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みんなのレビュー250件

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評価内訳

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紙の本

異常な犯罪者たちの「事実」を積み上げる弁護士、検事、判事。法廷はそこにある「真実を」証明しつくせるのか?………と立ちすくむ。現役弁護士である著者は小説という手法でその真実を明らかにする。

2011/08/20 22:26

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描く連作短編集。文学賞二冠、45万部突破の欧米読書界を震撼せしめた傑作」
「一生を愛し続けると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした心やさしき銀行強盗。………魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち」

その他………ギリシャ人であること拒否することに囚われたギリシャ人の若者が企んだ盗みの波紋。資産家の父の束縛から逃避した姉弟のふたりだけの愛の世界の行方。愛するが故のねじれた事件にとまどう恋人たちの過ち。ちょっとした性癖ゆえに少女を傷つけた少年の罪と贖罪。大実業家のお遊びが生んだ猟奇的殺人事件の行方。正当防衛による殺人にもかかわらず黙秘を貫く男のその理由とは。

200ページに11作もある短編集。短くてしかも意表をつく物語だから、個々の内容には触れないのが作法だろう。
上等のエンタテインメントである。

どの作品も異常な人格の持ち主たちが登場し、中にはサディスティックな殺人シーンがあって、不気味なお話が満載。眠られぬ熱帯夜の消夏用、サイコホラーとしても最適。ドキュメンタリータッチの簡潔な文体には読者が行間にあれやこれやと想像をたくましくするものがあって、その薄気味悪さには一層の凄みが加わっている。
まったく架空の話とは思えない。実際、現実にも常軌を逸した猟奇的事件が多発しているからなおさらである。

著者が弁護士だから法廷の場で説明困難な「真実」をどのように扱うかとの専門的視点が随所に語られその語りが活きている。
「事件の真相は簡単なものだという刑事事件の鉄則は刑事ドラマの脚本家の発想でしかない。実際はその反対だ。自明と思えることも推測の域を出ない。」
「警察の仕事は偶然がないことを前提にしている。………それに対して弁護人は罪を追及する側が築きあげた証拠の山に穴を見つけようとする、そのとき力になってくれるのが偶然だ。」

人間を生きたまま切り刻む、頭を切り落とす犯罪者であっても、弁護士的視点に立ったこの物語ではその異常性にもぼんやりとではあるが納得性が滲みだして「愛おしさ」まではいかないが「哀しさ」を感じさせないではない。
「異常」と「正常」のあいまいな境目をさまよう、渋い味わいのある作品として仕上がっている。

私は高校生のときに観た1960年作・ヒッチコック『サイコ』に思いをはせる。『サイコ』がショッキングだったのは、ひとつはあのシャワールームの惨殺シーンだ。映像と音響によって生み出された生理的恐怖感。その後この手法はホラー映画で広く使われるようになった。もうひとつはアンソーニー・パーキンスが演じたノーマンの特異な人格そのものに対する驚きがあった。あの当時はこういう人間は現実にはいるはずはなく、虚構の人格だと長い間思っていた。ところがどうだ。それ以降、サイコホラーというジャンルが起こり、登場する犯罪者はみなそういう異常者だった。さらには驚いたことには現実にそういう人格が存在し、異様な事件が頻発し始めたことだった。とにかくヒッチコックの先見性に感心したものだ。
さて仮にノーマン裁判を想定し、彼の弁護人がノーマンの子供時代、父母との関わり方を語たるとしよう。『犯罪』という作品はそのような構図で描かれている。

高村薫『太陽を曳く馬』にあったひとつのテーマとも重なる。絵画芸術にのめりこんだ若者による隣人撲殺事件。そこにあるのは、裁判という合理一辺倒の世界で通用する「合理的説明」では真実が説明できない、というもどかしさである。例えば犯行の動機の本当のところを被告人本人ですら説明できないのだ。

「裁判を左右するのは証拠だ。証明できないことを主張することは許されないのだ。簡単に聞こえるが事実はそうではない。憶測と証拠を峻別できるほど人間は客観的ではないからだ。私たちは間違いないと思い込み道を誤る。しかしやり直すことは容易ではない。」

エピグラフで次のように述べられている。この作品の奥にあるテーマであり、十分に説得力のある生きた言葉だ。
「私たちが物語ることができる現実は、現実そのものではない。ヴェルナー・K・ハイゼルベルグ」


こういうトーンは私が読んだジャンル、弁護士が活躍する法廷ミステリーにはなかった。

本物の弁護士のモラルと苦悩を下敷きにした世にも不思議な物語集だった。

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ミステリーと思うと物足りない

2017/04/30 17:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る

商品紹介にあるような圧巻の傑作とは思いませんが、日本でも2012年度の本屋大賞翻訳小説部門第1位みたいです、他にも良い作品はあったと思うのですが。

11編の短編からなる短編集です。
どの作品も文体が簡潔で読みやすく乾いた印象を受けました。
2009年の作品ですが今のドイツという国の雰囲気もよく伝わってきます。中でも移民の存在や彼らの置かれたポジションが。

どの短編もミステリーだと思いますが、ミステリー的な面白さを求めて読むと物足りなさを感じるのではないでしょうか。

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2011/08/07 14:22

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2011/07/20 23:54

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