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紫式部というと高慢で嫌な女だという第一印象で、あまり読む気が起きなかったが授業で取り挙げられたので読みました。
…結論。やっぱり紫式部は嫌な女でした←笑
でも、紫式部の生い立ちとか出仕当初の宮中におけるハブられ具合とかはなかなかに面白かったし、後半での消息文というのも名前だけで読んだことなかったから勉強にはなりました。
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紫式部の根性ワルな一面が垣間見えて大変おもしろかったです。嶽本野ばら先生曰く「立派な乙女は根性ワル」だそうですので紫式部はまごうことなき立派な乙女だったのでしょう。この日記の道長はなんだか「陽気なオッサン」に見えました。清少納言ディスりっぷりは噂に違わずすさまじいものがありますね。解説も分かりやすいです。そんな「千年前の立派な乙女」が書いた源氏物語がおもしろいのは道理であります。
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こういう心があったからこその源氏物語か、源氏物語があったからの自信かプライドか。プライドが高い。自信がある。卑屈。頑固。偏屈。彰子の出産の記録が続くと思いきや、女房批判も噴出して訳がわからなくなる。それが紫式部日記か。よほど清少納言が嫌いと思えるが、それは定子側と彰子側のためか。
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この本の編集の仕方がいい。 まず現代語訳文があり、その後に古文の原文が嫋々と並べてあり、山本さんの解説がおもしろく述べられてある。
わたしが源氏のいろいろ読んだばかりだからか、古文の原文もいいものだなーと思って読んだ。
だが、TV大河ドラマの「平清盛」にも時子が、源氏物語に陶酔しているように描かれているのを見た。 この時にも、その後の戦乱にも営々と『源氏物語』が受け継がれて失くさずに千年来たのがすごい!
だって印刷技術は無く、手書きで写してきたのだから、 いまさらながら偉大なことだ!と感心してしまうことしきりの古文読書であった。
ますます紫式部は偉大な女性だと思う。
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「源氏物語」を理解するには、生身の作者の考え・心情を知りたい。となれば、「紫式部日記」はマストな一冊ですね。道長とのエピソードも散りばめられて興味深い。前段の雅な世界は「藤裏葉」までの世界。女房生活に馴染めない苦しさが吐露されたり仏の道に縋ろうとする終盤の心境は「幻」そして宇治十帖に至る境地と重なりました。有名な清少納言批判について、彰子に仕える紫式部にとっては定子文化を葬っておかねばというのは山本さんの解釈。このボリューミーな解説は素晴らしく、「紫式部日記」の理解を大いに助けてくれました。紫式部の娘大弐三位への愛情を汲み取った、献上本と私家本という二段階成立論は説得力がありました。
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こちらは同じ角川ソフィア文庫といっても、全文が原文と現代語訳で示されている。
脚注、補注、解説も充実している。
文庫の判型による制約はある。
読者からすれば、できれば原文と現代語訳が同じページにあるのがうれしい。
小学館の日本古典文学全集みたいなのが理想。
もちろん、それは文庫の大きさでは難しい。
しおりを複数使って、あちこちページを行き来して読むしかない。
それはともかく、紫式部日記。
前に一通り読むには読んだ。
なぜこの人はこんなに鬱屈しているのかと思いながら。
解説でかなりそのあたりの理解は深まった。
彰子に仕える女房には三種類あるという。
1女房層女房(いうなれば「プロ女房」か)
2零落女房(元お嬢様)
3才芸女房(才能を見込まれた人)
入内にあたって、道長が選んだのは、家柄の良い娘たち。
ところが、これがお嬢様然として、まともに応対もできない。
定子の女房達と比べ、あきらかにひけをとる。
そこで、巻き返しのために集められたのが「才芸女房」。
紫式部も、和泉式部もこの枠だ。
特に紫式部は、その嚆矢となる存在だったそうだ。
となると、明らかに彼女は彰子後宮の異分子。
敵は亡き定子の後宮を慕う宮廷人たちだけでない、ということだ。
さらに、若くはない年齢を気にして、華やかな宮殿で場違い感を持っていた。
そして、出仕前に親しくやり取りしていた友達とも、出仕を機に縁が切れていく。
なるほど、これではつらいはずだ。
千年前の、自分とはまったくかけ離れた世界なのに、何か目の前にいる人のような気が、はじめてした。