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「西洋美術は見るものではなく読むものだ」という一貫した主張の下に解説される西洋美術指南書。
西洋美術史については、「美術史」としての様式の変遷や、美術を鑑賞する上での基礎知識となる聖書やギリシャ神話の解説、またアトリビュートを紹介している本は沢山ある。けれど、「美術史」よりもっと大きな枠組みである「西洋史」そのものをしっかりと見据えて西洋美術を解説している本はなかなか珍しいのではないかと思う。
例えば、なぜオランダでは静物画や小さい絵画が多く出回ったのかも、絵画様式の発展だけでなく、西洋史全体の中で語らないとちゃんとした説明ができない。
そういう点で、美術史の入門書はそれなりに(って言っても10冊程度だけど)読んでいる私にとっても目から鱗が落ちる思いの一冊でした。
今、誰かに西洋美術史の入門書を一冊薦めるとしたら、間違いなく本書を選びます。
ただ問題は文庫本だから挿入されている絵が恐ろしく小さいこと。副教材?としてGoogle画像検索は必携(笑)。
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■西洋絵画に興味があり、最近「絵は鑑賞するのではなく、読むものだ。」と聞きこの本を手に取った。まさにそのことがこの本には書いてあり、絵の読み方を指南してくれる。
■内容は非常に充実している。巻頭にカラーで絵そのものが掲載されている。惜しむらくは、読み進める際に巻頭の絵と文章を同時に見ることができないことだろう。前を見たり、後ろを見たりして電車の中で読むには少し骨が折れた。
■西洋絵画を見るときに、この本にあるバックグラウンドを知っておくともっと楽しめる。特に、69ページのギリシャ神話、ローマ神話の登場人物とそのアトリビュートの一覧はわかりやすくてよい。
■西洋絵画がキリスト教絵画から始まったこと、画家の地位がいかにして向上していったのか、風景画がいかにして誕生したか、なども楽しめる。
■海外旅行などで美術館に行くのであれば、是非その前にこの本を読んでおくことをお勧めしたい。
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オルセーは面白いけど
ルーブルはつまらなかった
そんなことを言ってしまうと
教養がないことがわかってしまう
この一文がこの本を象徴している
まさにルーブルつまらんと思っていた
なるほど教養がなかったのか・・・
著者の教えてくれる教養は
ななめ読みのせいであんまり頭に残らなかったけど
絵の多くは教養で鑑賞するんだなとわかった
結局僕がいいなと感覚で思える絵は
パトロンが市民階級になったあとのものなんだな
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興味深く読んだ。
「絵画を読む」とはどういうことなのかがよくわかる。
自分の感性だけで絵画を見ることへの戒め。
美術館に行きたくなった。
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「絵は感性で見て自分が気に入るかどうか次第。だから宗教画とか良く分かんないし、好きじゃない。」と思っていた自分が恥ずかしい。
なぜ18C以前の西洋美術は、感性で見ていけないのか。それを1ページ目で説き伏せられてしまった。
美術史、という言葉/講座があるように、美術の奥深さを感じた本。美術史を勉強して、美術館にもっと行きたくなった本。
良かった!
