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山に登る人は、山が好きなことと同時に、登頂することに何か決意を持って登ることが多い。
登っていて気付く。登頂という目標を実現できるか否かは、自然とのたたかではなく、弱い自分との戦いであること。
この作品は映画化希望!
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人には還るべき場所がある、作中の人物達はヒマラヤの崇高な頂きに向き合うことでその意味を知る。次々に襲いかかる困難をはねのける強い力と熱い勇気、読んでて力んでしまう作品でした。
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今まで読んだ山岳小説の中では一番だと思う。
ヒマラヤの情景と、山にかける人間の心の中が瞼の奥に浮かぶ。
山岳小説が好きじゃない、読まず嫌いな人でも、手にとって読んでみれば色々と思うところが出てくるんじゃないかなと思う。
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2011年07月 01/041
K2へのアタックを試みる山岳小説です。登る気持ちを高めるために読んでみたのですが、普通におもしろい。もっと山にチャレンジしてみたくなりましたが、そのために多額のお金がかかるよなーというのも感じさせられました。
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スケールの大きさ、山の素晴らしさ、自分が知らないことばかりだったけれど、その情景に圧倒された。なんと言うか、この文章もうまく書けない。とりあえず読んでもらいたい作品。
作品の中の言葉一つで言うなら「魂の糧=生きることによってしか表現できないなにか」これかな。それ以外にも、色々な心に残る文章が各所にちりばめられている。
色々なことがうまく行ったり悪い方に重なったりしていて、それが小説だからなのか、私の知らない山での出来事だからなのかよくわからなかったことは残念。あとはエピローグが読みたかったかな。
あともう一つは、作品中に出てくる経営者の神津という人。この魅力的な人物像も、この作品の魅力の一つだと思う。
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大ボリュームながらも、久しぶりにワクワクして読みすすめられた一冊だった。文庫本の装丁が「白銀ジャック」(東野圭吾)っぽかったけど、東野本ほど軽くなく、より壮大で良かった。
笹本稜平はお初だったけど、読みやすくていい作家さんという気がする(つづけて読んだ「春を背負って」も佳作)。とりあえずは、氏の山岳系を押さえていこうか、と思う。
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還るべき場所。いい言葉だなあ。寒いのは苦手だから、危ないのも高いのも苦手だから、絶対に冬山に登ることはないけれど、山への愛が深まった。人生云々、夢云々は、共感できたし、ああ、今日も頑張ろうと思えた。ドラマティックな小説でした。山岳小説で一番のお気に入りかも。
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序盤は単純な青春小説を思わせたが、後半は冬山の魅力と怖さが十分過ぎるほど伝わる。一代で大企業を作り上げた会長の言葉がどれも深くて良い。
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読んだことのない作家だったけど、山岳小説好きなので読んでみることに。
ちょっと専門用語が多くて、ほとんどその用語の解説をしてくれないので、不親切な感じは否めないかな。
登場人物もそれぞれ特徴を持たせてるんだけど、感情移入が出来るほどのものではなかったかなぁ。竹原がわりと好きだったけど、中途半端な感じ。
でも、K2という山の魅力をこれでもかと紹介してくれて、やっぱり山登り小説は面白い。
それに商業登山という世界も興味深く、お金と時間があれば、もしかして素人でもヒマラヤにも登れるのかと思うと、いつかそんなチャンスが自分にもあったら凄いぞと考えつつ読むのが楽しかった。
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初めて読んだ本格的な山岳小説。K2とブロードピークが舞台なのだが、登山という行為の深みを垣間見た気がする。
純粋なアルピニストの主人公が、公募登山ビジネスという人間関係が複雑に絡む世界に足を踏み入れる。その時の苦悩、心情の変化の過程が非常に興味深い。
ところどころで出てくる、登場人物の人生観も新鮮だった。その一人が山に登るのは、「魂の糧」、「生きることでしか表現できない何か」を得るためらしい。自分もこの先生きてれば、それが何かわかるときが来るんだろうか。
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人が最も大切なもの、最愛の人を失い、絶望の淵から甦っていく。
生きる意味とは?
生とは?死とは?
