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紙の本
「正義の話」をする前に読む。
2011/05/30 09:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
平成7年(1995)の阪神・淡路大震災の際、大阪北部の活断層の延長線上に住んでいた。大阪の地震計は大阪城にあるので直下型地震の割に震度は「5」となっている。しかし、近くの阪急電車の駅の震度計は「7」を振り切っていた。上下にシェイクされるなか、身動きすらできなかったが、幸い電気・ガス・水道が通じたのは幸いだった。つながりにくい電話回線を駆使しての安否確認に追われたのを覚えている。
そして、今回の東日本大震災だったが、震災前、インターネットの地震発生記録を見ていたので「おかしいなあ」と思っていたが、案の定だった。その震災地域からの佐野眞一氏のレポートが巻頭にあり、廃墟と化した神戸の街をさ迷い歩いた記憶がよみがえる。このレポートの中で、日本共産党元文化部長の山下文男氏の「自衛隊は憲法違反だと言い続けてきたが、今度ほど自衛隊をありがたいと思ったことはなかった。国として、国土防衛隊のような組織が必要だということがしみじみわかった」との言葉は貴重なのではと思える。仙石元官房長官の「暴力装置」発言がいかに無思想であったかを証明するのではないだろうか。
さらに、こういう自然災害の報告に続く石井光太氏の「人を殺した子どもたち」では、かつて、日本が歩んだ道だけに、心痛むものだった。自然災害による死も無残だが、人が権力を維持するために人を罪に陥れて行く姿に、言葉を失う。洋の東西を問わず、人間とは、なんと残酷な生き物だろうかと苦しむ。
そこに澤宮優氏の「ルポ・打撃投手」が一抹の安心感を与えてくれる。イチロー、清原、松井という打撃のスター選手の陰に控える打撃投手を扱ったものだが、いかにスーパースターが打撃投手を大事にしていたか、いたのかを知ることができて、安堵感に包まれる。世間的には報われなくとも、誰かの為になり、その誰かが活躍し、その活躍した誰かが労をねぎらう姿に「良かった」と思わざるを得ない。これでもか、これでもか、と気持ちを絞り上げる一冊に、この打撃投手というノンフィクションが織り込まれていたことは、ありがたかった。
最後に、「在特会」という組織が存在することを本書で初めて知ったが、いかに、日本という国が閉塞感に満ちた国になっているかが分かる。本流の右翼思想を軍国主義だの侵略主義だのと批判し抹殺したツケが歪な形で登場してきたことに危機を感じる。
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