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中島さんがほんと丁寧に時間をかけて書いたからこそ加藤智大というひとが見えてきた感じだった。
事件が起きた頃に多分YOYOとかで彼のことを話した。
多分ネットで書いた記事とかを読んだだけだったと思うけど、誰が代わりにやってもいいような仕事でそのひとをそのひとだって認識してくれるひとがいない環境。
いろいろ話せる友だちもいない。
そんな孤独の中にいたらこういうことになってしまって当然で、というかそのくらい孤独なひとがいるんだっていうことに衝撃を受けた。
でもこの本を読んでみるとそんなこともないような。
確かに借金を踏み倒したりして地元の友だちとの関係も断ち切ってとかはあるけど、割としっかり生活していて、きっと人当たりがいいひとで行く先々の職場でそれなりに人間関係を作っていく。
でもやっぱり彼女がほしいってなっちゃうのかなー。
多分彼女が欲しいって言うよりは、自分の全てを認めて受け入れてくれるひとがほしいんだなって思った。
あとこんな自分のためにはがんばろうって思えないから、誰か他のひとーそれが分かり易い形での彼女なんだろうな。
承認欲求。それはきっと誰にでもあって。
あたしもそれを素直にだせなくて、でも抱えきれなくていびつに表現してしまったことあった。
ただそれがネットの世界じゃなくて現実のリアルな友だちに対してだったのがあたしにとっての救いだったのかもしれないな。
言葉で自分の環状を表現することが苦手でそれでいつもちょっと暴力的な行動で自分の気持ちを相手に伝えようとする、そんな彼がネットっていうほんと言葉でしかコミュニケーションが取れない世界を大切な居場所にしていくのって、自分の言葉を奪われた所以なんだろうか。
人間関係って難しくて。絶対自分の想い通りにはならなくて。いっぱい傷つくことが明白で。
でもその分ほんと些細なことで幸せになれたりもして。
だけど、傷つくこととかうまくいかないことが前提だからきっとこの事件のようなことを自分も起こしちゃうかもって思うひとはたくさんいるんだろう。
今はがんばれば裏切らないものはどんどん失われていく時代で。努力しても幸せになれるかなんて分からなくて。
だからより人と人との結びつきが大切な時代で。
でも個々が断絶される世界でもあって。
それでもやっぱり人と人との繋がりに希望を見出していきたいから、そのために仕事をしたいかも。
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この、犯罪はとても記憶に残っている。
居場所がない人間のやり場のなさはわかるけど、犯罪して人に危害を加える考えはわからない。
弟さんの記事も読んだけど、なんか悲しい。
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秋葉原の歩行者天国で凄惨な事件を犯した加藤智大。彼について、断片的ながらもプロフィール(派遣切りなど)を知るにつれて同情心が自分の中に生まれたことを思い出す。その同情心はどうして生まれたのだろうとずっとそのことが心の中に疑問として引っかかったままだった。
そして出会ったこの本。なぜ加藤はこのような事件を犯さなければならなかったのか?加藤の成育した家庭(特に母親との関係)、社会に出てからの経歴、と著者は丹念に取材を重ねる。読み進めるうち、疑問を解明すべく著者と一緒に旅をしているような感覚になる。
家庭が人格形成に及ぼす影響力の大きさ、ネット空間と自己表現、孤独、生身の人づきあいから生まれるかも知れない治癒力…読書の間、そんな言葉がテロップのように脳裏をよぎった。
読了後も著者との旅を続けたいと思う。(W)
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その後本人が手記を書いちゃってるんで、少し霞んだ印象。
でもよく取材されているし、客観的だし、良い本だと思う。
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事件のことは忘れていたけど、死刑が執行されたことで思い出しこの本を読んでみた。作者の方の「犯人に、『生きていればこんなにいいことがある』と後悔させたかった」というコメントや、首相狙撃事件との関連性に触れていたのも、読んでみたきっかけの一つだ。
読み進めていくうちに「事件当日」に近づいていくあたりで読むスピードが速くなってしまったのは、やはりどこか他人事として消費していたからなんだろう。
とは言え、作者の方も書いているが犯人の生い立ちや行動・思考パターンに自分と重なる箇所をいくつも見つけられたのも事実だ。またこういう人にあったことがあるような気もした。
「人間や世界はごく単純なものではなく、とても複雑だ。だからこそ、犯行の原因を一つに特定するのは、余計に分からなくなってしまうのではないか?」といった内容のことも書かれていたり、言葉にすることで自分の気持ちを可視化すことの必要性みたいなものにも(雑ですみません!)ふれていて、これから暮らしていく上での大切なヒントみたいなものが書かれているのではないか?と感じた。
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まるで小説を読んでるようだった・・・加藤智大の生い立ち、事件までの経緯を見てみるとあまりにもやるせなくて、彼を思いとどまらせる機会はたくさんあったのではないか?と考えてしまう。家庭環境の影響はかなりあるんだろうと思う。加藤は意外と友達も多くて、就職もできて、適応能力もあって、真面目に仕事をするような側面もあった。これは誰の心の中にもあるような孤独感や劣等感を爆発させてしまった事件。決して許されることではないが、生い立ちには少し同情もしてしまう。他人事とは言い切れないような、やるせなさを感じます。