紙の本
海外と日本の比較がいい
2021/07/03 21:43
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投稿者:のび太君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ産の牛肉はどうして国産牛肉に比べて安いのか、という理由の一つとして屠畜についての取材内容が紹介されているのがいいと思った。
電子書籍
屠畜という生業
2023/02/15 23:27
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投稿者:樫井行人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
”屠畜”という観点での比較文化学のとば口にも立てる良書。
純粋に各国の屠畜方法を息づかいの感じられるイラストで見るだけでも楽しいし、肉をいただくことの意味について大上段では無く地に足をつけて考えられる。
紙の本
自分の偏見を取り除きたい方と、モノ書きを目指す方は是非
2015/08/07 21:51
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投稿者:十番侍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫版が出たのは2014年ですが、新版のときから注目していた書です。
肉を屠ることに触れることは、日本ではある種のタブーとなっていますが、そんなタブー感を吹き飛ばす改心の一作です。食肉と無縁なベジタリアンはさておき、多くの方にとって肉を食べることは日常的なことです。でも食卓に来るまでの食肉については、目をつぶっていらっしゃる方が多いと思います。
本書は肉を屠るという切り口からの比較文化論です。日本国内で自分が「普通の日本人」であること以外に誇ることがない方はともかく、この国に住む「そうではない」方には是非とも手に取って頂きたいと思います。
モノ書きとして、学びたい点も多くある書です。できれば著者と焼肉屋で一杯やって、教えを乞いたいと思います。これからルポルタージュを書こうと思っているモノ書きのタマゴにも一押しです。
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なぜ屠畜に携わる人が差別されるのか、を考える上で大事な本。
この本を読んで「俺は差別しないけどなぁ」と思っている自分の心にこそ、別なものに対して差別したい心が潜んでいるような気がしている。
その差別したい心を偽って「私は差別しません!」と言ってしまうことこそ最悪なんであって、必要なのは、差別したい対象に直面した時にどういう態度をとるかなんだと思う。
差別したい対象は、嫌いな人と同じように、突然お付き合いしなければいけないこともあろうから。
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我々が食べている肉は、はじめからパックされている訳ではないということを、あらためて実感した。
昔は日本でも身近にあったであろう「屠殺」が、現在では全く外からは見えないところで行われている。
しかし見えないだけで、この、命を「いただく」ということを忘れてはならない。
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屠畜に対する差別意識は、仏教の殺生戒からくるという説は、あまり納得できない。むしろ「穢れ」に対する忌避ではないだろうか。
屠畜に対する筆者のテンションの上がりかたがイマイチ着いていけないが、興味深かった。
ただ、屠畜の手順の描写が多すぎ、似たような場面も多かったので、少し飽きるところもある。
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これから第八章です。待望の文庫化です。
自分のなかの差別意識を問い直しているところですが・・・。
俺、犬を食べたいと思わないし、イルカも食べたいと思わない・・・。文化への意識、差別意識、食文化尊重以前に好奇心が思い切り欠けている自分に呆れています。もちろん、好奇心だけで食われる方はたまったもんじゃないだろ、とも思いますが。
読了。
一つの観点からは語りきれないことを家畜の処理から浮き彫りに。著者の好奇心と観察力があってこそ。ただ、ここには答えが無いです。著者は考える材料を与えてくれているだけ。
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世界の屠畜事情。
突撃取材という感じで、いろいろな国へ行って、何でも見て、食べちゃうバイタリティは素晴らしいし、異文化はとても興味深い。
でも、職業差別云々について、頻繁に触れてくる割には、とりとめのない話に終始した感じなのが、残念。
しかも、差別されてる側の人に、なんで差別されてるんですかね?って聞いてしまうのは、あまりにも無神経だなと思った。
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タイトルにひかれて「世界朝食紀行」みたいなつもりで読み始めると、中盤からどうも違和感が。各地の屠畜をきっちりルポしてみせてるのだけど、そこからの考察パートが、軽いと重いの間で迷ってるようで、読み手側もふりまわされてしまう。文庫版あとがきをみると著者もその点はわかっているようなので、現在書いているという続編がどのようにシフトしたものになるのか気になるところ。
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これぞ名著としかいいようがないのだが、誰にでも薦められるかというといささか躊躇する。「知って」おくべきことか否か、受けとめ方は千差万別。僕個人は知りたかったし知って良かったと思うが、それが万人に当てはまるとは思っていない。ただこの本に対する評価は揺るぎなく、こんなに懇切丁寧なイラストと記述でわかりやすく楽しめるルポは稀であろう。
