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青い壺がどのような人の人生に寄り添ってきたのか。
価値のあるものなだけに丁寧に扱われて巡り巡ってきた。さまざまな人と関わった分更に芸術的色合いを高めていったのだろうか。
親元を離れ一人旅する子どものようだ
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いつの時代も、幾つになっても、女性って変わらないものなんだなと弓香の話を読みながらくすくす笑えた。
いつも身体の調子が悪いとか、電車に乗るのが心配で胃腸薬と頭痛薬を交互に飲んだりとか。他の人から聞いたり見たりしたらおかしいと思うことを、当人は真剣に行なっている。それが人生なのかもしれない。
また、60代になっても体調も良く、仕事をしながら丁寧に生きるシメの話も印象に残った。
孤児になってから懸命に生きて、その後自分の孫と幸せに生きる姿は、バトンタッチできているようでほっこりした。人はお金や時間があっても、健康でないと楽しみが減るなと思ったし、些細な体調の変化ばかりを気にして幸せになれない人たちの話もあって自分のことのように読むことができた。
シスターマグダレナが自ら骨董品屋さんに持ち込んだとは思えないが、日本に壺が返って来た経緯が面白かった。
ぐだぐだと書かれていること(特におばあちゃんたちの同窓会の話)が笑えるようなことが多く、楽しい本だった。
時代背景を考えながら読むと、弓香が40代の私にとっておばあちゃん世代で、自分は悠子くらいかなと思って読んだ。
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とても素晴らしい群像劇。何回も読みたい名品。
文章が簡潔で、露悪的でなく、現実の中のドラマを活写している。一話一話が絵画のよう。
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壺をめぐる短編集
色々な人の手にわたり、その価値も変わっていく
一度でもケチがつくと美術品としての価値はなくなってしまうのか、目利きの人によって復活することもあるのか
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有吉佐和子さんの作品を読んだのは、本書が初めてです。
著名な小説家であることは昔から存じており、いつかは読もうと思っていたところ、本屋さんの文庫コーナーの目立つ位置に、本書『青い壺』が平積みされていたので、手に取ってみました。
裏面の「あらすじ」を読むと、
人間の有為転変を鮮やかに描いた有吉文学の傑作
と書いてあり、これは「読まねば」とレジに向かいました。
さて、本作品の構成は第一話~第十三話までの連作短編集となっていますが、青い壺を廻って、人間の機微が見事なまでに描かれていると感じました。
連作短編集であることから、何話が良かったというのはそぐわないのかもしれませんが、第十二話(青い壺をスペインから持ち帰った美術評論家が入院している病院に勤める清掃婦の話)が最も私の好みに合いましたね。
シメ(第十二話の主人公?である清掃婦)が同居している息子夫婦と孫達との、質素ながらも仲睦ましい生活ぶりが滲んでおり、とりわけ、
「極楽だな」
シメは呟き、間もなく健康な寝息を立てていた。シメは寝入りばなに鼾をかく。
とのラストの描写には心打たれ、嫉妬さえ感じるほどでした。
また、第一話で道具屋から(作られた年代を古く見せるため)細工を施して「古色」をつけてくれと頼まれた青い壺(結果的に細工は施されていない)が、最終話までの僅か十余年で、いい「古色」になっていたという結末は、人の邪欲への皮肉なのでしょうか?
最後に、帯の表面に
人間心理への迫り方に唸る 不朽の名作!
