紙の本
日常とのほんの少しの差異が、なんとも気持ち悪い
2011/06/30 07:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『幽』『小説すばる』等掲載を単行本化した怪談絵巻。全10話収録。
この連作の語り手「私」は著者とほぼ等身の職業作家で、舞台は著者がいま実際に住んでいる界隈をモデルにしている、とある。
しかし作中に描かれる「この町」はどれも、実在する京都の地図や地名とは似て非なる名を持っている。
現実に存在するのは「深泥丘」ではなく「深泥池」だし、京都の街から望む山は「紅叡山」ではなく「比叡山」。桜の名所は「円谷公園」ではなく、「円山公園」だ。こんな風に、少しずつ異なる名前が、なんとなく気持ち悪い。
本書に描かれている奇談も、日常とのほんの少しの差異が、なんとも気持ち悪い。
誰もいないのに鳴る、神社の鈴。
いま確かにそこにいた友人が席を立つなり、亡くなった事になる不思議。
医師、看護師、すぐに眩暈を起こす主人公など、前編と同じ設定だが、こちらの方が面白い。
どこまでも、作者が広げる不可思議な世界を広がっていくような気持ち悪さを感じるのだ。
また、作中には主人公の『妻』が登場しているが、こちらも、モデルは著者の実際の奥様、小野不由美氏を映したものなのだろうか。
毎回のように登場している『妻』だが、彼女の言動にはある人物を特定できるようなもの、示唆するようなものが何もないので、もしや、と期待と妄想が広がるばかりだ。
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人影のない神社で鳴る鈴の音・・・「鈴」
臨界点の一匹・・・「コネコメガニ」
席を立った友人の死を悼む旧友たち・・・「狂い桜」
エコー検査で発見されたもやもや・・・「心の闇」
見立て連続殺人捜査の結末・・・「ホはホラー映画のホ」
所在不明のひとつめの地蔵の在りか・・・「深泥丘三地蔵」
奇妙な死体を作り出した犯人は・・・「ソウ」
五十回の切断、五十個のパーツ・・・「切断」
自分と猫にしか見えない多足の黒い影・・・「夜蠢く」
夕暮れの公園で子どもは笑い、早朝に年寄りが泣く・・・「ラジオ塔」
深泥丘の奇妙な闇のお話第二弾。
前作に比べて、良い意味で気負ってない感じ。
闇に身を浸す感覚に、主人公自身が慣れたのかな。
「切断」は他のアンソロジー集で既読だったのですが・・・、やっぱりコレ面白いな。
深泥丘三地蔵とソウも意外なオチで面白かった~。
しかしコネコメガニって、早口言葉みたいで口にするのは難しいですね。
素早く三回言えたらすごいですよ。
コネコメガニ、コニェコメガミ、コニコニガm・・・。
私、無理です。
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幻想+ホラー+たまに笑える小説
個人的にはミステリーのネタ切れからのホラー(?)転向としか思えない。しかもホラーにも徹しきれていない、Anotherが好きだっただけに残念。
最初の『鈴』はよかった。
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タイトルの通り、「深泥丘奇談」の続編。一応繋がってはいるので、順番に読むことをお薦めします。
じわりと恐ろしい作品、恐ろしいながらもくすりと笑える作品、いろいろ盛りだくさん。ホラー映画ファンには「ホはホラー映画のホ」「ソウ」ににやりとさせられてしまう部分が多々あるはず。このオチはあまりに見事です。まさかの結末ですね。
お気に入りは「心の闇」。さて、こんなものが見つかったらどうしましょ。だけど……案外と悪くないのかも? どこかしらに闇を抱えていたい気もします。
個人的最恐と思う一作は「夜蠢く」。……想像するだに恐ろしすぎて。再読不可能。本物も幽霊もどっちも嫌だ!
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短編集なので、色んな味わい。わかりやすい心の闇、ホはホラー映画のホなどが好印象。ソウはまさかソウくるとは、大爆笑です。
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ぞっとするような得体の知れない怖さの作品と、気の抜けるなんちゃってミステリーが同居する短編集。前作の方が気持ち悪いが、こちらはバランスが取れていて読みやすい。
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「信用できない語り手」が主人公の怪談シリーズ第2弾。綾辻ホラーらしい話が増えてきた。同窓会で席を立った人の噂話をしだす…という「狂い桜」が印象的。というか、やだ。
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小説家の『私』の視点で語られる
深泥丘の不思議なお話し第二弾!!
