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この歪んだ世界がたまらなく魅力的に思えてしまう僕も少し危ないのかもしれない。やはり本谷有希子はただ者ではない。いまさらだけど。
今までの何作かは、虚構から現実へと、そして内から外へと向かうベクトルを描いていたように思える。しかしこの作品は、現実から虚構、外から内へと向かうベクトルでできあがっている。いったんは乱入者によって壊れた世界をまた立て直してまでその虚構へ退避する2人。それは目をつぶったとたんに世界が消え失せるという現実への反逆のようにも感じられる。協力者のいる虚構は決して壊れない安息の地なのだ。なぞなぞみたいなストーリーの中から浮かび上がってくるその感覚は、文学世界としてはひとつの到達点と言っていいのではないかとまで思った。
ただ、もしかしたらラノベと呼ばれているジャンルにはこれに近い感覚のものがあるかもしれない。読み物としてはレベルは低く感じるが、感覚的にはラノベは最先端であるのは間違いない。と、なぜか読後にそんなことを思った。この作品は決してラノベではないんだけどね。
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作者の本谷さんは演劇畑の人。小説として書かれてはいますが、演劇特有の世界観のようなものを感じます。
登場人物の兄と妹は、かなり変わった嗜好の持ち主。俗に言う「変人」あるいは「変態」です。そんな二人の共同生活を中心に物語は進んでいきます。
話は若干ごちゃごちゃしています。それが本谷さんの持ち味だとは思うのですが、読者にとって、好き嫌いははっきり分かれそう。
登場人物たちの「気持ち悪さ」を、自分の内側にも潜んでいるかもしれないと感じられる人には、この本は面白いかもしれないです。
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前に雑誌「ダ・ヴィンチ」で読んでいました。たまたま書店で文庫本になっていたので、続きが読みたくて買いました。
若干、暴力的な描写や暴言が多い気がします。元気が無い時に読むと落ちるかも。
舞台でこのストーリーをやったら面白いかもしれないと思いました。(確か作者の本谷有希子さんは舞台も手掛けていた気が…)
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登場人物の自意識過剰な部分について、緻密でくすぐられるような表現が多ければ、もっと好みかも。
その代わり、巻き起こる事件や衝撃シーンの描写は、最短コースで楽しめた。劇作家らしい洗練された展開なのかも。
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本谷有希子さんの舞台を見に行くので、予習を兼ねて
映画→小説の順番で読んだ。
映画が面白くなかったので、原因がどこにあるのか
知りたい気持ちがあった。
結果的にはどっちもどっちというか。
設定自体がかなりぶっ飛んでるから、
なかなか物語に入りにくい。
そもそもこの小説自体が元々舞台のものをノベライズしたというのを読み終わってから知った。
舞台ならば、この設定も役者さんの演技であったり
自分もその場で空気を共有するから成立するとは思う。
しかし、小説ではそれは難しいかと。
でも映画は更にヒドくて、原作と少し設定が異なる部分があるけど、一体なんの為に変えたのか分からない。
役者の人も実力派ばかりが出てるけど、
土台がダメなので挽回できてなかった。
舞台で見たかったというのが正直な感想です。
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本谷さんらしい作品。構成的には「腑抜けども~」にちょっと似てるかなぁ。あっちのほうがちょっとしたトリック効いてたけど。
英則の心情というかキャラがちょっとわかりにくかったんだよな。
ただただ奈々瀬にイラっとしてしまった。でも奈々瀬視点の文章だと奈々瀬の考え方に共感できてしまったりもする不思議な作品だった。
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本谷有希子の書く小説の登場人物はフツーじゃない。でも,現代においてはこういうフツーでない人がたくさんいるんだろうなと思う。
もちろん,本書で描かれる「恋愛」もフツーではない。恋愛形態の一つとして存在するかどうか分からんけれども,あってもいいんじゃないと思わせるラストに救われる,そういう小説だ。
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中盤あたりまでは気持ち悪いし腹立つしひき気味で、でも何かやめられなくて読み進めていくうちに、どんどんそれがなくなっていく。なくなっていくどころか、なんか共感できてしまう。全員(ほぼ七々瀬と英則やけど)やりすぎ考えすぎなんやけど、あとがきにもあるように「感じ方としてはわかる」
本谷有希子さんすげーって、他の本谷作品読んだ後の5割増しぐらいで思った。
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劇団の人間らしい過剰な演出、キャラ設定が面白かった
。
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は映画もすごくよかったので、これも是非観たい。
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とんでて、暗くて、ジメジメしてて…。
そんなイメージから始まったのに、だんだんと読まずにはいられなくなっていった。
嫌われるのを極端に避ける奈々瀬が、ありとあらゆる事を気にしている感じは、大なり小なり誰にでもあるんじゃないかと思う。大体は、極端にならない程度に抑えるけど。
そんな奈々瀬が一緒にいたいと思う相手が、すでに自分に失望している"お兄ちゃん"(英則)であることは、なるほどといった感じ。
嫌われてたら、嫌われることを気にしなくていい。
これはこれで、筋が通ってるといえなくもない。
復讐のために一緒にいるのに、何の復讐かは分からない、というむちゃくちゃな状態。
そんな二人は、確かに、"きもちわるい"。
まぁでも、そういう形でしか一緒にいれないのならば、復讐も必要か(むちゃくちゃだなぁ…。)
他人同士が一緒にいる理由は、その人たちにしか、いや、その人たちにすら、分からないんだろう。
そもそも、そこに理由を求めようとするからこんな"きもちわるい"話が出来てしまつたのかも。
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購入:渡辺(2011.12.4)
一気に読み終えました。やや内容はぶっとんでいました。気持ち悪いと聞いてましたが楽しく読みやすかったです。
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序盤はつまらなくて、だんだん面白くなって、最後はぐだぐだ。
あずさちゃんの言う、奈々瀬がとにかくやばいという発言から、もっと大きなどんでん返しを期待していたのだけれど、結局ただ性格を偽っていただけというあっけない展開。
個人的には、番上さんの悩みも解決出来ていれば良かったかなと思うけど。
なんか不思議なお話だったけれど、結局はラブストーリーということで良いのかしら。
最後の数行を読む限り、ただのラブラブなカップルにしか思えないのですけれど。
元々このお話は舞台用らしいのだけれど、どうやって舞台化したんだろう。
屋根裏から覗くときとか。
これって、映画化したんだよね。
浅野忠信が山根役とか一体…。
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おもしろいなー、本谷有希子。
舞台っぽい演出がふんだんに織り込まれ、設定、キャラクターがブッとんでいてとても楽しめた。
正直、無駄とも思える過剰な設定もあるんだけど、全体的な雰囲気とよくあっている。
映画もわりあいおもしろかった。
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おにいちゃんにも奈々瀬にもいらいらされるのにどんどん読み進めてしまう。あずさちゃんみたいな人、好きだわー。「あんなやつらに構わず、幸せになってー」と言いたい。
ラスト付近の主人公の奈々瀬の豹変ぶりにはすかっとした。
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当たりでした。
本谷さんの作品はすべて最高です。
やっぱり本谷さんは一人称が素敵です。
お兄ちゃんがタイプ過ぎます。
奈々瀬が可愛過ぎます。
何度も読み返してはニヤニヤさせてもらってます!