紙の本
ひとりの人物を追いかけた小説を読み終えるときに感じる寂しさ・・・。
2011/03/23 13:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史上の人物の一人を描いた小説を読み終えるときにいつも感じる寂しさが、やはり今回も胸に迫る。7歳で登場した浅井家三姉妹の末娘・江が、最期には、徳川将軍の正妻となり、母となり、のちの天皇の祖母にまでなる。だが、そんな栄華とは関係なく、江は江らしく振る舞い、その生涯を閉じた。「姉と妹を結ぶ役目」を母である市から託された次女・初が、長女・茶々(淀)と、三女・江の最期を見届けることになるのか・・・。
本書は秀吉の死から始まり、石田三成と家康との戦い、そして豊臣対徳川という、三姉妹にとっては身が引き裂かれるかのような辛い争いを経て、徳川体制が整いはじめ、家光が三代将軍となるところで終わっている。
秀頼を育てながら、身も心も豊臣の人となった淀。かつての茶々からは考えられないほどである。それも我が子を思うがゆえのこと。江も三度目の結婚で幼き頃から探し求めていた「手」を見つけた。その時から、徳川の人となったのである。義父である家康が姉と甥を潰そうとしている。江には止めることができなかった。
しかし、皮肉なもので、そうした血の繋がった者たちの死によって、泰平の世が訪れたのである。これで戦争は終わり。もう権力争いなどしなくてすむような制度を作るようにと、夫・秀忠に話す江。
豊臣家は秀吉が逝って間もなく、危うくなった。徳川家は家康が逝ってもなお、そのご15代まで続くこととなる(その間、ゴタゴタがなかったわけではないけれど)。この違いは何だろう。秀吉が成すことができず、家康に成せたこと。人を惹き付ける魅力であれば、秀吉も負けてはいなかっただろうに。だからこそ・・・なのか。関白の地位も、豊臣家の魅力も秀吉一人のものだったのだろうか。
いや、生きている間に長く続く体制を考えるだけの余裕を晩年の秀吉は持っていなかった。そういうこと、かな。
歴史小説は描き手によって、人物像が異なるし、話自体が変わってくる。別の視点からも浅井三姉妹について知りたくなった。
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最後は大河ドラマの最終回を見ているが如く盛り上がる。
「本日只今を生きること」
織田と浅井の血を残し、将軍家と天皇家にも血を繋ぎ、江は波乱の人生を終えた。
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髪を乱し、頬をなぶって過ぎる風は、この世の何より心地よい。
母に初めて馬に乗せてもらったときの興奮が、北庄の懐かしい風景が、たくさんの人の顔が、とりどりの場所の記憶が、次々に現れては後ろへ流れてゆくようだった。
私は幸せだと江は思った。それは今いる場所や名誉や栄華、息子や娘たちのおかげでもない。江が江として生き、これからも、ずっとそうしてゆくと決めているからだ。
「そのまま大きゅうなれ、お江。おのれを信じ、おのれの思うまま存分に生きよ」
伯父信長の声が風に乗り、聞こえた気がした。(本文より)
(本書帯より引用)
歴史上の人物の一人を描いた小説を読み終えるときにいつも感じる寂しさが、やはり今回も胸に迫る。7歳で登場した浅井家三姉妹の末娘・江が、最期には、徳川将軍の正妻となり、母となり、のちの天皇の祖母にまでなる。だが、そんな栄華とは関係なく、江は江らしく振る舞い、その生涯を閉じた。「姉と妹を結ぶ役目」を母である市から託された次女・初が、長女・茶々(淀)と、三女・江の最期を見届けることになるのか・・・。
本書は秀吉の死から始まり、石田三成と家康との戦い、そして豊臣対徳川という、三姉妹にとっては身も引き裂かれるかのような辛い争いを経て、徳川体制を整いはじめ、家光が三代将軍となるところで終わっている。
秀頼を育てながら、身も心も豊臣の人となった淀。かつての茶々からは考えられないほどである。それも我が子を思うがゆえのこと。江も三度目の結婚で幼き頃から探し求めていた「手」を見つけた。その時から、徳川の人となったのである。義父である家康が姉と甥を潰そうとしている。江には止めることができなかった。
しかし、皮肉なもので、そうした血の繋がった者たちの死によって、泰平の世が訪れたのである。これで戦争は終わり。もう権力争いなどしなくてすむような制度を作るようにと、夫・秀忠に話す江。
豊臣家は秀吉が逝って間もなく、危うくなった。徳川家は家康が逝ってもなお、そのご15代まで続くこととなる(その間、ゴタゴタがなかったわけではないけれど)。この違いは何だろう。秀吉が成すことができず、家康に成せたこと。人を惹き付ける魅力であれば、秀吉も負けてはいなかっただろうに。だからこそ・・・なのか。関白の地位も、豊臣家の魅力も秀吉一人のものだったのだろうか。
いや、生きている間に長く続く体制を考えるだけの余裕を晩年の秀吉は持っていなかった。そういうこと、かな。
歴史小説は描き手によって、人物像が異なるし、話自体が変わってくる。別の視点からも浅井三姉妹について知りたくなった。
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歴史の流れをさらう意味ならばよいだろうが、これが大河ドラマとなるのかと思うと、全体的に薄っぺらな気がしてならない
まるで当て書きのように、登場人物と大河ドラマの俳優たちとオーバラップしてしまうのも一因かもしれないが・・
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上中下巻まとめて感想。