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「美術は見るものではなく、読むものです」だそうだ。
西洋美術全体の歴史を振り返りながら、基礎的な知識を身につけようという主張が展開される。美術史として割と気軽に読める。持論を展開する割には、著者本人のオリジナリティのある主張はないので、ちょっと鼻につく。
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硬派な「怖い絵」。体系立って網羅的な説明は非常にわかりやすく、文章も読みやすくて面白い良書。しかし、素朴な、感じるままの鑑賞法「ああ、綺麗だな、素敵だな」を無教養として否定するのは首肯出来ない。
花を愛でるのに学名を知らなくてはいけないのか。
マジックを楽しむのにタネを知らなくてはいけないのか。
それは薀蓄だらけのオタクを増産し、美術鑑賞から人を遠ざけるだけではないのか。
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西洋史・美術史の流れを簡潔に紹介する本って意外となかったのだと気付いた。歴史と美術とは深い相互関係にあることがわかりやすく示されており、そういう意味では入門書としてはよいと思う。
ただ、わかりやすくしようとするが故に欠けている解釈や、重要なアーティスト、時代背景がある感も否めない。
それよりも気になったのは、時たま出てくる諭すような一文。美術館で知識を披露するために美術書を読んでいるのではないんだけどなぁ。
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[ 内容 ]
「西洋絵画は見るものではなく読むものだ」という持論を豊富なエピソードとともにわかりやすく解説した西洋美術史入門。
古代ギリシア彫刻から印象派まで、西洋美術を理解するために必要にして十分な基礎知識をエスプリとユーモアを巧みに交えながら「語る」手法は、斬新で具体的。
楽しみながら知的好奇心を満たしてくれる一冊。
カラー図版多数。
[ 目次 ]
第1章 西洋美術の発祥―古代ギリシアから中世への旅
第2章 フィレンツェに咲いたルネサンスの華
第3章 神の名のもとに―キリスト教絵画の変容
第4章 フェイス―肖像画という名の伝記
第5章 天使からのメッセージ―天使はキューピッドではない!
第6章 人生の喜び―オランダ絵画の魅力
第7章 エデンの園からの解放―風景画の始まりと変遷
第8章 印象派登場―モダンアートの始まり
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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絵のバックグラウンドを知っているともっと楽しいよ。 ってことで ギリシャ神話や聖書のお話を解説してくれています。
知識がある方が楽しいというのはわかってたことだが、 知識がないとダメというような主張は反対だな。
ただ色合いが綺麗とかだけで美術を観てもいいと私は思う。そういう意味では背景にとらわれない印象派以降のアート方がやっぱり気軽に楽しめるってことなのかもな。
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西洋美術を「読む」ための基礎の基礎をお国柄や時代背景に乗せて簡潔に解説していて、その世界に興味を持つキッカケになりそうな本でした。
ガチガチの美術の学術書は専門用語が多くて読むのが苦しい印象で読むのが億劫になりますが、本書のように内容過多になりすぎずにあくまで入門的にその分野の魅力を伝えてくれる本は重宝します。
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「西洋美術は見るものではなく読むものだ」だそうである。特に近代より前の作品には必ず何らかのメッセージが込められていると。作品の描かれた(作られた)当時の時代背景を押さえておかなければ、見ることは出来ても、読み解くことはできない道理なのだ。
では、西洋美術鑑賞のためにはどんな知識を押さえておけばよいのか?基本的にはキリスト教のようだ。ヨーロッパ中世では絵画と言えば宗教画のことである。ルネッサンスから近代にかけて、肖像画、歴史画が現れて、そして最後に静物だの風俗だの風景だのが描かれるようになる。宗教画方面の知識に加えて、近代に向けてキリスト教要素が徐々に薄まっていく社会背景(宗教革命、ブルジョアジーの台頭など)や各国の歴史を押さえておけば、それなりには読み解けると言った所か。もちろんキリスト教以前のギリシャ時代のものであれば、神話の知識があると良い。
