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子どもの世界の豊穣さがこの巻では描かれている。母とのキスをめぐる複雑な感情、ブロックとの友情、読書論、俳優のランク付け、恋愛への憧れ、物事がうまくいかないことへの苛立ち、、、。
なにより、かのマドレーヌと紅茶に象徴される五感に訴えかける描写は素晴らしい。
また、諧謔と皮肉る精神(特に女中フランソワーズをめぐって)やサディズムの描写も意外性があってよい。
さいごに、訳者後書きを読んで、天啓とも言うべき訳行の経緯に、泣けてしまう。最後まで心して読もう。
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時流から遅れがちなある貴族の家の出来事。世界最長の小説。読めるが、果たして最後まで読んだ方がいいのか…時間が溶ける…
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パラパラめくって、目を惹かれるところだけ拾い読みをしている。
ピスタチオのアイスクリームに、お祖母様のアンティーク趣味に、叔父の付き合っている女優たちに、眠れるのかそうでないのかわからない夜のエピソードなど。
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海岸での生活と叔母の描写が多い。昔読んだことは全て忘れていた。絵画、写真等が挿入され説明されている。架空の場所と書いてあるが、地図もあり事実としても読める。
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死ぬまでに読むか読まないか分からなかった本ですが、ついに手を出してしまいました…。
他の本を読みながらの〜んびり読んでいきます。1ヶ月1冊ペースでいければいいなあ。
どの翻訳で読もうかと思ったのですが、ネットで「岩波の古川訳が一番プルーストとして訳している」ということなのでこちらを選びました。
訳註、人物紹介、地図、本文で出てくる美術品の写真も充実しています。
展開に関する注意書きは特に丁寧で「この記載は、第2部で詳しく語られる」など予告されるので、読者としてはではここを覚えておこう、など取っ掛かりになります。
老年と思われる語り手が寝床で、今まで住んできた部屋、そこから連想するこれまでの人生を思い返す。
冒頭の<長いこと私は早めに寝む(やすむ)ことにしていた。ときにはロウソクを消すとすぐに目がふさがり、「眠るんだ」と思う間もないことがあった。ところが三十分もすると、眠らなけくてはという想いに、はっと目が覚める。いまだ手にしているつもりの本は下に置き、明かりを吹き消そうとする。P25冒頭>という冒頭部分から、寝てるの?寝てないの!?という疑問もちょっとわきつつ、でも寝るときのほわ〜んとした意識と無意識の間ってこんな感じだよね、とも思う。
こうして語り手は少年時代に別荘地として過ごしたコンブレーという町のことを思い出す。
語り手が暮らしているのは、大叔母と、その娘で病床のレオニ叔母、祖父アメデと祖母バチルド、レオニ叔母に使える女中のフランソワーズ、そして父と母。
語り手の連想は母親におやすみのキスをしてもらうための幼い謀から始まり、家における親族のこと、時に面倒見が良く時に残酷さを見せるフランソワーズ、そして一家と親しい近隣の人たち。
そのなかでも一家と付き合いのあるユダヤ人仲買人のスワンという男がいる。パリ社交界では顔が利き、コンブレーの別宅は語り手の近所であり、一家からも親しみを持たれている。だがスワン氏の妻はもとパリの粋筋(高級娼婦?)のため付き合いを控える人達もいる。
そのスワン氏の妻は、ゲルマント公爵の弟のシャリュスと愛人関係にあると噂されている。
スワン氏の娘のジルベルトは、語り手にとって初めて女性として意識した相手だった。
他にも印象的だったのは、スワン氏がパリで聞いた演奏の作曲家であるヴァントゥイユ氏。職業はピアノ教師で、作曲も行っていることは公表していない。スワン氏は、コンブレーのおとなしいピアノ教師がまさかあの素晴らしい曲を創ったとは思わず、同じ苗字の親族なのか?などと思っている。
ヴァントゥイユ氏の娘は、ふしだらと噂される女友達と同棲している。
近隣の上級階級者としてはゲルマント公爵家がある。
語り手は、ゲルマント公爵夫人の噂を聞き想像を巡らせる。
語り手の屋敷からは2つの散歩道があった。
スワン家の前を通りメゼグリース村方面に向かう”スワン家のほう”と、ゲルマント公爵の城がある方面”ゲルマントのほう”。
1巻題名の「スワン家のほうへ」は、この散歩道のことを示す。
…で���が、特にスワン家のほうの散歩道だけでの出来事でなく、ゲルマントのほうの散歩道の出来事も語られている。
語り手の回想は、事実としての記憶だけでなく、人間の感覚と結びついて、思いは繋がり繋がって行く。
レオニ叔母に示された紅茶に浸したマドレーヌの味、スワン嬢の名前を聞いたとき胸に広がった波紋、花の香りを”サンザシの匂いでぶんぶん唸っていた”という表現。
<このようなわけでメゼグリースのほうとゲルマントのほうは、わたしからすると人生で経験した数多くの出来事と未だに結びついている。私が人生と言うのは、我々が並走して送っているさまざまな人生の中で、もっとも波乱万丈で、もっともエピソードに溢れた人生、つまり知的人生のことである。P390>
こうして眠る前の半無意識の中で人間の感覚が想い出に結びつき、とりとめのない記憶を漂ってゆく。
1巻の最後で目が冷めたところで終わり。
2巻はこちら
https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4003751116
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「やがて私は、その日が陰鬱で、明日も陰気だろうという想いに気を滅入らせつつ、なにげなく紅茶を一さじすくって唇に運んだが、そのなかに柔らかくなったひとかけらのマドレーヌがまじっていた。ところがお菓子のかけらのまじったひと口が日蓋にふれたとたん、私は身震いし、内部で尋常ならざることがおこっているのに気づいた。えもいわれぬ快感が私のなかに入りこみ、それだけがぽつんと存在して原因はわからない。その快感のおかげで、たちまち私には人生の有為転変などどうでもよくなり、人生の災禍も無害なものに感じられ、人生の短さも錯覚に思えたが、それは恋心の作用と同じで、私自身が貴重なエッセンスで充たされていたからである。」p.111
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訳者の人もあとがきに書いていたが、懸命に内容を追おうとする読み方よりも、虚心に思うがままに読むことがこの本の読み方の正解な気がする
あまりにも比喩表現が多くて、長ったらしく感じる時もあるけど、基本的に読んでいてずーっと心地よい気分だったな
暖かい午後に陽の射す庭や、夜眠る前に温かいものを飲みながら読むととんでもない幸福を感じそう 14巻まで頑張って読むぞー
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2023年3月
思考は次々と展開し、まなざしは言葉よりも雄弁に語る。過敏な語り手に共感するところは誰しもあるのではないかと思う。
『収容所のプルースト』という本を読んで、生死が隣り合わせの収容所において心のよすがとなったプルーストに興味を持った。今のところ、この小説に描かれているのは、少年の母親に対する愛情と家族の近所付き合いと芸術と食卓である。生命が保障された環境下にある「私」の実に人間らしい悩みと喜び。収容所において人の心を救ったのは、この人間らしさなのではないかと思った。
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一文一文が濃厚で、あっという間に持って行かれる。
圧倒されてるのにここちよくて、どんどん読める。これが傑作の力ですかー
このまま最終巻まで行けるといいな笑