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昨年宮崎で起こった口蹄疫のこともあり、屠畜という分野を「他の人よりかは多分知っている状態」である自分を戒めたくて読んでみた。
文章としてはどうかなーと感じる部分も多々あった。差別問題に関する記述が所々でてきたが、これはどうも蛇足だった感がする。(差別問題を取り上げるな、という意味では決してなく、扱うなという意味でも決してなく。)もっと別の所で掘り下げてもよかったのではないかなと。屠畜という行為そのもののこと、差別や文化の否定に関することと分けて読みたかった気もする。
世界の屠畜文化の描写はとても分かりやすく素晴らしかった。文化として肯定/否定する姿勢や、家畜の擬人化などの問題はどこにでもある問題で考えていかないとなぁと思わされる部分もあった。
「畜産王国」で育ってきたこと、子どもの頃から「屠ること」について高齢者から聞かされてきたこともあり、私自身にはこの本を読んで肉が食べれなくなったとかいうことはない。むしろ見えにくかった裏側が見えてよかったと思う。
モンゴルの章や、殺すという単語とは別に「切る」などの意味で言葉を分けている点など、前述した口蹄疫の問題を改めて考えさせられる内容も多くあった。私の中ではまだ口蹄疫は終わった問題ではないので、結びつけて考えさせられて、勉強になった。
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今までずっと詳しく知りたかったことが書いてあり、とても面白く読めた。
イスラム世界やアメリカ、インド、韓国、そして日本でどのように家畜が「屠畜」(屠殺)されているのかを分かりやすく、面白く(?)伝えている本。
イラストが詳細で、それでいて温かみがあって残酷さはあまりない。
文章が屠畜の様子をある意味浮つきながら面白がっているようにも見えるのが少し嫌だった。
その分最後の最後で、著者が自分で鳥の死体から羽を毟るところでの落ち着いた視点は興味深かった。
命をいただくことへ責任感や罪悪感を過度に感じてしまうのが日本人なのだろうか。
屠畜を行う人への差別のようなものもないつもりでいたし、肉食も否定していないし、ベジタリアンでもないが、この本を読んでいる間は肉を食べる気にはなれなかった。
直接見えなくでも、ゼラチンやスープの出汁、その他もろもろの食品に使われているのだから口にしていないということはないが……。
差別の歴史や、その反抗がどのように行われてきたかは意図的に省かれているようだが、次刊では詳しく触れてほしいと思う。
屠畜だけでなく、乳牛や卵の生産にも思うところはあり、これらも含めてじっくり考えていきたいと思う。
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角川で文庫化されてたので買った。何カ所かの本屋でチェックしたのですが、特に丸の内丸善ではかなりの売れ行きと見ました。
何でそんなことチェックするのかというと、最近読んでいる『本の雑誌』に内澤さんが「黒豚革の手帳」という連載を持っているからです。(ミステリーの連載ではなく皮革装丁が趣味のルポライターの身辺雑記)
倒錯する。雑誌というのはコミュニティなんやなぁと思います。
肝心の中身は、特にイスラム圏と、日本の芝浦屠場の屠畜ルポは詳細で、今まで全く知らなかったことばかり(私が不勉強なせいもある)の濃い内容。屠畜の過程や方法だけでなく、そこで働く人たちへのインタビューもボリュームたっぷり。
心臓が動いてる状態でないと放血できない、とか言われてみればそのとおりなのに、そうか、生きたまま頸動脈切るんだよな、とか初めて考えた。
ちなみに日本では豚は炭酸ガスを使って仮死状態にし、牛は電気銃を使って打額して仮死状態にした上で頸動脈を切る。
肛門や食道をいかに早く結紮し、正肉に内蔵の中身を触れさせないかという工夫とか、知らなかったことオンパレード。肉食いまくるくせに屠畜を知らずとは(ましてや忌み嫌うとは)どういうこっちゃという筆者の主張ももっとも。
若干、露悪的かなぁとか考察弱いなぁとか思うところはあるものの、それを措いても十分読む価値はあると思います。
特に最終章で、狩猟でとったキジと小ガモを、紙袋に突っ込んで山手線に乗って持って帰り、たった一人で自宅風呂場で屠畜するルポは、短いけれど前半のちょっと浮ついた感じが一掃されるので一読の価値あり。
他の章でウキウキしていた内澤さんが苦悶しながら(『許してくれえという気持ちをはじめて、ようやくはじめて味わった』)、やり遂げた後の感想も深い。
『殺すのはほんの一瞬だ(ヘタくそだと時間がかかる場合もあるが)。しかし殺した死体と一対一で向き合って、食える肉にするまでの時間は、はるかに長くて、しんどいものだったのだ。やはり私には屠殺じゃなくて屠畜ということばがぴったりくる。』
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素晴らしい本だった。
牛や豚や鶏など肉を食べている人でも、
なぜ屠畜(家畜を殺して肉にすること、屠殺とも)を気味悪がるのか、
という根源的な問い。
命をいただくという行為の奥深さ。
主張の全てに同意できるわけではない。
けれども、取材姿勢と、豊かなイラストと正直な文章による表現が胸を打つ。
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面白くて惜しみながらちびちび読んでいました。
著者と同様どうしてこういった職業に差別があるのか
疑問に思っていたので興味深く読みました。
ただその問題について追及しているのではなく
どういった仕事内容なのか著者の好奇心をもって
つまびらかにしています。
非常に面白い。
豚、牛、羊等を捌く様子を細かく描写していて
お肉が食べたくなって仕方なかった。
確かに生でその様子を見たいとはあまり思わないが
どういう工程を経て私たちが食べさせてもらっているのか
どれほど神経を使って作業されているのかを
知ることは必要だと思う。何も知らずに怖いとか
もちろん差別なんてもってのほか。
読んでいて何度も思ったけど、魚(マグロ)の解体ショーは
人気があるのに豚の解体ショーはあり得ないんだよな。
この人の本は2冊目だけど、非常に読みやすく面白いです。
ほかの作品もぜひ読みたい。