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「秘密の花園」であり「トムは真夜中の庭で」であり「オリヴァー・ツイスト」でもあり「レベッカ」でもある。
1913年、オーストラリアの港に1人取り残されていた少女、から、お話は始まる。小さな白皮のトランク。トランクの中には身の回りの品と本が1冊。充分に魅力的な幕開けである。
謎、秘密の匂い、ゴシック。
3つの時代と、いくつかの場所をコラージュのように貼り合わせた複雑な構成で、4つの世代を解きほどいていく。
それを「あ、これ確かさっき…」と記憶がつないでいく仕掛けが、うまい。何度も螺旋のようぬ巡りながら、次第に秘密の核心へと近づいていく。
堪能しました。
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謎がほどけていくわくわく。ほどけたかと見えて、裏切られ、焦らされる楽しさ。陰鬱な曇り空のような物語に、ほのかな恋の兆しが柔らかい光のようで、哀しい物語も読後感は温かい。
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ネルの出生の秘密は二転三転して…。そうか、秘密があったほうが深みがあるのね。著者の新作“The Distant Hours”も早く翻訳されますように。
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100年を駆けるミステリ。この下巻の帯文たら、どれだけ往年の文学少女ほいほいなのかと、ましてそこまで言ってしまうか?とも思ったのだけれど、内容に一切の偽りなし、文句なしにおもしろい。物語に夢中になったら自分を呼ぶ声も聞こえなくなったころに引き戻される。そんな時代を過ごしたひとには、大人になってからそういった作品を味わえる幸福をふんだんに与えてくれるし、これから出会うひとたちにはきっと、物語の魅力を教えてくれるはず。
新刊を追いかけるのを放りだしてしばらく名作再読の旅にでたくなった。
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子供の頃、『小公女』や『秘密の花園』を読んで、私のお父さんとお母さんはもしかしたら本当の両親じゃないのかも・・・というあらぬ妄想に耽った事がある元乙女(*^ ^*)には超オススメ。そこにディケンズの下町的猥雑さとサラ・ウォーターズのお耽美系をふりかけて、バイアット『抱擁』的入れ子構造のロマンスの魔法をかけたら出来上がり、小公女のトキメキが再び味わえる。まるで三つ編みように絡み合った3世代の女性の人生と謎が徐々にほぐれていく過程がとても読み応えアリ、ページをめくるのももどかしいとはこの事。【注】あまり男性向きじゃないかも。
作中に挟み込まれてるおとぎ話の部分で、上下に蔓模様の装飾と『総ルビ』、という編集の趣味の良さに拍手!
2011年も押し詰まって名作に出会えたことに感謝します。
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下の半分くらいからどんどん三人の女性の人生が絡み合ってきます。
色々な視点から書かれる、ひとりの女性の数奇な運命。
それはネルの人生であり、ネルの母親の人生でもあります。
話自体は結構ありきたりというか、よくある話だなあという感じがしましたが、物語に漂う豪華で退廃的な雰囲気はとても美しいです。
雰囲気が好きな本棚と思いました。
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これはすごい!
100年以上の時を行ったり来たり、視点もその時々で変わるのに、全く読みにくくない。どころかぐんぐん引き込まれて気がつけば一気読みさせられています。
これはやはり構成の妙と言うべきなのと同時に翻訳がうまいからだと思いました。時々中学生の宿題かと思うような訳を読まされる時がありますが、この作品はリズムもいいし各キャラもうまく描き分けられています。
謎の方は割とわかりやすいというか、ネルの親に関しては幼少期の記憶(「お話のおばさま」のことは秘密にする)から推察出来るし(自分がすれているだけなのか?)、ミステリというより三世代の女性達それぞれの喪失と再生の物語として読むべきかな、と。
御伽話部分の装飾や総ルビは、子供の頃読んだ岩波の児童書を思い起こさせます。また、イザベラの庭が『秘密の花園』のインスピレーションになったというようなくすぐりもあって、物語好きだった元少女達にはたまらないのでは無いでしょうか。
個人的には、ナサニエルが出世のために上流階級のお嬢さんをだまして結婚するようなジゴロでなくてよかった。(ほんと自分汚れてるな~)
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タイムスリップはしないけど、過去にさかのぼる物語。
バーネットの『秘密の花園』より もうひとつの世界に迷い込む物語に近いかも。
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やっぱり!やっぱりおもしろかったー!