と謳ってありますが、誇張ではなく、そのとおりだと思いました。
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壺の人生(壷生?)を通して、垣間見れるそれぞれの人生に思いを馳せられるような作品。
登場人物が基本社会的地位がある程度高く、品の良い人で、嫌な場面はほぼなく、スルスルと読めます。
ただ、最後の終わり方が少しもやもやしてしまったかなと思いましたが、凄く昔の話(物語の中では)ですのでしょうがないところと、壺の作家さんのこだわりも見えてそれはそれで面白いと思いました。
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解説や、帯を読んで読んでみたいと思い読んでみた。が、理解が追いつかず。。
戦前から戦後まで生きてきた人々の、時代の変化とジェネレーションギャップ、日々の生活にあるドラマが紡がれる。
だが、その中で青い壺は、その中で何を示しているのか。そしてまた、最終話での金メダルの話と刻印をしない決意との関係は、どういう意味があるのか。その部分と青い壺に託した有吉佐和子のメッセージはなんなのか。今の自分のアンテナでは感知できなかった。また、間をおいて読んでみたい。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426444
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色々なことを感じながら読みました。
時代を感じたのは言葉遣い。
そして、戦後という時代。戦争の傷跡を感じる作品でもあること。そして、物語の綴り方、つながり方の面白さ。
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どこの書店も平積みされている有吉佐和子『青い壺』。有吉佐和子初読み。
陶芸家の省造。偶然出来上がった青磁の壺。
美しく焼き上がった青い経管に古色をつけるよう道具屋から頼まれ、葛藤する省造。
省造のもとを離れた『青い壺』は、さまざまな人の元を巡り、それぞれの人生を見ることに…
ごくありふれた日常が描かれた連作13編。
定年後、粗大ごみと化した夫に苦悩する妻。惚けてしまい、退職した会社で仕事をする夫。
ジェネレーションギャップに馴染めない生け花好きの祖母。
50年ぶりの同窓会に京都旅行に行く祖母と同級生たち。
最後は海を渡り遠きスペインへ…
名もなき陶芸家・省造に生み出された壺は、いつしか評論家の目を欺くほどに…
『青い壺』がもっと人の人生を左右するのかと思ったが…
壺だけにほんとにそっと置かれているだけ。
最後には全く価値が違うものになっていたなんて…
省造にとってはいいのか、悪いのか…
人によって物の価値は変わる。
シスターの家族にとって、青磁の壺の価値なんて、理解できないだろう、ましてやスペインじゃ。
結局、価値なんてそんなものなのか。
昭和感満載ながらも、古さは感じず。
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《2024年読了ー20冊目》
有吉佐和子さんの作品は久しぶり〜
この『青い壺』は未読でした…
ある陶芸家が造った青い壺をめぐる人間の機微が描かれる13の連作短編集
特に何か大きな事件が起こる訳ではない…
旦那が定年退職してうんざりしている奥さんやら、嫁姑問題やら、遺産争いなら…
何だか向田邦子さんのドラマを見ている感じでページを捲っていきました
作品は昭和51年のものだけど
あー!人間って変わらないんだなぁ…
いつの時代も理解し合うのは難しいんだなぁ…っと…
そして全く壺は変わらないのに、それを持つ人によって味方は随分と変わってしまうものなんだなぁ〜と
最後の最後に青い壺が行き着く先は…
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青い壺を通していろんな人生模様を辿る話。壺を通して見える世界は、さまざま人生、運命を感じせずにはいられず、ある意味で残酷な人の世を感じた。そして最後の解説の通り、価値とは、美しさとはと考えさせられました!
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本屋で帯に惹かれて買いました。奇跡のように焼き上がった青磁の壺が、いろいろな人の手にわたり、そこで描かれる人間模様。別にこれと言って壺が働くわけではないけれど、描かれる人間模様が良かったです。読みやすい話でした。
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青い壺が人手に渡り続ける話。
壺は変わらない姿をしているのに、所有する人間によってその価値が変わる。そんな様子を書くことで当時の世の中を描いている。
仕掛けとしては面白い。同じ作者の「悪女について」のように、章ごとに視点が変わることで主役の位置づけが上下する。
ただ、もう少し人間の欲望みたいなところも読みたかった。割と淡白な印象を受けた。
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無名の陶芸家が生み出した美しい青磁の壷。売られ盗まれ、十余年後に作者と再会するまでに壷が映し出した数々の人生。(e-honより)