現代っぽい考え方をする人間ばかりがでてくるが、そういう小説だと思って読むと案外面白かった。歴史としては、通常言われていることを書かれているにすぎない(つまり、どんでん返しや裏がない)が、大河ドラマなんだからそれは当たり前だろう。却って、通説と言われていることでも忘れていたり知らなかったりしたことが多かったので、すごく勉強になった。
江の個性は強烈すぎだけど。
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【江 姫たちの戦国 上、中、下】 田渕久美子さん
浅井長政と市の娘として生まれた三姉妹。
戦乱の世の常として彼女たちは政争の道具として
時代に翻弄される。
そんな中、伯父の織田信長に一番似ているのが三女の
江であった。
戦国の時代、女の戦いとは生き残る事だった。
実父、義父は戦に破れ自害した。
豊臣秀吉の道具として三度も嫁に出される。
そして三度目の結婚で後の将軍秀忠の正室となる。
「江、おのれを信じ、おのれの思うまま存分に生きよ」
という信長の言葉の通り、思う存分に生き抜いた江の生涯
の物語。。。
☆
今、NHK大河ドラマでやっている「江」の原作。
原作、脚本が同じ方なので、物語もテレビとさしてかわる
所はありませんでした。
読み始めは、テレビを思い出しつつ、、
中程からは、これからのテレビ映像をイメージしつつ
面白く読めました。
さて、頭の中でわたしが作ったこれからの映像と実物とに
どれほどの違いがあるのかも楽しみです。
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大河ドラマの進みっぷりが異常に早いので、色々気になって。
今ドラマでは中巻と下巻の間くらい。
時代劇なんだけど・・・
小中学生の時に読んだ、コバルト文庫な感じのライトノベル。
熟読・精読よりは電子ブックか立ち読みでぱっと読む向け。
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戦国時代を生きた浅井三姉妹の物語。戦国時代と言うと、どうしても武将が中心とされて、描かれる物語が多い中、姫君の目線で描かれているのが、とても新鮮でなおかつ読みやすかった。
今まで曖昧だった正室、側室などの関係もよく分かり、歴史を女性目線で読むことの楽しさを知った一冊。
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上中下巻と2日にかけて読みました。歴史物は言葉やセリフが不慣れでわかりづらいくないか心配でしたが、すんなり読めました。きっと分かりやすいよう現代版に直されているんでしょうね。茶々、初、江の浅井三姉妹の激動の人生が描かれています。信長にとっても秀吉にとっても家康にとっても江はとても重要な人物だったんだと思いました。この時代には無茶苦茶な女性だったかもしれませんが、江がいたからこその結果もあったでしょう。秀忠と相思相愛でよかった。側室を持つのが当たり前の時代で江だけを想ってくれる人。この時代だからこそ大変だったと思います。大きな家でプレッシャーもあったでしょう。最期は平和に暮らせたようでよかったです。実在の人物の一生を2日で読んでしまえるのもなんだかもったいない気持ちです。ドラマは見ていなかったけどいつか見て見たいものです。
h29.4.13
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内容紹介
女の戦は生きること。本日只今を生きること。
戦国の世の運命に翻弄された、美しき浅井三姉妹の三女・江。その波瀾の生涯。大奥の潔い終焉を描き「篤姫」ブームを巻き起こした田渕久美子が、大奥の始まりに至る道のりを、江を主人公に、鮮やかに華やかに描く。新装版・下巻。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田渕久美子
島根県生まれ。NHKでは連続テレビ小説「さくら」(橋田賞受賞)、月曜ドラマシリーズ「妻の卒業式」、夜の連続ドラマ「女神の恋」「ダイヤモンドの恋」など話題作を多数執筆。前向きに生きる女性たちの姿を豊かな表現で描き、視聴者から深い共感を得ている。また、ドラマ以外にも映画・ミュージカル・落語・演劇・狂言など幅広い分野で精力的に執筆活動をしている。大河ドラマは、「篤姫」(2008年)に続いての2作目(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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歴史の教科書をなぞるような展開になり、人物の判断、葛藤、苦悩なんかは感じられなかった。
なんで徳川は関ヶ原であの判断なのか、決起した光成の動機なんかに歴史ロマンがあるのに、その辺が浅く感じる。
天下分け目の緊迫感がない。
司馬遼太郎は本当にすごいな、と思いながら読んだ。
大河では小説より人物のイメージがはっきりしていて、心情も演じられていると思うので、おもしろいのかもしれない。
今度見てみよう。
「女子の戦とは、生きることにございます。生きること。本日只今を生きてゆくことにございます」
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この時代の小説を読むのは久しぶりだ。信長、秀吉はテレビ番組にも登場するので今回の江の登場人物にも慣れ親しみがある。三浦綾子著「細川ガラシャ夫人」をかなり前だか読んだ影響かもしれない。茶々、初、江の三姉妹の波乱に富んだ人生を時代背景を織り交ぜながら描いた作品であっという間に読んでしまった。
田渕作品を読むのは初めてで、紹介していただいたムツミさんに感謝
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全ての人をいい人で描いているので楽しめたけど、人間らしくない。
理想の世界だよなぁの一言。
史実に沿っているので歴史の勉強にはなる。