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ドイツの弁護士が、自分が担当した事件を語る形式の短編集。かなりインパクトのある話が多く、殺人の描写などは気持ち悪くなるような話が多々。おもしろいけれど、拒絶反応を引き起こす人もあるのでは?
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罪を犯し、裁かれる「犯罪」。
呼び方は皆同じだけどその内容や起こった真実はそれぞれで。
何が正しいのか正しく無いのか考えてしまうけど、
罪は罪で罰せられるのは悪事。
淡々と書き綴られる物語の中に見え隠れする現実。
でも、その物語の中にある「幸せだ」の言葉に
救われる思いでした。
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まいった。11編の物語どれもこれも面白くて。こんな短編集は読んだことないなあ。
しかも最後の1編で涙がダーット出るのだ。急いで言うと、それだけ読んでも泣けるけど、先の10編があっての11編目とは涙の味が違うから順に読むのがおすすめ。今の所今年一番。
ただし、再読するかどうかはわからん。10年経ったらもう一度読んでみても良いかも。まあたぶんこの本は手に入るから心配ない。
ついでに。昨日までは今年一番だったけど、二番に落ちた「切りとれ、あの祈る手を」は再読すると思う。衝撃の種類が違った。
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結論から言うと、11編の物語のどれもが面白い。
文章自体は第三者視点からの、極限まで無駄を省き、一見すると備忘録と思えるほど簡潔そのもの。
しかし、不思議とどの物語も犯罪を犯していく普通の人々の、どうしようもない感情が凝縮されている。
こんなシンプルな文章でここまで心に残る物語を書けるのかと驚いた。
文句なしの傑作です。
個人的には『フェーナー氏』が一番良かった。
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豊崎社長のレビューがきっかけで。
一篇一篇が短く内容もとても読みやすい。
海外小説が苦手な人にもお薦めできる優等生的作品。
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シンプルだけれど、心にしみる短篇集。
キュウリのようにクールではなく、
トマトのようにクールな作品群。
トマトの意味するところがよくわからなかった。
誰か教えて欲しい。
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つべこべ言わず、『物語を読む』ことが好きな全ての人が読むべき大傑作。
最後のページで更に深みを加えている所がまた素晴らしいです。
東京創元社HP掲載の訳者による著者インタビューを読んでから再読すると、また違う味わいが楽しめると思います。
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ノンフィクションと文学のボーダーライン。
研ぎ澄まされた一切無駄のないシンプルで静謐な文体。
人が罪を犯すその一歩とは。
罪を犯す=悪人、かと言えば一言では括る事の出来ない
マージナルさを、突き放すでもなく入り込み過ぎるでもなく、
淡々とした筆致で描いています。
巻頭の一篇と、ある彫刻に魅入られた博物館の警備員の一篇は、
中でも特に好きな作品。
彼岸と此岸の紙一重の妙。
単純に法で裁くことのできない罪。
読み終わった後、じんわりじんわり余韻に浸れること請け合いです。
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きちんと書かれた小説を読んだ感じ。一筋縄ではいかないできごとを、静かに丁寧に。最後の短編が読後感がすごくいいので、読了した時の気持ちもすっきり
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久々の一気読み。なんだか不思議な空間に漂っている感覚を持ちながら、全編読みました。
坦々とした語り口で、ドラマティックに変に盛り上げていないのに、ずっしりと心を覆ってしまう。ちょっとグロテスクだんたり、暗かったりするところもあり、自分の心が健康でないと読むのに辛いかもしれない。
りんごの謎は、最初、余りに不勉強で理解できなかってのですが、ネットの力で納得。なかなか奥が深い、と感じました。
