紙の本
答えがない問いを考え続けること
2010/11/06 01:55
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
17歳の少女である葛羽紅葉は、実業家の母親の会社が起こした事件のせいで、マスコミから追い回される存在になってしまう。そんな状態の時に、でびる屋なる裏家業を営む謎の存在、シャーマン・シンプルハートと呼ばれる男と、その男が操っている不思議な人形ハズレ君が、母親の苦境を救う交換条件として紅葉との接触を希望してきた。
ハズレ君が対価として要求してきたことは、ただ紅葉が彼の質問に答えること。そこから紅葉を巡る状況がさらに変化し、でびる屋が関わる出来事に巻き込まれていく。
目次を見ると100の質問が明確に書かれているが、本文中ではハズレ君と紅葉の会話の中でマシンガンの様に放たれるので、個別の質問に答えるという感じではない。そして、全ての問いに対して答えが返されるわけでもない。
幼年期には世界の出来事全てに対して疑問を抱く。なぜ空は青いのか?夜はどうして暗いのか?鳥はなぜ飛べるのか?風はどうして吹くのか?数限りないなぜがその口から放たれたとしても、大人はそれを曖昧にごまかし、子ども自身もいつしか忘れてしまうことも多いだろう。
これは成長するに従って、世界の常識を自然に受け入れていくからだと思う。ではこの世界の常識は何によって作られたのか。これは、人類の幼年期を生きた先人達が、疑問を疑問のままにせず、考え続け、調べ検証し、理論化してきた結果だろう。問いに答えがないことに納得せず、世界に答えを問い続けてきた結果だ。そして過去には疑問を抱いて当然だったことが、いずれは当たり前として処理される時代が来る。
しかし、常識を常識として受け入れ疑問を抱かないことは、思考する存在として異常だとも言える。自分の周囲の状況を受け入れることが常態化してしまえば、どんな理不尽な状況が訪れたとしても、それを仕方のないことと無意識に受け入れるようになってしまう気がする。
本書でハズレ君が紅葉にする質問も、紅葉からすれば当たり前として受け入れてしまっている事柄が多い。そしてそれは、深く知ったところで自分にはどうしようもないという、諦めの表明でもある。だが、ハズレ君の問いに対して考えることを強要されていく内に、彼女の行動にも変化が訪れていくのだ。受動から能動へと。ただ受け入れるのではなく求め続けることへと。
作者の他の作品と同様に、既存作品と部分的にリンクした内容となっています。
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うん。良くも悪くも上遠野節。
話の決着点がよくわからないのも、まぁこの場合はいいかな。
しかしやっぱり出てきちゃったなぁ「あのシステム」。
某死神シリーズに関係しない彼の作品って、下手すると一つもないのじゃないか?
と思ってしまう今日この頃。
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表題に「100の問答」とあるように、他の上遠野作品とは違って冒険的なところは少なく、対話メインの作品
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時々はっとする。
「ハズレ君」の正体が、真偽云々ぼかされてる方が沿うというか、そのまま「正しいこと」になってしまっているのがもやもやすると言うか、「正しいこと」なんて、良いんですよね。
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会話主体なので読みやすいけど、なんだろう、短いのかな?世界観が書ききれないまま終わったような。物足りなかった。
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ハズレ君から次々と問われる100の質問。上遠野さん恒例の「あとがき」で書かれているようなものとは少し違い、答えは解釈は読者に任せている部分が大きいです。
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ある日突然、まるですべてをあざ笑う悪魔の様な人形と契約を交わされた少女。
その契約はただその人形と会話をすることだけだった。
その世の中の構成そのものをあざ笑う彼の質問に対する答えを彼女は持ち得るのだろうか
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主人公と悪魔が会話していく話。面白いと思うが、全部で本当に100もあるのかは、数えていないので分からない。常識と思っているものを一回疑うというのも重要かもしれないと思わせてくれた。
ストーリーは著者の味が出ていますので、好き嫌いは分かれます。
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ここまで上遠野作品を読んだのは2作のみ...
というスタンスで手を出す作品ではないようです。
どうやら他の作品に登場するキャラが登場したり、
そもそも今作で展開される問答自体が、この
上遠野さんらしい作品...と言われても
ちょっとピンと来ないのが正直。もう少し
この方の世界観が分かっていれば違う感想も
あったのかも。 一応コレを、物語として
読ませる力量は流石...なのかな?
悪魔の100の質問に対して明確な
答えなんて出せる筈もなく...というか
そもそも質問の内容自体が本来は他人に
問う筋のものではないだけに、質問される側を
不安やイヤな気分に陥れる手腕は流石に悪魔。
そんな中、苦行にも似た経験を積んだ女子高生が
精一杯の答えを出したラストは、いじらしく、
そして物語として完結させるいい締めですね。
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いつもの。
哲学風にみせてるけど、どうなのかな?
いつものあとがき風味に仕上げただけのような気もするし。
イマイチ乗り切れなかったのが正直なところ。
だもんで読みきるのに時間のかかるかかる。読んではやめ読んではやめの繰り返しだし。
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もうちょっと読みにくいかなと思ってたけど案外さらっと読めました。ブギーシリーズがうろ覚え過ぎるので、理解できてるかどうか微妙です。
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悪魔と問答するというか、ブギーポップの世界に通じる何かと屁理屈をかわし合うというか…通勤途中とか、少しずつ読むとかには向かないけど、一気に読む分には問答に振り回されて面白く読める。少なくとも、こういう話は私は好き。まだまだこの世界設定でのキャラクターの続編にも期待したい作品です。後書きにキャラクターを追加して本にした感じかなぁ。
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「ハズレ君」という変てこな人形が出す100の問に「くずっち」こと葛葉紅葉が悩みながら答えたり答えなかったりするお話。
ハズレ君の質問は社会の常識を、みんなが当たり前と思っていることに疑問を投げかけるものばかり。丁度、上遠野先生のあとがきのノリな感じ。
なかなかに考えさせられました。奇妙な読了感だけどいつもの上遠野先生らしい、そんな1冊でした。
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“「目次」で人生が変わる!”という帯の謳い文句の通り、と言えるほどではないが、目次を見て購入したいと思ったのは確か。内容は、私たちが常日頃から当然のこととして受け入れていることを、葛葉紅葉とハズレ君が「問答」していくものである。
個人的には、「流行」の話や、「人を不幸にするもの」の話がなるほどなぁと思った。問答を繰り返すだけで答えが用意されていないのは作者らしいが、ちょっと期待していただけに少し残念。
帯の作品紹介が大袈裟すぎる。そこまで深刻な内容ではないだろう。上遠野先生の他作品との繋がりはそこまで強くないと思うが、やはり作品の全体像を知らないと読み終わった後ももやもやするんだろうな、とは思った。
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上遠野作品には恒例の、率直で素直ながら醒めた視点を持った少女。国籍不明の寡黙な男と彼が操る人形。面白かったのだけど、文芸書で出版するなら特殊能力出さなくても良かったんじゃないのかなとも思う。上遠野浩平作品は世界観の繋がりまくりっぷりが魅力の一つとはいえ。