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私小説という分野があるのはなんとなく認識していたが、すべての著作が私小説で固められている作家がいるとは知らなかった。西村賢太の小説はかつて一冊読んだことがあるが、そのダメっぷりに迫力があった印象があるけどそこまではハマらなかった。しかし、改めてこの機会に彼の略歴がつまびらかにされるうちに果たして、彼に興味を持たない人間はいないのじゃないかと思った。本作であるが、まさに著者の体験をしかもかなり狭い範囲の出来事を小説にしている。物語としてはその設定から主人公の性格、まわりの人物どれをとっても完全に矮小である、しかし不思議とおもしろい。小説を書くということはどこまでも自分を掘り下げる作業である、と、ある作家がいっていた。そういう意味ではこれほど純粋な小説家はいないかもしれない。
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やっぱ女と同棲してる時の話の方が非道さが際立っていいね。あと藤澤清造絡みの話が登場すると偏執さに磨きがかかる。その二要素がないのでその部分ではいささか物足りないのだが、ま、そればかり書いていてもなあ、という気もするので、このちょっとほろ苦い一方的な友情路線も割と良かった。
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これでもかこれでもかとばかりに、鬱屈したジブンや日々の営みを一文字一文字に書き込む姿勢は真摯であり、恐怖感すら感じた。
食べるための労働、そして性への(生への?)渇望がシンプルすぎて、人がみな持つ欲求というのまざまざと見せつけられ、そこから目を背けたくなるのは私だけでしょうか?ということで、文才とは別に、そういうことに目をつむり、ふわふわとしていたい私は★3つ。
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初めは、芥川賞、だからという理由だけ。もしかしたら私のような"女子供"が読むような作品ではないかもしれないと苦笑した。しかし、やはりこの孤独さや辛さ、自堕落さは、時代背景を知らない者としても尚ひしひしと伝わってくるものがある。読んでいて決して心地良くはないが、読み終わったあと重い気持ちにならないのも筆者の才能だと思う。
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話題性に惹かれて読んでみた。いやいや、途中で読み飛ばそうかと思った箇所も。グロいとか詰まらんとか、そういうんじゃなくて。なんやろね。終始 眉間にしわ寄せて読んでた(笑)でも、この人の語彙の多さには、流石やなぁて。次の作品も読んでみよかな。
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内容についてはすでに騒がれていたのでそれほど驚くこともなかった。
文体が独特で古典を読んでいるようなリズム感、そのせいか悲惨な描写でもさらっと流れるように進んでいく。この文章力はすごい、成績は最悪だったとのことだが小学校の時の作文を読んでみたいものだ。
しかし、腰は治ったのだろうか…
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人間の黒いところを確かな文章力で綴った一冊。
リアリティがありすぎるのは、作者の自己露呈からの心の声であろうか。
が、しかし何か好きにはなれない。人間臭さが原因であろうか。文学とはテーマを抽象化して心理を描きだすことが目的と考えている。本書の特徴である人生に対する諦念は、昔からの文学のテーマであるし、それを自分の半生で代弁することに一般性は見て取ることができないのではないかと思う。
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今日読みはじめ、すぐに読み終わる。重い話だけれど重くならない語り口は嫌いじゃないなあ。彼が積み重ねたアナーキーな日々が伝わってきた。短編にこだわっているのかなあ。長編が楽しみかも。
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きとこわは、少女時代のきらきらした思い出がつまった宝箱を優しく覗き込んでいるかのよう。一方、苦役列車は、人間の欲や嫉妬、社会の薄汚さなど、目を背けたくなるようなものがびっしり詰め込まれたダンボール箱を目の前にしているかのようだ。でも不思議と読後感は悪くない。何故か。著者の西村賢太さんが芥川賞を受賞したからだろうか。最後の一文に、一筋の光を見つけた気がする。
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文藝春秋誌上で読んだので、ハードカバーではないんですが。
芥川賞が発表されたニュースで
「友達が一人もいない」
「読者に伝えられることなんて何も無い」
とか言っているのを読んで、興味を持った。
プロフィールを見ても割とどん底を経験してきた人のようだったし、
そういう人がどんな文章でどんなことを書いているのか興味がありました。
つくられた物語より、人間が出ているような予感がしたから。
主人公にじぶんの経験や想いを投影した半エッセイなんですが、
書き方がだいぶ客観的。距離をとった語り手になりきっている。
卑小でどうしようもない主人公の心情を
ひいきもなく、へりくだるでもなく、汚いとこまで書ききっている。
読んでいる方からしたら当たり前のようにスルスル読めるんだけど、
これって結構すごいことなんじゃないかなと思いました。
自分のことって、やっぱり主観的判断が入ってしまうものだから。
この人は書くことで、自分自身をわかりたいのかな。
書かずには生きていけないっていうの、なんとなくわかります。
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文藝春秋で読了。日雇いの経験、劣等感など、自分には遠い話だと突き放しては読めなかった。私小説というものの濃い匂いを初めて味わった。
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なんともいえない気持ちが残る小説。
自伝的小説なのであれば、もうどうしようもない。
今朝なかなか布団から出られなかったのだが、自分と貫太を重ねてしまい、これじゃあいかんとようやく起きた。
そういう意味ではためになる小説なのか。
しかし、芥川賞。
もうひとりのコトキワの作者との比の大きさ、育った環境、容姿含め、賞の関係者の思惑があったような気がしてならない。
作者には頑張ってほしいが、ひどく不安も残る一冊だった。
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もう、単純に怖いです。
私はきっとこの人の事を手放しですごいという資格はないと思った。彼の人生はリアルでリアル故にものすごく怖い。
今の世の中は、持ちたくても持てない人があふれているけど、彼はそういうところにいない。もっと多分経験してみたいとわからないような場所にいると思った。
だから、この小説を軽々しく人に勧める事ができないでいる。
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NHKのインタビューに登場した西村賢太さんの印象を
念頭に置いて、読み始めた。
確か「私小説しか書けない・・・」らしきことを
おっしゃっていたように記憶。
それにしても、鬱屈した自分をここまで書ける独特の筆致は、
すごい!
ドロドロした内面をテンポよく書いているので、内容は
暗い、重いのに、それすら感じさせなかった。
表題の「苦役列車」のラストで、作家への道は、不確かだったかも
しれないけれど、ここから始まったのだと強くアピールされた。
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文藝春秋で読んだので、もう一つの短編は未読です。
読むにつれて主人公を、こういう人いるんだよね〜、と妙に納得してしまった。でも山田詠美さんも書評で「ぼく」「おそば」などがキュートだといっていたが、私も同感でそういうところがリアルなんだろうと思った。へー、この人「おそば」っていうんだ、なんてちょっと面白がったり。人の生活をのぞき見ているような気持ちになった。