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交渉の裏側が垣間見られて面白かった。
印象的だったのは、交渉を通じて国益の異なる交渉相手と信頼関係を築いていくというところ。信頼関係がなければ交渉が上手くいかないというのは、目からうろこであった。言うべきことは主張し、リラックスする場では冗談も言い合う。お互いに交渉をまとめなければならないから立場は一緒なのだと感じた。
日本の外交は弱腰といわれるが、アメリカからの要求、日本の縦割り行政など、歴史的、構造的にそうなっているのだと感じた。
アメリカに対して堂々と主張している国もあるので、今後は、日本もロジックを持って主張する必要がある。
日本人は自分たちのことを控えめに見ているようだが、日本が海外で行ない他の国から評価をされている貢献はたくさんあるようだ。日本の親切な国民性や美しい自然、技術力など、日本の素晴らしさをきちんと認識し、自分たちを卑下することなく国際社会で主張しリーダーシップをとっていきたい。
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官僚が在任中に著書を出版するケースは少ない。
官僚は黒衣として働くのが基本であり、
守秘義務にも当然しばられる訳だから
自分の考えを直接世に問う機会は限られる。
それだけに退任した官僚の書いた本には
ときどき読む価値のあるものがある。
退任ではないが起訴休職中の佐藤優の一連の著書、
守屋武昌『「普天間」交渉秘録』(2010)も面白かった。
官僚たちの仕事のポジティブな部分を知ることができるのだ。
一部のメディアや政治家の言うように
「官僚=悪」と決めつけて思考停止する訳にはいかない。
藪中三十二『国家の命運』を読む。
小著ながらなかなか味わいがあった。
藪中は現役時代、『文藝春秋』連載
「霞ヶ関コンフィデンシャル」の常連だったから
名前を見知っていた。
藪中はアメリカや北朝鮮との交渉の経験などから、
プレゼンテーションにおける英語やロジックの大切さ、
51:49で譲るところ、譲らないところを線引きする工夫など
具体的な助言をしている。
藪中が実践してきた国際的場面での交渉術は
僕たちの日々の仕事の大小さまざまな交渉にもおおいに役立つ。
元官僚としての藪中の矜持は
日本の近未来に対する危機感に支えられている。
日本がこのまま沈んでなるものかとの思いだ。
さて、翻って、自分はどうだろうと胸に手を当てる。
日本という国にも、日本人であることにも誇りを持っているが、
それをなにかのカタチで表現しているか。
自分にできることはあるか。
国家主義にも、民族主義にも踊らされる気はさらさらないが、
誇りと矜持について考えるときがある。
それは会社主義ともどうやら違うようなのだ。
(文中敬称略)
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奥ゆかしさを大切にする辺境人、日本人。
しかし、交渉の場では、論理とかけひきが重要。
外交を極めた著者が、分かりやすくその要諦を説く。
極めた人には、他の分野にも共通する本質的な部分が見えている。
読みやすく手頃なボリューム。
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アメリカとの沖縄基地問題、中国との尖閣諸島、ロシアとの北方領土問題など、なにかと「外交」というものがクローズアップされている。
もちろん日本にとって大切なことであるのだが、その外交の世界を今まで以上に知りたいと思い買い求めた書。
著者の藪中さんは、外務事務次官をつとめるなど、外務省歴もながく、様々な外交活動の裏側を知る方であり、とても興味深い内容が多かった。
・「受身の姿勢」「言い訳の姿勢」「小出しの姿勢」
・各省は「すでに対策は講じているが」という解説を加えたがり、それがアメリカ側の指摘する「危機感のなさ」につながっていたのだ。
・「中国に言っても反応がないからだ。反応しない相手はやりにくい」
・「動じない」「言い訳をしない」「相手を攻撃する」
・何はともあれアメリカの言うとおりにしよう、それが間違いない道なのだ、という単純な思考パターンを繰り返すようになってしまったのかもしれない
・ロジックのあるオフェンスが必要なのである
・外国に兵を出さないというのも一つの大きな政策であることは忘れてはならない
・「できない」を繰り返すのではなく、「何ができるか」を自分の発意で示すこと
・抑制も習性となると、考えるのを休止することにつながる
・相手の国が何を狙っているか、交渉と結論を急いでいるか、相手国の力はどのくらいか、交渉担当者の人となり、国内における力量はどうか
