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★再読。「白銀号事件」「グロリア・スコット号」「マスグレーブ家の儀式」「海軍条約文書事件」「最後の事件」有名どころは覚えていた。
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二人の関係性の点で言えば、ワトスンが結婚してベーカー街を出た後は、 同居していたときとは少し遠い距離感を持って付き合っている感じがします。
一緒に住んでいる心安さで、ぶっきらぼうだったり、説明が足りなかったりしていたホームズが、 開業したワトスンを訪ねるのに、奥さんに気を遣ったりしています。
《白銀号事件》では、
まだ同居しているので、ホームズのぶっきらぼうさが出ています。
『ワトスンなら怒らないだろう、わかってくれるだろう』という、ホームズの『甘え』があるのがよいです。
冒頭「ワトスン君、僕は行かなきゃなるまいと思うよ」といういきなりのホームズの発言に、ワトスンは『べつに驚きもしなかった』のであります。
なぜなら、『眉根をよせた顔をうなだれて、強いくろタバコをパイプに詰めかえ詰めかえ、部屋のなかを歩き回ってばかりいて、何を話しかけても何を尋ねても、聞こえないかのようにがんこにだまりこくっていた。』そんなホームズを見て『私には、ひとことも彼が口をきかないにもかかわらず、彼の頭のなかで考えられていることは、よくわかっていた。』からです。
《黄色い顔》では、二人が午後の散歩をしています。『二時間ばかり〜ぶらついたが、どちらからもほとんど口はきかなかった。心の底ふかく知りあった仲として、べつに珍しいことでもない。』
とてもいい雰囲気で帰ってくると、客が来ていたという知らせを聞くなり、事件に飢えていたホームズは、
「だから午後の散歩なんかダメなんだ」とワトスンをとがめるように言います。
人のせいにするところが珍しく思います。
ワトスンに対しては、よく責めるような言葉を言うホームズです。主にワトソンの文章についての苦言は喧嘩の原因にもなりますが、日常的な皮肉や責任転嫁については、ワトスンがさらっと流して取り合わないことが多いように思います。
むっとはしているかもしれませんが。
事件について、見当違いをしてしまうという失敗をしたホームズが、家に帰り、ろうそくを片手に寝室へ引込むというときになって、
「ワトスン君、これからさきもし僕が、自分の力を過信したり、事件にたいしてそれ相当の骨折りを惜しんだりするようなことがあったら、ひとこと僕の耳に『ノーバリ』とささやいてくれたまえ。そうしてくれれば僕は非常にありがたい」
と言ったホームズがいいです。ワトスンへの信頼が伺えます。
《株式仲買店員》では、ワトスンが開業したパディントン区へホームズが訪ねて来ます。
ベルの音に続いてやや耳ざわりなくらい甲だかい声を響かせながらずかずか入ってきて、奥さんへ気を遣う発言をします。
温かくホームズの手を握るワトスン。腰掛けながらホームズは、
「開業して医術のほうが忙しいために、僕たちの推理問題に示した君の興味が、あとかたもなくなってしまわなければよいがねえ」と気遣うように言います。
ワトスンがホームズの誘いを受けて出かけるというと、
「ハ、そいつは何より好都合だ」といすにそりかえって、いつもの俺様な��?)態度になります。
その後は推理をひけらかして驚かせたり、説明しすぎて「なんだそんなことか」という顔になったワトスンを見て苦笑したり、いつもの気の置けない関係に戻ります。
さて、他にもホームズが初めて手がけた事件《グロリア・スコット号》や、兄マイクロフトが登場する《ギリシャ語通訳》、そしてなんと言っても、モリアーティー教授の出てくる《最後の事件》など、読むべき作品がたくさん入っています。
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ホームズの第2短編集。
ホームズが探偵を生涯の仕事と決める、
そのきっかけとなった「グロリア・スコット号」、
探偵として初めて手がけた「マスグレーヴ家の儀式」、
宿敵モリアティとの対決の末、モリアティもろとも
ホームズが滝壷に落ちてしまう「最後の事件」など収録。
上記の作品以外にも、小粒ながら上質の短編がそろっている。
個人的には、「冒険」よりもクオリティが上がっていると思う。
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中学時代に読んだきりでかなり久々の再読。ホームズの推理力が純粋にお見事で素晴らしい。短編集だが物足りなさもなく、かえって問題解決の鮮やかさが引き立つ。
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テンポが良く個性のある作品が多い短編集。ホームズシリーズはまだまだ初心者なのでこれから読み進めるのが楽しみ。
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「黄いろい顔」は終わりも気持ちがいいし、何より最後のホームズの言葉が印象的。
私も自分の力を過信しそうになったら、『ノーバリ』と心でつぶやこうかな。
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シャーロックシリーズ4作目、だと思います。
今回も短編集ですが、やっと(?)お兄さんのマイクロフトが出てきました。
ちょい役ですけど。
(この巻を読んで、あらためてドラマ「シャーロック」が原作の 雰囲気を大事にしていることがわかりました。)
「思い出」というだけあって、ホームズが探偵になるきっかけになった事件や過去の失敗談などがでてきます。
白眉は、「海軍条約文書事件」、そして、モリアーティ教授がでてくる「最後の事件」です。
(ただ、結構、端役っぽかったのが残念でした。話も短いし・・・)
この後、ホームズはどのように復活するのか!?
