した無期懲役囚の筆者。ここでは冤罪があるから死刑廃止という議論はやめておく。大事なのは被害者の生命権。加害者の人権や、死刑囚にも人権があるというわりには、被害者の人権(生命権)と遺族の人権への配慮が欠けていると思われる死刑廃止論者。例えば、生きたままドラム缶に入れ灯油をかけて焼き殺した加害者が生きている事自体公平のなのか?何の過失もない人を1人、2人、3人・・・と冷酷に殺す加害者に死刑以外の刑罰が考えられるのか?殺害方法・動機によっては、法の正義を満たす為に、遺族の意志に拘らず、見合った刑罰を科さなければならない、それが死刑ではないか?
終身刑の話がでて来るが、社会に出る可能性が無い終身刑の受刑者は自暴自棄になるのは必至。どれだけ罪を重ねても死刑にはならないと言う事は、受刑者にとってやりたいようにやれ、と言っているのと同じ。それに職員に危害を加えるリスクも高い。
欧米では主流だからというが、そもそも宗教を背景とした死生観が違う。終身刑=思考停止、ただでさえ反省しない受刑者が己の罪に向き合って改善を促すことはないだろう。人権人権と叫ぶ人は社会復帰の希望のないまま長い間生きるということがどういう事なのか分かってるのだろうか?
非常にリアルな話で納得させられる内容。ただ、かなりの読書家と言う筆者だが、語彙も豊富で文章も上手い。本当に無期懲役囚なんだろうかと疑問・・・・
因みによく裁判で出る『つい、カッとなって・・・殺す気ではなくて・・・』という台詞。これは嘘だと。最初の一撃で殺意はなかっとしても、その一撃だけで死亡する被害者はほとんどいない。何回も何十回も殴打や暴行を繰返しての結果。途中から明確な殺意、あるいは殺すかもしれないという未必の故意はある。
これは俺もそうだろうと思ってたw
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文章は非常に論理的かつ説得力がある。主張に賛同できるかどうかは別として、少なくとも事実認識を正しくするうえで、読む価値があると思う。
事実認識という点で、無期懲役囚が仮出所になるのに現在では平均で30年前後になっているということ。これは私自身誤認していたし、多くの人が誤認しているのではないかと思う。
死刑肯定論に賛同できるかどうかは、死刑にならないと死とは何かということに加害者が向き合えない、という論理に賛同できるかどうかにかかっている。本書に書かれている内容が事実なのかどうかを検証するのが難しいため、私自身は結論が出せないでいる。
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殆どの殺人犯は反省していない。被害者が悪い、自分は不運と思っている。刑務所は楽園、犯罪指数をあげて社会に戻っていく。無期刑は、更に反省しなくなる。
中の人だから書ける、犯罪者の本音と現実。
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犯罪者は寒く暗く侘しい刑務所の中で、自らの犯した罪を省みて悔い改め改悛し、真人間になって社会復帰する……なんてことがもしかしたら幻想⁈妄想⁈にしか過ぎないのかもしれない。
衣食住に困ることなく、当たり前だけれど逮捕されることに怯えることもなく、テレビや読書といった娯楽にもあまり不自由しない、という、犯罪者として「シャバ」で怯えながら暮らすよりもはるかに安定した日々を過ごしている。
著書によればそんな環境の中で心から反省する者は1〜2%に過ぎないという。
それは極論だ、という人もいるだろう。でも、哲学者の言葉や理論を引きながら語るのもまた反対の極論に過ぎない。
ただ共感しやすいかし辛いか、の体感の問題だ。
この本には、犯罪者つまりは刑罰を受ける側の人間にしか知り得ない感じ得ない「実感」がある。
学問にはない生々しさとある種の真実に触れ、死刑と刑罰について新たな視点を得ることができた。
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【2015年4冊目】
とても良かったです!著者はとてもキレる人です。教養の深さや論理性は読めば分かります。
なぜこんな人が2件も殺人を犯した無期囚なのか…この人の能力があれば、社会で何だってできたろうに…。
残念でなりません。
私個人としては死刑制度には賛成です。この本に出てきた反対派、賛成派それぞれの論拠も概ね把握していました。
だけど、ここまで論理の整った賛成論は見たことがなかったこと、美達大和という人について読み進める程にどんどん興味が湧いてきたこと…などからありきたりなテーマではありますが★5つの評価にしました。
興味がある方は是非!