今回も現実のよぅな夢のよぅな
そんなお話しが短編でてんこ盛りです。
カニの話しがちょっと気持ち悪かったカナ・・・
三地蔵の話しは薄気味悪くも言葉遊びが面白い
そんな作品でした(´ω`)
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脱力系京都ホラー短編シリーズ2冊目。
あとがきで綾辻さんご本人もおっしゃってる通り、良い感じの味わいが深まってきましたね~! さすが京都。
今冊では「ラジオ塔」が好きかな。
お年寄りが聞いてたものは想像できるんだけど、子供達は何聞いてたんだ~!?
そしてとても装丁と挿絵がシャレててキレイです。
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+++
怪談専門誌『幽』創刊以来圧倒的な人気を誇る新本格の旗手・綾辻行人による連作怪談、待望の第二集。作者の分身とおぼしき小説家の日常の風景がぐにゃりと歪みはじめる前作に引き続き、作中世界の変容に拍車がかかる。
歪んでゆく世界を表現した、ブックデザイン界の鬼才・祖父江愼氏による話題沸騰の「表紙の裏表がひっくり返った」装幀には、さらにどんな仕掛けがほどこされるのか? 主人公の住む「深泥丘(みどろがおか)」の全貌は明かされるのか? 目眩(めまい)? 揺れているのは自分なのか世界なのか。人間の存在が根底から揺さぶられる、哲学的な問と奇妙な味わいをたたえた挑発的連作集。
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「鈴」 「コネコメガニ」 「狂い桜」 「心の闇」 「ホはホラー映画のホ」 「深泥丘三地蔵」 「ソウ」 「切断」 「夜蠢く」 「ラジオ塔」
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著者を思わせる主人公のように、目眩がしそうな物語の数々である。主人公自身の記憶も曖昧であり、ときにはほんとうの夢であり、またときには白昼夢のごときであり、現実と思しきときであってさえ一筋縄ではいかぬ歪みのただなかに在る心地なのである。おどろおどろしいながらもその向こうにまだなにか語られていないことがあって、あと一歩何かきっかけさえあればはっきりその姿が浮かび上がってくるのではないかというような、期待をこめた怖いもの見たさの気分にさせられもする一冊である。
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深泥丘に住む職業作家の「私」が経験する奇妙な物語の短編集。
語り手の記憶が曖昧でどこか幻想的で頼りない現実感が、深泥丘という架空の町に独特の土着的ホラーな風合いを生み出している。ある意味、詩のような作品かも。
個人的に曖昧模糊とした話は苦手なので、いまいち良さがわからなかった。
ベストは、同窓会で席をはずした人を死んだ人間として扱う不思議の「狂い桜」。
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「深泥丘奇談」の続編ということなので「深泥丘奇談」を読んでいる人はすんなりとこの世界観に入ることができたのではないかと思います。
今作も前作同様にふんわりぼんやりゆるりとした幻想的な不気味さが漂う作品でしたが、その中でもいくつかの作品はギャグのようなものもあったりくすっと笑えるものがあったりと前作とはまた違った趣向になっていて面白かったです。特に「ソウ」が。
どうやらこのシリーズは続いていくようなので今後どんな深泥丘が見えるのか楽しみです。
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前作同様、「深泥丘病院」で奇妙な体験をする作家話の続編。
あいかわらずの不思議でちょっと怖い、それでいてなんとなく落ち着くような独特の空気感。
ただ今回は出典が一部違うせいか、その出典違いがちょっとだけ読んでいて違和感がありました。ハンパにミステリ要素というかお笑い要素みたいなものが見え隠れしているというか。
これはこれでアクセントになるような気もしますが、自分はそれ以外のいつもの深泥丘話に終始してくれるほうが好みではあります。あくまで好みの問題ですけども。
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「ような気がする」第二弾。やっぱりダッシュや三点リーダの使い方がうまいなぁ、好みだなぁ。
一冊目よりも遊んでる雰囲気がある。あちこちに飛び跳ねてて、でも芯は結局「――ような気がする」で統一されている感じで。一作一作が短いので、ちまちまと読み進められる。ただまあ相変わらず何の解決もなくもやもや。つかみどころがない雰囲気。でもやっぱり綾辻行人だなぁと思える。
「コネコメガニ」がどうにも気味悪く思えたのは、『眼球綺譚』を思い出してしまうからだろうな。結構あの本、いい意味でトラウマになってる。「狂い桜」のネタはすごく好き。なんかちょっと『Another』に通ずるものがあったな。「ホはホラー映画のホ」はホラー映画好きにはたまらなさそう。「ラジオ塔」は雰囲気がたまらない。
読了後すぐに「うっわ、すっげぇ面白かった!」ってタイプじゃなく、じわじわくる――ような気がする。
11.04.25
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前作を読んだのが2008年。大分月日が経って忘れた頃に続。
ふし~ぎな話が盛りだくさん♪
何だかあとがきが一番気に入ったわたし。
また十角館みたいな小説も読みたいなぁ~