紙の本
待ち遠しい日々
2011/05/01 18:40
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本好きにはいくつかの悩みがあります。
例えば本の置き場所の問題。狭い家の中での陣地取りに悩まされます。例えば読書の時間。仕事の明け暮れに通勤時間を上手く活用するしかありません。だったら、いっそのこと早く定年になって思う存分読書三昧したいものだと。
実は私もその時のための本の準備はしています。それは司馬遼太郎さんのたくさんの作品。『街道をゆく』シリーズなんかゆっくりと読みながら旅気分にひたりたい。
だから、早く定年になりたいものだと思っています。指折り数えたりしながら。
本書は「定年と読書」を核テーマにしながら、読書の魅力を綴ったエッセイです。
著者の鷲田小彌太さんは1942年生まれですから、この本を書かれた2002年当時ちょうど60歳。普通の会社でいえば定年にあたる年。最近は定年延長制度を導入している会社が多くなりましたが、そんなことをすれば定年後の読書の楽しみがまた減っていくと懸念してもいるのですが。
そんな著者は「読書の本当の効用は、定年後にはじまる」と言い切っています。そして、「読書は楽しい。仕事のためにしようが、暇つぶしにしようが、読書は楽しい」と書いています。
そう。読書は楽しい。
そのような楽しい読書の日々は人生の後半期に待っているとしたら、こんなに楽しい人生はないだろう。
ただ読書が苦手な人もいます。本書にも「定年後に備えて読書体力をつけよう」という章があるように、定年前には読書訓練をしっかりしておくことは大事です。そうでないと、いくら読書が楽しいとわかってもなかなか読書三昧とはいきません。
著者は「読書が進むと、新しく読みたい本が出てくる。どんどん現れる。本は本を呼ぶ」と書いていますが、著者の域に達するまでには訓練が必要です。
定年まではまだまだという若い人もぜひ本書を読んで、読書訓練をしてみてください。
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まだまだ定年という時期ではないけれど、読書に関する限りは、今の生活を続けられれば・・・と思っています。
2014.11.2再読。うっかり買い直してしまった。読後感は変わりません。
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本を読まないやつはアホだということ。読書するという経験についての語り口は軽快で定年者でなくても様々な示唆を受ける。それにしても著者の姿勢は一貫してはいるが、谷沢永一、開高健、司馬遼太郎とは、ちょっと…。
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前半に心触れるか所が多くあった。
第二の人生を前にした人向けに書かれている本かと思われるかも知れないが、どの年代でも参考になる本だと思った。
読書をして人が豊かになるなど副次的な効果は書いていなかったが、読書をするのを前提にして書かれており、そのアプローチを示していた本だった。
機会を見てまた読み直したい本。
P6 題名が書かれているのだが・・・文字が小さい!米粒の1/2だよ。老眼で少しつらくかんじた。
P25
P42 読書をしていると、外界をゆるせることができる。との記述にまったくその通りだと感じた。と同時に、それを言葉で書きだしているこのあたりは読書を続けてきた人だからできる表現なのだと感じた。
P61 窓を開けて、川音をBGMにを読む。少し厚めのほんをいろんな体制で読む。これぞ贅沢!
P72 知的羞恥心。おもしろい言葉だと思う。
P80 自分のすばらしさを強調するために、すばらしい本を手に取る人がいる。この記述は引っかかる。そんな無益に時間を消費する人は、背伸びをした青年や読書し始めたひとのみではないだろうか?
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『夜と霧』によると、収容所で過酷な状況に耐えられず死んでいくのは教育のない肉体労働系だったらしい。だから長生きしたければ、運動するより読書で「知」を養えと。この説に科学的根拠があるのかどうか知りたいところ。
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定年にはまだ間があるが、言ってることはよくわかる。「読書って楽しい」と思ってる人は、回りに賛成者が少なくてガックリしたような時に読んで勇気づけられるのでは。そういうカンフル剤みたいな本かな。
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本を読まずに本を書くな。これが物書きの鉄則。読書をする人は現在の仕事に対して前向きにならざるを得ない。読書をすれば勘力が鋭くなる。
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私も本がなかったら、というか読書してなかったら…という時があった。読書はストレス解消に最適、疑似体験できる、語彙、比喩など自分に足らないこと、知らないことを補ってくれる手段。快楽的読書だが、たまにビジネス書も読んで、仕事に役立てようと努力している。定年にはまだ時間はあるが、池波、司馬小説を積読しているので、読書を生活に組み込んでこれから貪るように読書したい。読書欲をかきたてられた一冊。図書館で借りた。
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読書賛歌、老後人生賛歌の本。
読書をすると世界が違って見える、自分の顔に責任を持て、精神を集中させることが若さの秘訣、本を読む人は仕事ができる、雑読なきところ定年後の読書に色彩なし、読書は仕事についてくる、外国語が上達すると日本語が上達する、読書術で最も重要なのはいかに必要な本を揃えるかということである、書物との結びつきによって私の過去の物語を紡ぎ出すことができる、「老後」は永遠である、等々今後の読書生活や学びが楽しみになってくる。老後は現役時代の態度や話し方に気をつけようとか自分でも著書を書くという意識を持って深く読もうとかそれは「体験記」ではなく「研究」がいいとか腹落ちのアドバイスもたくさん。著者自身の読書遍歴や読書指南も面白くためになる。
「定年と読書」といいながら、仕事のための読書に力点が置かれている。定年後も何らかの(知的な)仕事を続けることを勧めてもいる。読書あってこその人生、仕事あってこその人生。リタイアした人向けというよりリタイアまでまだ準備期間がある人向けの本かな。
2002年に書かれた本であるが、少子高齢化社会に対してもなんとも楽観的で前向きで、何事につけ悲観的な論調の2023年とは隔世の感がある。確かに20年前は今ほどの閉塞感はなかったような気はするな。