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最近の犯罪を見ていると、出所して来た人が本当に罪を償ったと言えるのか、獄中で何を考えているのか疑問に思う事が多いが、この本に答えがあるのかもしれない。更生の可能性を考慮する必要など無いと言い切る著者の意見にも説得力がある。今まで見えていなかった部分として、死刑制度、無期懲役について考える参考になると思う。
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【読書感想】「死刑絶対肯定論 無期懲役囚の主張」 美達大和
計画的に2件の殺人を犯し、自ら死刑を求めるも無期懲役に。
そこから刑務所生活20年以上(仮釈放を自ら放棄し現在も服役中)となる著者が、刑務所の実際と死刑の必要性について語っている本です。
別に私は死刑が絶対必要だ考えてるわけではありません。
っていうか死刑について真面目に考えたことなんかこれまでありません(笑)
ただただこの著者に対する興味です。
だって、気になるでしょ?!
2件の殺人を犯した現役の無期懲役囚が獄から本を出版してて、頭も良くて、しかも死刑肯定してるんですよ。
何者だ、こいつは?
ということでKindleでポチッとしてしまいました。
元々HONZというサイトでこの人の著書「女子高生サヤカが選んだ1万人に1人の勉強法」というのが紹介されてて、
作者に興味をもったのが始まりです。
この人、相当の読書好きで、社会にいたころは月に100冊以上の書籍と、数十冊の雑誌などなどを読んでいたそうです。
獄のなかでももちろんたくさん読んでて、お勧め本を紹介するブログまであります。
で、頭も天才的みたいです。(と、どっかのサイトで書かれてました。)
ホントに天才的なのかはわかりませんが、この本読むだけでも語彙力は半端ないということはわかるし、法律などにもやたら詳しい。
(獄にいて調べものも大変だろうに。)
まぁ確実にバカでないんだろうな、ということはわかります。
じゃあ頭だけよくて社会性のないコミュ障なのかというとそういうわけでもないようで、社会にいたころは金融系の会社をやってたり、優秀な営業マンだったり、かなり羽振りよかったみたいです。
あと結婚してたりもしたみたいです。
(まぁだからといって本当にコミュニケーション上手かはわかりませんが、少なくとも文章からはコミュニケーション上手であるようにみえます。)
ホリエモンも刑務所の様子を書籍やらメルマガでリアルタイムに発信していて、それにも結構衝撃だったんですが、この人、人殺しですからね。。。
結構すごいことよね・・。
人殺しが刑務所にいて何冊も本を出すって。
この人の書いたものを見てない時は、
「人殺して服役中のくせに、本をたくさん読んだり、本を出したり、なにこいつ?!殺された側の親族がみたらムカつくだろうに。」
と、若干の嫌悪感もあったのですが、実際、本を読んでくと、知らぬ間にそういう嫌悪感はなくなっておりました。
なんでかというと、この人が語る刑務所の他の人たちが本当におぞましくて・・。
それと比べると、罪は償えないものの、自分のやったことのひどさに気付いて、生涯、獄の中で反省することを決めた著者が、まだまともにみえるからです。
イヤーー、死刑とか真剣に考えたことないけど、この人の言う通りなら死刑はなくしちゃダメだよねー、と私は思っちゃいました。
以下、刑務所のなかの人たちのことを語った描写です。
彼ら殺人犯には、罪の意識や悔恨の情は乏しく、尊い他者の生命を奪った重荷を背負った者、心に闇やどろどろしたものを抱えて生きている、という小説やドラマに出てくるようなことは全くありません。