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話の素材は奇妙で、面白いものばかり、もうちょっとうまく料理してくれればいいのに…。翻訳のせいか構成のせいかわかりませんが、とにかく読みにくかった。骨が折れました。
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弁護士が語る犯罪の数々。あまりにも淡々と語るので実話かと思いました。
謎解きよりも、人々の人生や心に寄り添ったお話です。
【フェーナー氏】悪妻に反抗もせず耐え続けていた夫が、妻を殺した理由というのがおもしろいです。妻の心情ももっと知りたかった。
【タナタ氏の茶碗】盗まれた茶碗を巡って悪党がぞろぞろと出てきますが、見えない強烈な存在に潰されていくのが恐ろしい。本音と建前を分ける日本人の怖さがでていました。
【チェロ】姉と弟の間に起こった悲しい犯罪です。殺害シーンはとても印象的でした。父親の気持ちや、その後の行動に胸が痛みます。
【ハリネズミ】短い法廷劇でとても楽しかったです。どこか憎めない犯罪者一家もおもしろい。
【幸運】冒頭の女の体験が痛々しかったです。未熟で行きあたりばったりで、愛だけ溢れている若い男女が悲しくて素敵でした。
【サマータイム】アリバイ崩しでネタはわかりやすい。小説などでは、男の為に身を売る女の末路はいつも悲劇的です。
【正当防衛】駅のホームでのシーンが強烈。弁護士や刑事、それぞれの立場が見えるお話でした。
弁護士の最後の行動が、職業上の理念と私心を表しているようで意味深です。
【緑】羊たちを猟奇的に殺す青年の心の闇。弁護士と青年の会話が良いです。
【棘】彫像「棘を抜く少年」の棘が気になって仕方ない博物館警備員。あまりにも気にしすぎて精神のバランスを失う様、心の平安を保つ為の悪戯など、とてもおもしろかったです。最後に警備員が思い切った行動をとった時には、なんだかわたしもスッキリしました。
【愛情】恋人をナイフで切った男の心情とは。最後に弁護士が青年に言った言葉と、青年のその後がとても印象的です。愛ゆえに、というのも分からないではないですが。
【エチオピアの男】最後にいい話が読めて良かったです。銀行強盗時の男の態度が涙を誘います。
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人間の業の深さ、やさしさ、悲しさ。著者は刑事弁護士ということで、派手さはないが、経験を踏まえた重みがあり、抑えた筆致がいい。犯罪を題材にしているが、妙に答えを出そうとしないのがリアルでいい。人間て不思議ですね。
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弁護士でもある作者による、犯罪に関する短編集。
乾いた語り口は、なぜ犯人が犯罪を犯したか、真相を語っているようでもあり、さらなる闇を映し出しているようでもある。
弁護士の「私」がときどき顔を出すが、ストーリーは実話とも想像ともつかない。寡黙な男が強い酒を前に語ると似合いそうな、孤独を匂わせる11の物語である。
とても好みか、と聞かれればそうではないが、不思議と記憶に残りそうだ。
特に、「フェーナー氏」「チェロ」「棘」あたりが、犯人が犯罪を犯すまでの心情描写が哀しく淋しくて味わいがある。
背後に闇組織の存在を匂わせる「タナタ氏の茶盌」「正当防衛」は、自分が疑い深いからか、説得力に欠けて、ちょっといただけない。特に前者の日本人の名前が「タナタ」というのがよろしくない。別の名字と間違えてるんじゃないかという感じがして、話全体の信憑性が薄れている。
「幸運」「エチオピアの男」は希望を感じさせる、いい話だ。これはこれでよいが、ちょっといい話過ぎて、この作品集を象徴するストーリーではない気がする。
*訳者の名前に見覚えがあると思ったら、先日読んだ『この世の涯てまでよろしく』の訳者と同じ。そう言えば、出版社も同じ。
*1編、「それって共感覚なのか?」と思わせる話があったのだが、描写がさらっとしすぎていてよくわからない。作者が、真実を描くことに主眼を置いているとも思えないので、あまり追究しても仕方ないかな・・・。
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確かノンフィクション部分が多かったはず。
まぁそれは置いておいても短編作品集としてかなり秀逸。
後世に残してほしい。博物館警備員の話が一番好き。その最後のあたりが特に怖い。
エチオピアの男も良かったな。感動話として。