紙の本
至極の百話
2011/02/10 23:58
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:慈音 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一足お先に拝読いたしました。近年の怪談ブームは怖いもの好きな私にも非常に嬉しい限りなのですが、とはいえ、なかなか「これだ!」と思える1冊には出会えません。そんな中、書名からして秀逸なこの1冊との巡り会いには感謝!間違いなく感動を覚える怪しさに満ちていました。まず、ずらっと並ぶタイトルを目にしただけでワクワクします。中身が気になって仕方ない!そして、読み始めると本当に、やめられない。沖縄という土地の持つ歴史、独特な風土に基づく怪談の数々。ぞっとするお話はもちろん、思わず涙してしまったお話も…。登場人物の会話に出てくる方言すらも絶妙なスパイスに。また、筆者の小原さん自身の体験も記されていて興味深いです。この本に集録された百話は、やはり、沖縄の空と海と風の中でこそ生まれ得た百話なのでしょう。気が早いかもしれませんが、第二弾にも期待しています!
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怪談、というとおどろおどろしく後味の悪い話を予想してしまうがこの本はちょっと違う。
キジムナーやマブイ、戦争に纏わる話がメインで、沖縄の土地柄を感じさせるものが多い。
どこか面白い小人の話や、なんとタクシーで移動を希望する霊など、怖いはずなのにちょっとクスッとしてしまう話もありバラエティに富んでいると思う。
ある一家の先祖の霊が出てくる話などは、家族の絆を感じさせるものがあり胸に沁みるものがある。
読み終わってから、タイトルに“癒し”の文字がある理由がよく分かった。
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チキンなので一晩では百話読み終えずw
「琉球」というかつて異国であった地での怪談、綺譚がまとめられています。
内地での怪談話は先祖の因果ですとか呪いがどうだと言った血生臭くて、ドロリとした後味の悪い話が多いですがこの本に集められた話は勿論のことで幽霊話もありますがどちらかというと「お化け」がメインのカラッとした南国的な怪談が集められているような感触を受けました。
キジムナーですとかマブイ、ユタという沖縄ワードや戦争の話がメイン。
筆者が意図的にそう書いているだけかもしれませんが。
タイトルにもありますように決して怖くて後味の悪い話を期待されている方には物足りないと思います。
何と言っても「癒し」が入っている以上、敵意を持った話は殆ど無いです。
余談ですが、自分の中で沖縄ブームが起こった一冊です。
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新耳袋が好きで、実録短編の怪談を探していたら目に入ったもの
沖縄にポイントを当てている点が新しいと思う(しかも100話!)
38話の「ふすま」は新耳袋でも類似した話がありましたね
年代や背景、事象から語り主は同一の方なのかもしれないし。
違ったとしても何かしら繋がりがあって興味深い。
※あちらは食事を取っていたのではなく、朝のお勤めでしたが。
話をすっきりまとめるために物事の前後に因果関係を持たせて
霊の正体や存在理由を確定させている点が目に入ります。
新耳袋と比較するのもなんですが、そこら辺がやや冷めてしまう点でした
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見えない物を見る人や感じる人、または感じていた人を、こちらでは「サーダカァー(生まれが高い)」と言い、その力を持つ人達の中から修行を積み重ねた人が「ユタ」として存在しています。現在でも普段の生活に密着して存在していて、その人数はとても多いです。
この本は、そんなユタ体質(見たり感じたする人の事をこちらではそう言います)の方に限らず、不思議な体験をしたごく普通の感性の方々のお話もありました。その中には、沖縄戦に関連した話も当然ながら入っています。
どの話も聞いた事があるような気がします。読んでいても「怖い!!」とは全く思わず、懐かしさを感じさせてくれました。
沖縄の風習・風土に興味のある方には、是非お勧めしたい。
大丈夫、怖くないですよ……たぶん…。
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沖縄。
そこに対する思いは人それぞれ。ある人にとってはただの観光地。別の人にとっては戦争を知る場。他にも米軍やら芸能やらあるけれど、この本は、そんな「沖縄」に纏わる怪談のみを集めた怪談集である。
死霊・生霊に関する正統的な怪談から、戦争や米軍人が関係する話や、キジムナーや小さいおじさんが登場する話など、沖縄本島・離島、沖縄出身・在住に限定されていながら非常にバラエティに富んでいる。
また、色々なムヌシリ/ユタの話も載っていて、表に出ない沖縄文化の一端を知ることができる。
旅行や仕事で沖縄に行く人に、ぜひガイドブックとでセットで読んで欲しい一冊だ。
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本の帯のコピーに、「沖縄の、沖縄による、沖縄のための、百物語」とあるが、まさに、沖縄一色の土俗性の強い怪談集である。
個人的には、杉浦日向子の百物語のような、なんてことない、だからこそグッとくる小噺が多くて好感を持った。無理矢理オチを作った感じがなく、筆者が聞き集めたことを、できる限り忠実に文字に残そうとした趣がある。だから、ゾッとする話もあればキョトンとする話もあるし、ほっこりする話もある。そして、それらの舞台が「沖縄」に限定されていることで、沖縄の空気感が全体を包み込み、あの土地の風や空や街を感じさせてくれる。
怪異とノスタルジー。怖さとせつなさと優しさ。分かるものと、分からないもの。それらのごちゃ混ぜ感が、ある意味、「リアル」だ。派手で創作性の強い怪談集を求めている方にはオススメしないが、沖縄の空気に触れ、あの風土に根付く日常的な怪異を垣間見たい方には心地よい一冊。続編も読みたい。
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闇の中から浮かび上がるのは恐ろしいものだけではない。言えなかった「さよなら」や、言ってほしかった「見守ってるよ」が会いたい人の声でやってくる。背筋がすうっとするような怪異の中に混じる懐かしい人の横顔は、怪談ではなく奇跡と呼ぶべきなのかも。怖くて切なくて救われる、琉球の深い夜へようこそ。
(ドゥンヤザード・S)
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沖縄行くといつも体調悪くなるし
仕事以外では全く行きたくないけど、
独特の風土が生む不思議な話は
なかなか楽しく読めた。
キジムナーの話やオバアの話は
ほのぼのした。
戦争の爪痕は辛いね…
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沖縄の怪談。比較的日常的にユタやキジムナーが出てくるので興味深かった。あとやはり沖縄の物語は戦争とは切り離せない。
ハートウォーミングな話に登場した飼い猫の名前が何の説明もなく「バーサーカー」なのが気になって仕方ない。そのまま狂戦士の意味で良いのだろうか。それともうちなーぐちにあるのかな別のバーサーカーが。