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夜は終わらない みんなのレビュー
- ジョージ・ペレケーノス (著), 横山 啓明 (訳)
- 税込価格:2,200円(20pt)
- 出版社:早川書房
- 発売日:2010/12/10
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新書 バリー賞 受賞作品
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紙の本
地味な小説です。魅力的な人間がほとんど出てきません。男たちとくれば、自分が可愛い、それだけの存在で、その子供が親を見て育ったものですから矢張り自分のことしか考えない。読んでいて苛々します。でも、女性がいいから救われる・・・
2011/11/09 20:06
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者紹介には、ペレケーノスについて、1957年、ワシントンDC生まれ。ハメット賞、イタリアのレイモンド・チャンドラー賞など数々の栄誉に輝くミステリ界の巨匠とあります。50代で巨匠もないだろう、なんて思いますし、ハメット賞をとった作品で「これは!」というものに出会ったことがありません。さらにいえば「イタリアのレイモンド・チャンドラー賞」って何よ? 数々の栄誉って? と聞きたくもなる。
ま、単に私が読んだことがない、っていうだけなんですが、巨匠なんだから他にも翻訳があるんだろうなあ、と思って検索したら、これが「ゼロ」、ただし10冊以上、過去に出ているのですが、今は入手難。要するに売れなかった。そこらについては解説に一言もない。いずれにせよ賞とさえ名がつけば経歴に載せる、っていうのは何だかなあ、です。却って足を引っ張ることだってある、っていうことに気付かないのでしょうか・・・
とはいえ、水戸部功の装幀は絶好調です。最近、同じポケミスのブルース・ダシルヴァ『記者魂』を読んだばかりですが、この新聞をコラージュのように利用したデザインもピチっと決まっていて、新装なってから一度も外れがないというのは立派。で、新デザインになってから一年近く経って、水戸部功って何者?って思ったわけです。で、手抜きでネット検索。安直に Wikipedia チェック!
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水戸部 功(みとべ いさお、1979年 - )は日本の装幀家。
経歴 [編集]多摩美術大学美術学部情報デザイン学科卒業。メディアアートを専攻。大学在学中から装幀の仕事を始め、現在に至る。
2004年、造本装幀コンクール展 審査委員奨励賞受賞。2011年、『ハヤカワ・ポケット・ミステリ』シリーズの装幀で第42回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。
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まず、若いことに驚きです。いや、前任者の勝呂忠が亡くなったのが84歳だったので、同じ位の年齢の人が跡を継いだと思ったんです。よく考えると、そんな馬鹿なバトンタッチはないわけで、そんなことしてたら数年でまた交代しなきゃいけない。だから世代交代ね、求められたのは。とすれば50代だろ、って思ったんですが、2世代戻っていたとは、シュシュがあるとは(前田敦子「AKB48がいっぱい」より)・・・
しかもです、最後のところに注目です。「2011年、『ハヤカワ・ポケット・ミステリ』シリーズの装幀で第42回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞」とあります。見る人は見ているんだ、他社の本に賞をあげるっていうのも、公正なかんじでいいなあ、さすが日刊デジタルクリエイターズ の「気になるデザイン[55]勝手に「今週のベスト装丁」始めます」で、このシリーズの、『午前零時のフーガ』を褒めるだけのことはあります。
いやはや、脱線に次ぐ脱線、中国の高速鉄道も真っ青。閑話休題。まず、帯の言葉ですが
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二十年越しの回文殺人事件をめぐり、
正義を求める者たちが立ち上がるが……
首都ワシントン
この街に、
今日も
涙が流れる――
ジョージ・
ペレケーノス
最新作
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とあります。「回文殺人事件」というのが新しいです。ここだけ取り出せば、なにか古臭いミステリを思わせますが、そうではありません。あくまで、被害者の名前に関する共通点、というだけなんですが、クリスティの『ABC殺人事件』を思ってもらったほうがいい。でも、似ているのはそこだけで、あとは社会派ミステリというほうが正しいでしょう。カバー後には
*
ワシントンDC。麻薬、貧困、
人種間の争いが蔓延する街――。
刑事ラモーンは、この街の犯罪
との終わりなき闘いに日々神経
をすり減らしている。そんな彼
でさえ、やるせなくなる事件が
起きた。犠牲者は少年で、しか
も息子の友人。事件の解決を心
に誓い捜査を始めたラモーンは、
二十年前の未解決連続殺人事件
との類似点に気づく。さらに他
の殺人事件との意外な関連性も
浮かびあがった。事件をめぐり、
人間の欲望と執念が交錯するな
か、明らかになる真相は……。
家族の絆を軸に描く、哀切に満
ちた傑作長篇。バリー賞受賞作。
*
とかいてあります。主人公、というのには抵抗感がありますが、話の中心にいるのがガス・ラモーン、ワシントン市警暴力犯罪斑の巡査部長です。大学を中退していて、20年前の回文殺人事件当時、2年目のラモーンとホリデーは事件現場で警備にあたっていました。はっきり言えば真面目だけがが取り柄で、自分さえよければというところが気になる白人です。他人を告発するだけの器量も潔癖さももたない男を主人公とはいいたくありません。
その父親の影響を受けているのが、息子のディエゴです。父親の期待に全く応えられないだらしのない息子で、その原因はラモーンの「自分さえよければ」という考え方でしょう。頭もよくありませんが、他人を小馬鹿にした態度には読者としてもイライラさせられます。ついでに書いておけば、レジーナは、ラモーンの妻で、白人のラモーンと結婚した黒人の元警察官です。二人の間にはディエゴの他にアラナという娘がいます。
そのようなラモーンに対して、本当の主人公といえるのは正義の味方、ドクことダン・ホリデーです。元警察官だったドクは、現在は送迎サービス会社の経営者です。といっても、従業員は彼とあと一人だけという小さな会社。のちにラモーンの告発で、濡れ衣を着せられたまま警察を追われています。根っからの女好きですが、警察官としてのセンス、町の誰とも気軽に話せるという長所を持っています。
そしてもう一人が、20年前に事件を担当していたT・C・クック、元殺人課の有能な巡査部長で、現在は引退しています。この3人が捜査にのりだすのですが、そのきっかけとなったのがエイサー・ジョンソンの死です。エイサーはディエゴの友人で、父親の期待に応えられないことに悩んでいました。ちなみに、ディエゴは全く悩むことはありません。悪いのは自分以外だと思うからで、そこがエイサーとの大きな違いです。
ある意味、事件というよりは群像を描くことで時代を描こうという話といっていいでしょう。それなりに面白く読めますが、強烈な印象はありません。現実をリアルに描いているのに、記憶に残り難いというのは勿体無い気がします。ペレケーノスが玄人筋で高い評価を得ながら、日本で本が売れないというのはこういった作風に原因がありそうです。
ちなみに、私のお気に入りはドクと、ラモーンのパートナーで、4人の子供を育てる女性警察官ロンダ・ウィリス、仕事だってラモーンより出来る気がします。
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