近代より前の西洋美術に限らず、美術が時代背景、社会的文脈や技法的制約からフリーであることはないと思う。ただ、西洋美術については資料も豊富で、研究も進んでいるため、読み解くための下地が十分にあるわけだ。この本にあるような背景知識の有無で美術館巡りもだいぶ違った経験になるだろう。
はじめて訪れるパリで一日だけ観光をする機会があったので、美術館でも行こうと思って本書で予習した。実際にルーブルを半日程度で見学したのだが、いろいろな「実物」にもお目にかかれたし、予習の甲斐はソコソコあったような気がする。あんまり読み解き系の作品ではないが、『サモトラケのニケ』は素晴らしかった。
しかし本書は、初歩的な背景も含めた西洋美術の歴史を300ページ足らずの文庫本で縦断しようという試みなので、個々の作品に対する掘り下げは限定的である。仕方ないことではあるが、その点は少し物足りない。
以下、「へー」と思った豆知識。
・初期ギリシャ彫刻のアルカイックスマイルは、「生きて息をしている人間なんです」というサイン
・新プラトン主義「神は光だ」→聖なる人物は宝石の色(ルビーの赤、エメラルドの緑、サファイアの青、ゴールドの金)で表現することに。マリア様の場合は、赤=神性、慈愛、青=聖なる知恵、背景の金=信仰の不変、神のエネルギー、天国。
・ゴシック様式はルイ7世の治世下の1137年から1144年の間に、フランス国家統一のためにサン・ドニ王室修道院主導で計画的に作られた。ゴシックとマリア信仰がくっついてノートル・ダム大聖堂が各地に作られる。
・中世は「この世は悪魔が作ったような罪深いところ(グノーシスっぽい?)」。近世になって「神様が作り給た」で写実的絵画へ。
・肖像画の正面顔は本来キリストだけのもの。デューラー自画像はその点で破格。ふつうの肖像画は横向きから斜め向きへ。
・オランダは象徴主義的。静物画のヴァニタス。
・市民階級の台頭したオランダで風俗画や集団肖像画が登場。
・イギリスは絵画の発展が遅い。脱カトリックしたので宗教画は少ない。オランダの画家により肖像画や風景画がもたらされる。
・フランスの美の正統は芸術アカデミー。写実的な歴史画の���作など。印象派はアンチのムーブメント。
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リーダーの本棚野村ホールディングス会長 永井浩二氏
私心なき指導者像学ぶ
2020/8/1付日本経済新聞 朝刊
手当たり次第に周りにある本を読んできた。
小さいころから活字中毒でした。小遣いをもらうと近所の古書店に出かけ、1冊10円や20円で売っているコナン・ドイルなどの文庫本を買ってきて読みあさっていました。マンガを読んだ記憶はほとんどありません。
当時は多くの家がそうでしたが、応接の棚に文学全集が並んでいました。片っ端から読みふけり、中学を卒業するころには全部読み終わりました。祖母や母によく叱られたものです。「飾りで並べているんだから汚すな」と。
小学生の時に一番気に入ったのが、父が自分用に買ってきた、いわゆる昭和のサラリーマン小説です。山口瞳の『江分利満氏の優雅な生活』や源氏鶏太の『三等重役』には引き込まれました。振り返ると、あのころの読書体験が自分の進路を決めたように思います。将来の夢は「サラリーマンになりたい」でしたから。小説を読んで、なんだか楽しそうだからサラリーマンになりたいって、ヘンな子供でしたね。
30代で梅原猛の著作に出合う。京都勤務の際に本人と知り合い、自宅で直接話を聞く機会もあった。
梅原先生の一連の著作の中で最も影響されたのが、あるべきリーダー像を10カ条にまとめた「将たる所以(ゆえん)」です。その中に「リーダーは自利利他の精神をもたなければならない」という一節があります。自利利他とは、自分を磨きながら他人に利益を与え続けなければならないという仏教の考え方です。リーダーに大事なのは、私心があってはならないことだと学びました。
