紙の本
海堂が言い続けている日本の死因不明社会ぶりが、他の作家の作品でも指摘されるようになってきました。ようやく、努力が実り始めた、といっていいかもしれません。そして、密室殺人? 読むっきゃないかな・・・
2011/06/22 19:14
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらず快調に著作数を増やしている海堂の新作は(といっても、既に、この後にも作品が出ているし、私も読み終えているので、厳密な新作とは言えませんが)、ミステリ臭の強い作品です。相変わらず、といえば、やはり宝島社の本だからなのか、安っぽい色のカバーで、装幀についての記載はありません。当然、掲載されている東城大学医学部付属病院見取り図作製についても記述もありません。
全体は、二部構成で、全34章に序章と終章から成り立っています。HPの内容紹介は
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『このミス』大賞シリーズ
“バチスタ”シリーズ累計850万部突破!
あの田口・白鳥コンビ待望の最新刊!
病院内で起きた射殺事件。犯人は高階病院長!?
仕掛けられた完全無比のトリック!
タイムリミットは72時間。2人は東城大学病院を救えるのか?
シリーズ累計850万部突破の、国民的メディカル・エンターテインメント“田口&白鳥”シリーズ。前作から約2年の歳月を経て、待望の最新刊がいよいよ登場です!平穏な東城大学付属病院で一発の銃声が響くとき、「バチスタ・スキャンダル」を超える、未曾有の危機がやってくる――。心とは裏腹に、順調に出世街道を進んで行く田口公平医師と、厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔が、完璧に仕組まれた偽装殺人のアリバイトリックに挑む!真犯人との、論理と論理の激しい対決が見物です。
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となっています。ミステリ色は強くても、独自性があるわけではないので、トリックのイメージは出来てしまいます。むしろ、ここで読むべきは、海堂が自分の著書で繰り返し述べる日本が死因不明社会であること、それを解消する役割を果たすのがエーアイであること、ただその帰属をめぐっては、放射線科、法医学科、あるいは警察などが国民そっちのけで、争っているということでしょう。
今までの小説の中でも、それは言われていた気がしますが、科学ジャーナリスト賞受賞作『死因不明社会』や、最新作に近い『ゴーゴーAi―アカデミズム闘争4000日』をあわせて読むと、日本の医学界や司法の世界が、国民の利益や犯罪の撲滅ではなく、己の利益や面子だけを重視し、マスコミを操作し、あらぬ方向に我々を引っ張っていこうとしていることがよく分かります。
小説だけを読んでいると、Aiの世界を取り巻くゴタゴタや陰謀も、作り物めいて、物語の中だけのこと、として受け止めてしまいますが、例えば芝田哲孝は『サイコパス』で、日本が死因を確認するための解剖を殆どしないこと、そうして処理された死体は結局、死因不明ではなく無理矢理心不全などの死因を与えられ、犯罪の可能性があっても当然、犯罪とは切り離され、数少ない解剖されたもので犯罪と結び付けられたものが事件にカウントされること、そうして数を減らされた事件だけを解決することで日本の警察の高い検挙率が維持されている、書いています。
こうした情報を総合すれば、ここに描かれるAiをめぐる動きが殆ど現実であるだろうことが理解できると思います。あえて、海堂が『アリアドネの弾丸』に続く形で『ゴーゴーAi』を出した理由は、偶々そうなったのではなく、深い意図があったのではないか、そう思いたくなります。小説の内容にはこれ以上触れませんが、目次と主な登場人物について書いておきます。
目次
第一部 沈黙する死体
序章 人間が死ぬということ
1章 ショスタコーヴィチはもう歌わない
2章 華麗なる災難
3章 モニタ会議は踊る
4章 廊下トンビの昇天
5章 がんがんトンネル魔人の忠告
6章 桜宮岬の邂逅
7章 北からの使者
8章 闇に潜む眼
9章 異業種顔合わせ
…ほか
第二部 饒舌な弾丸
19章 潜入
20章 暴発
21章 緊急リスクマネジメント委員会
22章 肩すかし
23章 報道抑制
24章 開かずの扉
25章 論理打撃戦
26章 国際緊急宅配便
27章 停滞
28章 真夜中の女神
…ほか
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久々の田口・白鳥コンビ復活
医療と司法の対立がドンドン濃くなってきている気がする
今回解決されていない内容もあるし、次回に続くんだろうな
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被害者が発見されたのはMRIの上。死因は頭部を銃で撃たれている。けれどもMRIの4m半径内に銃を持ち込むのは不可能なはずで、4mの距離から頭部を撃ち抜くのも難しい。という怪しい状況をいかに崩していくのか?という部分が面白いアイデアだなぁ、と思った。
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東城大学の田口、白鳥シリーズに限らず、筆者の一連の医療ミステリシリーズは、ひところは、ほとんどミステリから逸脱していたが、久しぶりにミステリに回帰し、白鳥の本領が同じく久しぶりにいなんなく発揮された、本当に久しぶりの快作。ただしミステリでありながらも、最近の筆者の主張でありつづけるエーアイ導入の意義が謎ときに、少々、力技でつなげられているので、純粋にはミステリとはいえない。殺人事件のあり方が、たぶんに謎解きのあり方から組み立てた感があり、少々、不自然なのだ。そんなこともおいても、白鳥という本来は狂言回しに近い異端のキャラが医療と司法の境界で、久しぶりに自由に活躍しているのが楽しい。それにしても、桜宮のお嬢が復活し、不気味な胎動をしながらも、本作では全く脇であることと、クレイマーであれほどもったいつけたシオンがあっけなく、登場するも、勝ち目のない戦いとは何かとか、世良医師のその後とか、スリジエハートセンターとエーアイとの関係とか、過去と現在と未来の時系列で登場人物が錯綜するストーリーの結末がどうなるか、広げた風呂敷を畳んでいただきたく、今後の展開を期待して待っています。
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うむ、久々の基本コンビのお話で
やりとりは楽しかったです。
けど、
田口センセは出来る男になりすぎだし。
白鳥くんも出来杉君だし。
つまらん。。
まあ、キラー・ラビットがいやらしい味出してましたけど。
殺人が堂々と起こっちゃう辺り、残念な感じですねえ。
続編に期待!