最も心に残った登場人物の言葉→「どんな目標への挑戦でも、いや人生そのものに対しても、絶望というピリオドを打つのは簡単なことだ。しかしそれは闘い抜いての敗北とは意味が違う。絶望は闘いからの逃避だよ。あるいは魂の自殺行為だ」
重い言葉です。
日頃考え、そして、最近ようやく少しだけですが実感している事ですが、マイナスの言葉を吐けば吐くほど、マイナスの方向になっていく。不思議なものです。
上の言葉はしっかり胸に刻んでおこうと思います。
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登山家の自伝ではないので、変な偏りも無いし、サクッと読める。
チャレンジし続ける姿を描くのは、登山小説ではよくあるパターンではあるけど、高齢になってからというのは新しい。
でも2回は読まない
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時代が変われば、山岳小説も変わる。現在では、素人登山家が8000m峰の頂に立つことは、必ずしも不可能ではない。エベレスト、チョー・オユー、ブロードピークといった、そんなに難しくない8000m峰では、素人登山家の夢を叶えてくれる公募登山が行われている。この小説の舞台は、そんな公募登山隊である。でも、主人公である翔平の還るべき場所は──世界で最も困難な山、地球上でいちばん大きなとんがり帽子、K2だ。
公募登山の様子が実にリアルに描かれていて、非常に参考になる。これはもちろんフィクションであるけれども、山頂に至るルートは本物であろう。著者がどのようにして、これだけの情報を収集したのかが知りたい。それから、還暦を過ぎてから山登りを始めた野心的な実業家、神津の台詞が深い。昔も今も、8000m峰の頂に立つことは、人生を賭ける価値のあることなのだ。私も、K2とは言わないまでも、いつかエベレストの頂に立ってみたいものだと思う。でも、その前にまだ、登るべき山がたくさんあるなぁ。
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山に登っている時には街を題材とした小説が読みたくなり、
街に居る時には山を題材とした小説を読みたくなる。
不思議なもんだなといつもそう思います。
今回手にした小説は自分自身は絶対にいけない場所だと思いながらも、
胸をときめかせながら、感動しながら読んだ素晴らしい山岳小説でした。
今日ご紹介するのは笹本稜平さんの「還るべき場所」という一冊。
笹本稜平さんの本は以前「天空の回廊」をご紹介させていただきましたが、
今回の一冊はそれ以上の感動を覚える素晴らしい山岳小説だと思います。
世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。
未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。
事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、
アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。
パーティーに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。
(文庫本背表紙からの参照)
物語の舞台K2は中国とパキスタンの境に横たわるカラコラム山脈にある山。
標高はエベレストに次ぐ世界第2位の標高8,611mですが、
麓までのアプローチが非常に長いためエベレストよりも登頂の難しい山だと言われています。
この物語が素晴らしいのは登山以外の要素がふんだんに入っていること。
登山に関する描写が素晴らしいのはもとより、
主人公に関わる周辺の人物たちの生き方が物語の幅を大きい物にしているような気がします。
主人公の翔平とともに若い頃から山に登り、
今は公募登山の会社を営んでいる亮太。
いつもマイペースながらしっかりと芯の通った父親。
ペースメーカーの会社を一代で世界有数の規模まで育て、
自らエベレストや世界の高峰に挑む社長の神津と秘書の竹原。
そういった登場人物たちの物語も平行して描かれていて、
主脈の物語をより一層豊かにする効果をあげています。
そして物語の中心となるのは、
翔平と一緒にK2の頂上を狙いながら滑落した聖美とのこと。
物語が終盤に向かうに連れて意外な方向に進んで行きます。
登山のことだけではなく様々な謎解きや人間模様が描かれたこの小説。
山に登る人にも登らない人にもぜひ読んで欲しい一冊。
お薦めです!
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山岳小説の傑作。事件は起きないけれど事故は起きる。それでいてある伏線が見事に生かされていて関心させられます。
作者の冒険小説は「心意気に応える」というところがあって感動させられますが、ここでもその期待を裏切らず、気持ちの良い読後感をもたらしてもらえます。
600頁と大部ですが長さを感じません。