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LHCの啓蒙書?
SSCが廃止になりLHCがなんとか稼働し、ヒッグス粒子を探し始めた。
LHCでヒッグスはみつかるのだろうか?
先日、ヒッグス粒子が見つかったというニュースが流れたが、すぐに否定され、今度は見つからないのではないか・・・というニュースが。
「LHCが空振りに終われば素粒子物理学の終わりになるだろう」
という言葉が現実の物にならぬよう祈っている。
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本書の題名に使われている「神の素粒子」とはビックス粒子の事を差しており、現在、この素粒子によって宇宙に質量が生まれたと考えられています。
未だ理論上の存在であるこの素粒子の存在を確認するため、粒子加速器を用いた大規模な実験が計画されているのですが、本書はこの様な素粒子の研究の歴史を解説した本となります。
本書の内容を簡単に紹介すると、
電磁気学の祖・マクスウェルが電場と磁場を統一する方程式を完成させた後、アインシュタインを始めとする様々な科学者たちが電磁力だけでなく重力なども含めた全ての力を説明できる統一理論の完成を目指した事。
そして、その動きがアインシュタインの死によって途絶え、代わりに原子核の謎を解き明かす素粒子物理学が注目を集める様になった事。
素粒子の謎を究明していくにつれ、新たに得た知識を基に再び統一理論の研究が盛んになり、それは量子力学の研究を加速させ、エバレットの「多世界解釈」、インフレーション宇宙論、ひも理論、M理論へと様々な新理論の考案へとつながって行った様子。
などが載っていました。
その他にも、
素粒子物理には付き物の巨大な粒子加速器。
この粒子加速器建設をめぐるアメリカとヨーロッパ・CERNの間の建設競争。
政治に振り回されたアメリカが、第2時世界大戦後、数十年にわたって維持してきた素粒子物理学研究の世界的中心地としての地位を失っていく経緯。
中心地から脱落したことにより、アメリカの次代を担う若手研究者が被るデメリット。
そのデメリットの悪影響に対する懸念。
などが書かれていました。
何かをきちんと理解しようとすれば、その歴史から学ぶのが一番であることは明らかでしょう。
理論物理学の場合、多元世界解釈ならばともかく、一般人には、ひも理論、M理論などいきなり言われても理解出来ないのが普通です。
本書は、素粒子物理学の歴史を扱うことにより、これらの理論がなぜ、どうして考えられたのかと言う事が、その研究の歴史を通して解説されており、理論の背景やその概要を理解する手助けになります。
#と言っても、決して詳細な理論の解説が載っているわけではありませんが・・・背景と概要の理解には十分な内容です。
何かをきちんと理解したければ、その歴史から学ぶ。
これを素粒子物理学に適用したければ、本書はおすすめではないでしょうか。
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神の素粒子と呼ばれるヒッグス粒子の発見のために、現在行われている実験やデータとその粒子の持つエネルギーの話。反物質と呼ばれるものは何か?
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自分はATLAS実験に学生の頃に参加しており、本書で説明されている内容に少しだけ触れていました
本書は素粒子物理の歴史を現在に至るまで主に実験ベースで記載しており、発行当時行われている実験において主にどのような探索を目的としているかを最後にまとめています
主軸としては現在の加速器(主にLHC)に至るまでの過程を詳細に記述しており、研究者の人柄等はなかなか触れる機会がなかったため興味深かった
また、自分が物理に触れたのはヒッグス粒子が発見された以降だったため、ヒッグス粒子発見以前の素粒子界隈の空気感というものを少しでも感じ取れたように思った
残念だったポイントとしては、発行時期のせいかLHCがいかに素粒子物理において重要かという説明に後半やや重きを置いており、もう少しLHCというものが持つ面白さも説明してもらえるとより良いと感じた