どろどろどころか、カラッと乾燥した砂のようにサラサラし、風に流されるがままというのが相応しい気がします。
パラドキシカルですが、己の利得・エゴの為に他者の生命を奪ったことに対し、何ら痛痒も覚えず、時に被害者を恨み、未来にヴィジョンをもたず、怠惰に暮らす者達だからこそ、本人も自覚し得ない心の闇を抱いているのかもしれません。(本文より引用)
しかし、自分が他者を殺めた事実については、事情が変わります。殺すことは悪である、だが、自分の犯行には理由があり、加えて被害者に非があると平然と言う者が半数以上です。
強盗に入った者は口を揃えて、その場に居合わせた被害者に運がなく、素直に金品を渡すことなく、大声で叫んだり、抵抗したり、命令口調で制止したことが悪いと非難します。これが平均的な弁解です。(本文より引用)
殺人という行為に対しては人は心理的抵抗を持つ筈ですが、二回目の時は、初めての時に比べ、その抵抗が著しく低くなっていることが、自分でもよくわかりました。
また、ここにいる同囚達は、既に殺人を経験していることもあり、次にその時がきたらこうしよう、ああしようと、こうすれば発覚しないだろうと、まるでスポーツか何かのように明るい表情で話しています。
「反省がない」ということは、こういうことを含んでいるのです。人目を忍んでこっそり話すのではなく、明るい表情で話すということに、おぞましさを感じませんか?(本文より引用)
一度殺人を犯し、無反省な者には、人を殺すという行為に抵抗はありません。彼らの中には、既に出所後の犯行計画を企図し仲間を募っている者、メディア等を利用して次のターゲットを物色しているものもいます。(本文より引用)
「同じ人殺しが何いってんの?」という突っ込みはおいといて、本当に恐ろしくないです?この中にいる人たち。
まぁこの人が入っている刑務所はLB級といって刑期の長い(要は罪の重い)人たちのところなので、も少し普通の刑務所なら反省している人もいるのかもしれません。
でも、ほとんどの人は反省なんてしてないし、反省していても周囲の感覚に流されて反省しなくなると著者は述べています。
確かに、一般社会でも、何かの物事に対して反省する人は反省するし、反省しない人は何やっても反省しないものね。
そのラインが殺人の上にあるか下にあるかの話なだけで殺人犯も一般人も、実はたいしてかわらないのかも。
殺人はおかしてないけど殺人犯と同じような(というと大げさだけど)その場しのぎの嘘とか自分だけにしか通用しない論理での言い訳する人は世の中にたくさんいますし。
言い訳のレベル感なんて結構簡単に下げられるからねぇ。
伊坂幸太郎作品にたまに出てくる真性悪!みたいな人は残念ながらやっぱり本当にいるわけで、それが本当に怖いし悲しいなぁと思いました。
ホリエモンも刑務所にいるときに、「社交性もあって、気配りもできて、普通に社会でやっていけそうな人が、遊びにいくみたいな感覚で強姦をしてて捕まって、で勿論反省して��ないという人がいた」と言ってますしね。
なんだかね・・・。 暗澹たる気持ちになりましたわ。。
私、選挙の時期とかなんかの事件があったときとか「自分が独裁政権の王だったら」という妄想をよくするんですが、
この本を読んで、とりあえず思い付いたのは「強姦した人のブツは切る」ですね。
(職場の人に言ったら「冤罪だったらどうする?」と言われてしまったんですが(笑))
楽しいですよ、この妄想。
あとワタクシ政権には「政治家の半分は立候補でもう半分は年代別の無作為抽出」っていうルールとかもあります(笑)
言っとくけどアラはたくさんありますよ!