人生最大のピンチに直面したのが、従業員組合の委員長のときです。「ミディさん」と社内で呼ぶ女性営業員に、組合に加入してもらおうとしたのですが、組合員からも女性営業員からも強い反対にあいました。最後は、寝食を忘れて一緒に説得に奔走してきた専従の執行委員の全員からも「無理だからやめましょう」と突き上げられました。孤立無援とはまさにこのことですが、ここで言いました。「俺たちに私心はあるのか」と。この言葉に納得してくれて、加入を決めることができました。30歳そこそこでこの経験をしたことで、その後のサラリーマン人生で怖いと思ったことはありません。
佐々淳行の『平時の指揮官 有事の指揮官 あなたは部下に見られている』にも影響を受けました。危機管理の専門家による組織運営の実践的なノウハウを述べています。
この本に出てくる「スマートで目先が利いて几帳面(きちょうめん)、負けじ魂、これぞ船乗り」という旧海軍士官たちの間で言い伝えられていたモットーは、好きな言葉です。古くさいかもしれませんが、学徒出陣で船に乗っていた父の影響でしょう。すっと腹に落ちました。
現場の長になったばかりの社員に推薦書を聞かれることが多いのですが、この本や上村嵐の『現代組織に活かす海軍の「士官心得」』を薦めています。表現の違いこそあれ、梅原先生のリーダー論と重なっていると思います。
今年4月にグループ最高経営責任者(CEO)から会長になり、自分の時間に少し余裕ができた。
若いころから絵画を見るのが好きです。時間ができれば美術展に通っています。ずっと絵は感性で見るものだと考えていたのですが、木村泰司の『名画の言い分』を読んだときは「目からウロコ」でした。歴史観や宗教観に沿って絵が発しているメッセージを読み取るのが重要だというのがわかり、絵を見るのがより楽しくなりました。日本人は「ルーヴル美術館よりもオルセー美術館の方がいい」と言うことがありますが、フランス人の前では決してそんなことを言ってはいけないこともこの本を読めばわかります。
昔も今も、就寝前の習慣になっている読書が最大の楽しみです。別の世界に入ることで、明日に向けて気持ちが切り替えられます。ジャンルにはこだわりませんが、フィクションよりノンフィクションのほうが好きですね。新聞を開けば、まず新刊の広告に目を通しますが、面白すぎる本に出合うのがリスクです。深夜の2時、3時まで眠れなくなってしまいますから。
(聞き手は編集委員 川崎健)
【私の読書遍歴】
《座右の書》
『現代を生きる』(梅原猛著、小学館)。独特の歴史観と宗教観に基づく梅原哲学の中でも本書に収録された「将たる所以」は秀逸。京都支店長時代に本人から本書を直接いただいた。
《その他愛読書など》
(1)『平時の指揮官 有事の指揮官 あなたは部下に見られている』(佐々淳行著、文春文庫)。組織で現場の長になったら必ず読むべき実践リーダー論。
(2)『現代組織に活かす海軍の「士官心得」』(上村嵐著、プレジデント社)。古今東西どんな組織にも共通するリーダーの心得が詰まっている。
(3)『名画の言い分』(木村泰司著、ちくま文庫)。絵画とは感性で見るものではないと知った。歴史や宗教を踏まえ、隠れたメッセージを読み取れば、さらに楽しめる。
(4)『禁煙セラピー』(アレン・カー著、KKロングセラーズ)。何度も禁煙に失敗してきたが、これを読んで30年以上吸ってきたたばこを一発でやめた。
ながい・こうじ 1959年東京都生まれ。81年中大法卒、野村証券(現野村ホールディングス)入社。2012年グループ最高経営責任者、20年4月から現職。
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私は高校時代、美術を専攻しました。その頃、絵画に興味を持ち、ヨーロッパに行ったときに美術館にも行きましたが、その頃にこの本を読んでいたら、全く違った見方をしていたのだろう、その頃に会いたかった本でした。
絵画の見方を歴史背景とともに、とても分かりやすく教えていただけたと感じます。
まだ、覚えきれない事ばかりなので、もう少し頭に入れて、ぜひ美術館巡りをしたいと思ってます。歴史も合わせて勉強しなおさないと。
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とにかく、わかりやすい!!
そして、多くの日本人が間違って覚えているであろう言葉(イングリッシュガーデンや、天使とキューピットなど)も本来の意味を教えてもらえるのでありがたい!
イングリッシュガーデンの本来の意味を知らず、将来家にイングリッシュガーデン作りたいなぁ、なんて言っていたので、目から鱗でした。
これから、美術の物語を読むところなので、準備体操のように易しく美術に触れることができて満足です。