次回に(少し)期待です。
(復活後は性格が変わるとのうわさもあります)
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“ながいながい無言の二分間がつづいたのち、グラント・マンローはやっとものをいったが、その答えは思いだすだに気持ちのよいものだった。彼は子供をだきあげてキスし、それをおろしもしないで、片手を細君のほうへのべてドアのほうへ向かったのである。
「そのことは家へ帰ってから、もっとゆっくり話しあおう。私もたいして善良な男とは思わぬが、お前が考えているよりは少しはましな男のつもりだよ」
ホームズと私とは彼らの後について下へおり、表へ出た。するとホームズは歩きながら私の袖をひいて、
「ノーバリにいてももう用はなさそうだから、ロンドンへ帰ろうよ」
ホームズはそれきり事件のことは少しも口に出さなかったが、その夜おそく、ろうそく片手に寝室へ引き込むというときになって、
「ワトスン君、これからさきもし僕が、自分の力を過信したり、事件にたいしてそれ相当の骨折りを惜しんだりするようなことがあったら、ひとこと僕の耳に、『ノーバリ』とささやいてくれたまえ。そうしてくれれば僕は非常にありがたい」”[P.81_黄いろい顔]
「白銀号事件」
「黄いろい顔」
「株式仲買店員」
「グロリア・スコット号」
「マスグレーヴ家の儀式」
「背の曲った男」
「入院患者」
「ギリシャ語通訳」
「海軍条約文書事件」
「最後の事件」
“「なに、初歩さ。はたのものには非凡にみえる一種の効果をあたえ得るのは、はたのものが推理の根底になる小さな事象を見おとしてくれるからだということの一例だよ、これは。おなじことは、いやに思わせぶりな気味の事件録についてもいえる。君の書く事件録は俗悪そのものだが、あのなかで君は問題の要点の一部をしっかり自分の手に握っていて、読者には決して知らさないじゃないか。ところで僕はいま、その読者とおなじ立場にあるんだよ。というのはね、かつて人類の頭をなやました問題のうちでもっとも奇怪なというべき問題にこんどぶつかってね、それを解くべきかぎを二、三もってはいるんだが、完全な推理を組みたてるには、もう一つ二つかぎを手にいれる必要があるわけなんだ。だがなに、すぐだ。すぐ手にいれて見せはするがね」
彼は双眼を輝かし、こけたほおをかすかに紅潮させた。精神力の旺盛な彼の天性が、ちらりと表に現われたのだ。だがそれはほんの一瞬間だけだった。おやと思って見なおしたときはもう、人間というよりは機械といったほうが遥かに適当なアメリカ・インディアンの沈着さに復していた。
「面白そうな事件だ。ずばぬけて面白そうな事件といってもよい。だいたいのことは調べてみたが、どうやら解決はつきそうな見こみだ。ついてはお願いだが、いよいよこんど最後の一歩を踏みだすについて、君が手をかしてくれると非常に助かるわけなんだ」
「よろこんでお手伝いするよ」”[P.180_背の曲った男]
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ホームズか手掛けた最初の事件や探偵になってから初めての事件、そして最後の事件が掲載されている短編集の第二弾。
ホームズの素晴らしい推理だけではなく、人間らしいところもたくさんあるので、どの事件も必見です。
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『最後の事件』の大まかな話は聞いたことがあったが、最後と銘打った宿敵との対決の物語だったにも関わらず、あっさりしていて拍子抜けした。兄の登場もあり、これからもどんどん展開して事件を解決していくのだろうと思いきや……これじゃ読者から非難の手紙が来たのも仕方無かったと思います。でもやっぱり面白い! 『マスグレーヴ家の儀式』『ギリシャ語通訳』がお気に入りです。
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シャーロック・ホームズの短編集第2弾。
個人的には「黄色い顔」とか「マスグレーヴ家の儀式」が好きです。