・嘘をつかず、欺かない
・絶対に必要なことと、融通の利くことを分け、優先順位を相手に分かるように伝える
・ダメなこと、デリバー(実現)できないことは、はっきりと言う
・文化や習慣、育ちも思考形態も違う相手と話す場合、ロジックがないと話がかみ合わない
・ロジックというのは、「世界共通用語」ということになる
・尖閣諸島は日本固有の領土であり、日本が実効支配しており、領土問題は存在しない
このように、外交に携わる基本的な理念、スタンスは日常のビジネスに役立つものが多い。
特に取引先などとの交渉は、会社の命運を分けることもあり、大いに参考になった。
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元外務省事務次官。小泉政権下のG8サミットの際にはシェルパも務められたとのこと。こんな風に動いているんだな、というのがよくわかった。
暴露本ではないので、詳細部分については省略されているけれども、それは良心的でもあるし、配慮でもあるし、何よりも「職業外交官」としての理性と知性と思いやりが感じられる。
もう少し、ボリュームがあってもいいかな、なんて贅沢なこと思っちゃいました。
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ほんの少し前まで最前線で日本外交の交渉を担ってきた方で、将来への憂いを滲ませる著作。まあ、現状を鑑みれば誰もが感じざるを得ない認識です。
新書の内容としては少し軽めで、過去の体験を踏まえたエッセイが中心。やはり詳細な話は外交上差し障りがあるので話せないのでしょう。外交官は最後に歯を見せてはならない(笑顔)と言われるほど、こちらが「勝った!」と相手に思わせてはならないといいます。秘密をどこまでも抱えていなければならない立場としては、ぎりぎりの話なのでしょう。
外交上の駆け引き術やこれまでの外交交渉の内幕はそれなりに面白かった。
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外交官だけど官僚にありがちな上から目線は全く感じられず、すごい人なんだろうけど親しみが感じられる。
国家の要諦から外交の裏話まで話題は尽きない。かつ、おそらく著者の仕事や言いたいことは文庫本一冊にはおさまらないと思う。読んでよかったし、続編希望。
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霞が関の伝統は、「継続性」にある。つまり、過去の政策について誤謬を認めようとしない。こうした習性が背景にあるから、構造協議だからといって、それまでの政策を頭から否定はしない。むしろ各省は「すでに対策は講じてきているが」という解説を加えたがり、それがアメリカ側の指摘する「危機感のなさ」につながっていたのだ。
日本は戦後、追いつくべき相手に追いついてしまうと、次なる目標が見えなくなった。そしてアメリカからの要求を待つという姿勢になった。何かにつけアメリカの要求を待ち、その半分か、三分の二ぐらいまで聞き入れる。それは日本のお家芸のようになっていった。
俎上にあがった問題に対する言いわけと、具体性のない対応策では、相手に売れない。「問題を認め、その上で、対策は大胆に、かつ目標は明確に」がポイントなのだ。
論理だったオフェンス
「動じない」「言いわけをしない」「相手を攻撃する」
交渉においては、ペース設定がきわめて大事な要素である。北朝鮮が手ごわいのは、交渉のペースを作れるから。日本のメディアは今日一日のことを質問するが、かれらは一年かかろうが気にせずマイペースで考えられる。
日本側の出席者からは、何度となく、「ご理解いただきたい(please understand)」というフレーズが聞かれたものだった。日本の事情は特殊なのだと相手にくどくど説明し、結びにこのフレーズが口を突いて出るのだ。
およそ良好な二国間関係というのは相互依存の関係、つまり、協力的な関係を築くことが双方のメリットになる関係であり、そうでないと長続きはしないのである。
交渉という観点からは、「できない」を繰り返すのではなく、「何ができるか」を自分の発意で示すこと、これが大きく効いてくる。要求に対して受け身ではなく、オフェンスに出る。つまり、「Yes, we can」であり、これこそが評価されるポイントなのだ。
(1)相手の国が何を狙っているか(2)交渉と結論を急いでいるか(3)相手国の力はどのくらいか(4)交渉担当者の人となり、国内における力量はどうか
(1)ウソをつかず、欺かない。交渉の初期段階では「ダメもと」、無理は承知で、まずは目一杯の要求をつきつける、相手の要求に反論することが、やむを得ないこと、必要なことでもある。それでもウソはいけない。