それを指摘するのは野暮ってものです。妄想なんだから。
刑務所ってところは、衣食住が確保されていて、不自由はあるもののなれてしまえばそれなりに楽しくやれてしまう所なようで、食べるものや寝るところに困って、また犯罪に手を染めるしかない社会と、どっちがマシなんだろうなぁと思ってしまいます。
容疑者Xの献身を読んだときも思ったんだけど、自分だけの知的世界を持てる人にとっては刑務所はむしろ居心地いいのかもなぁ。
この人の話を読んでるとなんだかそう思えます。
塀のなかに興味がある方、
この作者に興味のある方、
裁判員になった方、
妄想好きの方、
などは読んでみてください。
なかなか刺激的。
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二件の殺人で無期懲役となり服役中の著者が執筆したという異色の一冊。本人は確信的に犯行に及び、死刑になるつもりだったのに無期懲役になったそうだ。長い獄中生活でありあまる時間を費やして、自分の犯した罪についてのみならず、刑務所や刑罰のあり方についても考察を深めている。
彼が収容されているのは長期刑(十年以上)で重罪の懲役囚のみが対象となる刑務所だそうで、本書の多くはそこで見た囚人たちの実態を描写することに割かれている。曰く、彼らは普通の人とは犯罪に対する感覚がまったく異なり、反省などするものは皆無に等しいそうだ。だから終身刑は意味がなく、誰にとっても苦痛でしかないという。
殺人犯といえどもすさまじい読書家のようで、文章はかなりの知性を感じる。加えてさすがに「実態」を誰よりも知る人の言葉だけに、強烈な説得力を持って迫ってくる。私個人としては本書読後もやはり死刑廃止派なのだが、ここにある主張もひとつの正論なのだろう。
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これは合わなかった。 『人を殺すとはどういうことか』の延長(というか重なる部分が多く更にあっさりとまとめられている感じ)で、提言を主とした内容。 読み物としては『人を殺すとは~』の方がおもしろい。 あーだこーだ言ったところで制度は変わらない気がするし、自分には関係ないと思ってしまう。 私には興味がないというのが正確な表現か。
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いろいろとためになることは書いてあったが、なんだかおなじことの繰り返しが多く、くどい。正味は半分くらいしかないのでは。
本当に無期懲役囚が書いたのかも疑わしく、すっきりしないところがある。
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自らが犯した計画殺人によって2人もの命を奪い、無期懲役の判決を受けて現在も服役中である懲役囚が塀の中で記した手記。受刑者にしか分からない殺人犯や刑務所の実態を描き、加害者よりも軽んじられている被害者の人権に異を唱えながら、死刑廃止論を真っ向から否定する。『10年なんてションベン刑だ』『12, 3年は、あっという間』『15年くらいで一人前』などと呑気に構え、被害者やその家族の心情など微塵も考えない死刑囚に「反省」や「更生」を求めるなど無理な話であり、こんな連中を国民の税金で生き長らえさせる事こそ愚の骨頂と断じる。死刑囚にとっては「死と向き合うこと」のみが悔悛(かいしゅん)の情につながる唯一の方法であり、死刑こそが彼らに相応しい「人間的な刑罰である」と主張する。死刑反対派が推進する「人権のインフレ」によって、「生きて償う」などという愚劣な詭弁を弄(ろう)す死刑囚らを「粛々と執行せよ」と訴え続ける。
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某先輩が勧めていたので購入。死刑に特化した話は第7章だけで、全体的には刑務所の囚人は反省していないものが圧倒的に多いので厳罰化したり刑務所改革をすべきだという議論。とはいえ、実体験に裏打ちされているようでおもしろい。死刑の議論は、死刑以外では加害者は反省しないし、殺人とも釣り合わない、また遺族も死刑を望んでいる、といったような話。冤罪については態度を留保している。今日、教育がうまくいっていないのは学校だけではない、ということか。著者は刑務所では実存主義的な、自分の死を見つめる教育に効果があると考えているようだ。
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無期囚が書いてありないようがかなりリアル。
で、結局タイトル通り日本人には、死刑制度が必要だと再認識します。
確かに、被害者の命が軽過ぎます