何この世界観、大好き。上巻数行で絶対面白くなる、って思ってたけれどやっぱり面白かったのです。
ちょっと思ったよりも後半がドッキリ驚愕な事実ではなかったけれど、それでも十分すぎるほど楽しめました。
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上下巻の翻訳本、題名の格調高さ、正直読み通す自信がなかったので、図書館で借りた。
でも読み始めたら、続きが気になって気になって、正味丸一日で読み終えた。
第一次世界大戦後のオーストラリア。埠頭に取り残された少女。
身元不明のこの少女は、ネルと名付けられ、オーストラリア人夫婦に我が子として育てられる。
21歳の誕生日にその事実を告げられたネルは、自分の過去を探し始める。
自分の本当の両親は?
なぜ埠頭に取り残されたのか?
なぜ誰も探しにこなかったのか?
だがその調査も、孫娘カサンドラを引き取ることになって中断されてしまう。
そして何も知らされていなかったカサンドラは、祖母の死後、イギリスのコテージを相続するとこになり戸惑う。
祖母の走り書きには、こうあった。
「いずれその意図を理解してくれる事を祈って」
祖母ネル、孫娘カサンドラ、そして謎を握るキーパーソン「お話のおばさま」イライザ。
時を越えて、この3人を中心に物語は進んでいく。
時代が違うので、この切り替わりには最初戸惑ったが、登場人物がインプットされると、さほど気にならなくなった。
読者は俯瞰して見る事ができるけれど、登場人物たちには、当然それぞれの時代で知り得た事しか分からない。
これが残酷で焦れったい。
そして、ネルもカサンドラもイライザも不器用でいじらしく、その孤独を思うと切ない。
好きなシーンは、カサンドラが母親に厄介払いされて、ネルに預けられた最初の晩だ。
訳も分からないまま母は去った。ネルの手を煩わせたくはない。
ずっと母親やその恋人に、邪魔をするなと言われていたせいだろう。
だからカサンドラは、歯ブラシがないという一言が言い出せない。
最後、心配して寝室を覗きにきたネルに、やっとの思いで「歯ブラシがないの」と泣きつくシーンに、涙がこぼれた。
これはカサンドラの孤独の叫びであって、このとき、ネルはカサンドラの母親役を引き受ける決心をしたのだと思う。自分の人生を取り戻す旅を諦めて。
残酷で切なくて美しい「忘れられた花園」。
最後に全ての謎がとけて、カサンドラの未来に希望を予感させるラストが胸に沁みた。
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隠されたネルの出自がついに明らかになる……! オチは途中で見えていたけど、最後までがっちり読めた。面白かった!
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翻訳も違和感を感じることなく
登場人物が多くて混乱したけど
役者のあとがきを読んで登場人物表を
つけなかったことに納得。
途中で差し込まれる
イライザの小話も素敵。
イギリスの少し昔の時代を扱った小説が
最近好きだわ
いつか行ってみたいと思わせるコッツウォール!
ゆったりとアフタヌーンティーしたい
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面白い。面白い。塀で囲まれた忘れられた花園には、こんな秘密があったのか!謎がひとつづつ、解かれていくたび、ドキドキしました。ネルの秘密、イライザの秘密、ローズとイライザの関係・・・書けない事がもどかしいです。もういろいろビックリ!!!秘密の花園、レベッカ、・・・好きな人にはたまりませんね。ほんと、ほんと面白かったです^^
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面白いんだけど、謎の真相はだいたい予想通りでそこまでもったいぶって引っ張るほどではないかな。後半はやや凡庸。
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忘れられた花園をめぐる、四世代にも渡る不思議なストーリー。
運命に翻弄されながら、哀しくも時に強く生きた女たちと、ひっそりと再生を待ち続けた花園の存在がなんとも美しかった。