(2)絶対に必要なことと、融通の利くことを分け、優先順位を相手に分かるように伝える
(3)ダメなこと、デリバーできない(最終的に実現できない)ことは、はっきり言う。
最終局面では、決裂を恐れずに舞台に立ち、勇気をもって決断する
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外務省次官をやっていた薮中氏の本。事務次官を退任したとはいえ、まだ顧問という立場にいて外交にコミットする可能性があるからか、あまり際どい主張はない。しかしながら、2000年代の外交交渉を担当しただけあって、外交の「意図」や「信念」を感じさせる内容ではあった。
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2010年まで外務事務次官を務めていた著者。
それだけあって、日本の外交上の諸問題がわかりやすくまとめられていた。
もちろん、新書という形をとっていることも理由に挙げられるだろう。
以下、めも。
•日本のマスコミの過剰な日米関係への反応
•米中の依存関係と、過去の日米関係との相違
•日本なりのyes,we can、それに反してODAの激減
•look Korea
•日本の一日は北朝鮮の一年
若者よ、世界の舞台へ!
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外交官として長年対外交渉の現場で活動し、外務省の事務次官を務めた(2010年退任)薮中三十二氏が、その外交の現場での対外交渉のあり方や、日本の今後についてを語った本です。
タイトルが、「国家の命運」とかなり固い感じですが、中身が外交交渉の経緯が述べられている部分が多く、日米構造協議、北朝鮮問題を検討する六か国協議、サミットなど、こういった交渉だったのかというのがわかります。またその交渉の進め方は、外交に限らず、ビジネスにも役立つものだと思います。
外交交渉では、北朝鮮のしたたかさがよくわかります。問題解決というか交渉の時間感覚が大きく違いすぎること、そこを北朝鮮がよんで交渉してくることについて、もう少し日本側は、政治家も、外交官も、それ以上にとにかくネタを求めるメディアも考えるべきだと思います。
EPAや、FTA、そして今、新聞メディアを賑わしている政治の取り組みとしてのTPPについて外交交渉の現場風景から考える上でも参考になります。
どちらかというと、外交交渉から考える交渉の仕方や、日米構造協議以降の外交の裏側を読んで振り返る色が強い感じでした。
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読了。「こんなもなぁ、墓場まで持っていく」焼却炉にむかって次郎さんが呟いたという、逸話が浮かんできた。外交の第一線に立ち向かってきた、ほぼ現役の外交官の新書。国際社会の日本の立ち位置 なう がわかる。さあ、どうする新生内閣のおのおの方。
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昨年まで外務事務次官であった著者が自らの経験から、日本のあるべき姿に言及している。経験を積み重ねた人の言葉は重い。
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【7/150】こういう本は古本屋で買って読んではだめよね。やっぱり旬が命の本かな。テレビでよく映っていた薮中さん。ほんと諸外国との交渉おつかれです、と思わずつぶやいてしまう。
マスコミの情報はほんと当てにならんといつも思う。当人が書いた本をまず読んでみないと、ことの善悪はともかく、当事者の生の意見は興味深い。
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僕としては、TPPに反対なのですが、賛成の人の本を読んでみました。著者が、なぜ、賛成しているのかは良くわかりませんでした。方針を決めるのは官僚ではなくて与えられた条件下でできるだけがんばることしかできないのだから、小泉首相の時代にがんばった結果、TPPにも、国内でぐずぐず言っていて、外交の現場で信頼を失うのは困るみたいな立場になってしまうのだと思います。
アメリカの覇権がまだまだ続くという前提なら、まあ良いのでしょうが、アメリカに売っても、ドル刷って支払われるだけというのが見えている状況だし、ドル安が進めば、アメリカ製のものでも、もしかしたら競争力を持ったりすることもあるかも知れず、TPPでクリンチされている状況で、ドル印刷で、ドル安誘導とかされたら、困ってしまうはずです。
著者が、そういう心配をしているようには思えませんでした。