この本の最後で、ホームズは崖がら落ちて死んでしまう(ことになってる)わけですが、もう少しモリアーティー教授との戦いを書いてくれなきゃ、読者も納得しないと思います。
だからまた復活することになるわけですが。
コナン・ドイルは書いた本に間違い(右が左になってるとか、お手伝いさんの名前が変わってたりとか)があっても修正することなく、本を出し続けているわけですが、それがシャーロキアンといわれる人々の心をくすぐっているのでしょう。
間違い探しというのはなんとも人を引き付けるものですから。
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レビューが前後しますがお気になさらず。
シャーロック・シリーズ短編集。
有名な株式仲介所で働くことが内定していた男が、より年棒のよい別の企業に就職した。働いているうちに支配人の挙動を不審に思った男は、ホームズのもとに相談にくることになった。…「株式仲介店員」
鍵のかかった部屋の中にいた夫婦のうち、夫は亡くなっており、妻は気絶していた。いかにして夫は死に至らしめられたのか、ホームズが難事件に挑む。…「背の曲がった男」
ロンドンで起こるほぼすべての事件裏で暗躍する悪の天才、モリアティ。
彼に命を狙われつつも、決死の戦いを挑むホームズの運命やいかに。…「最後の事件」
他10編。
一冊の満足感がすばらしいです。
今作のポイントは、やはり宿敵モリアティ教授との応酬が見どころの「最後の事件」でしょう。
個人的に驚いたのは、モリアティ教授が実際に出演したのがこの作品だけだということです。
二人の因縁ってそこまで細かく描写されているわけではないんですね。
どきどきしながら結末をご覧ください。
ちなみに、解説で訳者も事あるごとに述べていますが、シャーロック・ホームズシリーズは発行順に読むのがベターだと思います。
「緋色の研究」→「四つの署名」→「シャーロック・ホームズの冒険」→「シャーロック・ホームズの思い出」→「バスカヴィル家の犬」→「シャーロック・ホームズの帰還」→「恐怖の谷」→「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」
「シャーロック・ホームズの叡智」は他の短編集に載せられなかった作品も掲載しているので、叡智の後に読むのが適当でしょう。
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シリーズとしては中盤ですが、最後の事件を含む一冊。シリーズとしてはどの様な幕引きが用意されているのか、いないのか。
短編集ですが、最後の事件がメインと言えるかも。これに関して、もっと因縁や事件が絡んでくるものと思っていましたが、案外あっさりと短めにまとめられていて驚きました。ドイルはシリーズをここで終わらせるつもりだったそうですが、この結末はどうなんだろう、と考えてしまいます。結末が気に入らない訳ではなく、作者の考えが気になるところです。
そして何よりホームズがどうやって帰還するのか、はやく続きを読まねば
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「黄いろい顔」みたいな、読者に怖さを想起させておいて、結果的には何でもない事だったという落ちが秀逸。
「株式仲買店員」は、「赤毛連盟」を思い起こさせる。
「グロリア・スコット号」は、ホームズが学生の頃の話。
「マスグレイヴ家の儀式書」は典型的な探偵ものだが、ちょっとあまい。。「ギリシャ語通訳」は、話そのものよりもディオゲネスクラブが気になる。
「最後の事件」では、ホームズは自己犠牲の精神を大いに発揮する。ホームズの様々な面が見られる良作。
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他の作品に比べて、ワトスンの回想を匂わす描写が多い。
ホームズの失敗などが多く語られたりするのも筆を執るワトスン人間味があって良いような気がする。
最後の冒険はあっさりしていて、当時の読者が困惑し批判したのも無理はないように感じた。
幸いにして現代に生きる我々は続編を立て続けに読むことができる。
当時の読者に感謝したい。