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シリーズ第5弾ぐらいかな。
なんか、別に好きでもないんだけど、出るとついつい読んでしまう・・・
今回は、殺人事件が起こったりして、目新しさもあり、サクサク読めた。
なんだかんだ言っても、やっぱり、白鳥が一番好きなんだよな。
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やっぱり、田口センセと白鳥のコンビはいいですなー
「ダメだよ田口センセ、センセまで高階先生を疑ったら。そんなことあるわけないだろ」
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購入した日 :2010/09/09
開始した日 :2010/09/09
読了した日 :2010/09/10
オモシロイ。
田口・白鳥シリーズでは
凱旋と同じぐらいの面白さ。
タイトルから
迷路館を思い出したのは
私だけではないはず。
まさに
「アリアドネの弾丸」だったな、と。
それにしても
複雑な登場人物のリンクで
過去作品に帰らないと忘れちゃう。
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田口白鳥シリーズらしい、エーアイ万歳のミステリエンタメ。
ブレイズメスのその後がやはり負け戦だった様だしその様子も少しだけ垣間見えた。「何か」に敗北した世良君がすんなりと活躍してたり。
謎解きでのオールスターぶりや斑鳩さんの狂犬ぶりはよかったけれど、某お嬢の小物臭はきつかったな。
そろそろ天馬君のその後が観たいところ。
しかし海堂作品読んでいつも思うが、ファン以外が読んで楽しめるのかな、これ。あまりにも説明がなく本編とそれほど関わりのないキャラがカメオ出演しすぎじゃないかね?
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内容(「BOOK」データベースより)
東城大学病院で再び殺人事件が!「この事件はすべてが不自然すぎる。絶対にどこかがおかしいんだ」東城大学病院に導入された新型MRIコロンブスエッグを中心に起こる事件の数々。さらには、病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう!殺人現場に残されていた弾丸には、巧妙な罠が張り巡らされていた…。不定愁訴外来の担当医師・田口公平が、駆けつけた厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔とともに完全無欠のトリックに挑む。
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チームバチスタ以来の本格ミステリーです。
狙いはほぼ見えていますが、その進行は結構面白いですね。
しかし、アリバイ崩しにICレコーダが必要なのはなさみしい。
でも、磁場を逆手に取った罠わ面白いですね。
引き続き期待します。
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久しぶりの、田口、白鳥コンビの物語。
一つ一つの謎が最後に解き明かされてくるが、最後がしっくりこない。
今回は、田口先生の活躍はほとんどなく、白鳥が解決したような感じ。
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個人的にシリーズの中で一番面白いと思いました。
最近多い批判物で、政治屋だけではなく、警察も悪として書かれていることが溜まらなく良いと思います。
本作では最後の最後まで警察は絶対悪として書かれていますが、実際も大して変わらないでしょう。
警察と戦う姿は読んでいて本当に心地よいです。
読み始めたら最後まで一気に読めました。
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「チームバチスタ」の田口•白鳥シリーズの最新版になります。「ジェネラル・ルージュの凱旋」、「イノセント・ゲリラの祝祭」とミステリ色が薄くなってきたと囁かれてきましたが、本作は久々にミステリ色全開の作品になっていて、白鳥圭輔技官の独壇場です。しかも、彼のロジカル•モンスターぶりがシリーズ中、最も発揮されているのではないかと思います。
で、舞台は勿論、東城大学医学部付属病院。鍵となるのは高分解能MRI(Magnetic Resonance Imaging, 核磁気共鳴画像法)。テーマは司法と医療の対立&対決。要は、Aiを普及させされると困る勢力との田逝けるです。そして、事件は殺人事件。話はスピーディーでスリリングかつエキサイティング。正にメディカル•エンターテインメントの真骨頂と呼ぶに相応しい作品に仕上がっていると思いました。そして、死因不明社会へのアンチテーセでもある作品と思います。とってもオススメ。
ところで、海堂尊って現役の医師で、独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センターで病院臨床検査室病理医長でAi情報研究推進室室長らしいんだけど、さらに超面白い小説を短期間でいっぱい書けるバイタリティーとプロダクティビティには、ただただ感服するばかりです。
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本の内容
東城大学病院で再び殺人事件が!「この事件はすべてが不自然すぎる。絶対にどこかがおかしいんだ」東城大学病院に導入された新型MRIコロンブスエッグを中心に起こる事件の数々。さらには、病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう!殺人現場に残されていた弾丸には、巧妙な罠が張り巡らされていた…。不定愁訴外来の担当医師・田口公平が、駆けつけた厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔とともに完全無欠のトリックに挑む。