紙の本
鼠小僧の一粒種が、大活躍
2013/01/15 10:44
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
怪盗鼠小僧次郎吉の名前は、日本人であれば大体知っていると思われる、江戸時代を代表する「義賊」。大金持ちから盗み出した財宝を、恵まれぬ人々に配って歩いたというのは有名な話。その鼠小僧がついに捕縛され、獄門さらし首になる所から、物語は始まる。
残された妻と息子の大次郎を、次郎吉の相棒だった材木問屋、祥吉は一生守っていくと誓う。そんな折に舞い込んできた、材木大商いの話し。祥吉は幼い大次郎を連れて、木場の川並と共に高速七日船に乗って紀州へと向かうのだが。
大きな話の筋としては、この大商いがどう左右していくのかという事になる。販売先との値段のやり取り、回漕問屋とのやりとりに、水戸のお武家も絡んで来たりして。当時の「商売」や心のやり取りがとても良く見えてきて興味深く、そしてやはり胸熱くなる。そしてそこに鼠小僧次郎吉の残した一粒種、大次郎の活躍が物語に深みとコクを加えてぐっと盛り上げている。山本作品群の中では大傑作!とまでは言わないけど、十分江戸の時代を楽しめる一作。デジタルな日々に疲れた心が、ほっと一息つくような作品です。
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2011/7/10
鼠小僧である必要あったのかなぁ?と一力さんには最近厳しい私だが、出てくれば読んでます。
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今回の作品は、江戸の大泥棒 鼠小僧次郎吉の息子と奥様がでてくる。
まったく知らない登場人物がでてくるのは、よほど登場人物に魅力ないと、その物語になかなかひきこまれないが、今回は最初の10ページくらいで、どんどんひきこまれました!
ストーリー自体には、鼠小僧次郎吉は関係ないのだけれど、奥様の奥ゆかしさ賢さ、次郎吉のパートナーだった祥吉のまっすぐな人間性にも惹かれた。
『いすゞ鳴る』とほぼ同工異曲な作品でしたが、 登場人物が少ない分、すんなりよめました。
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山本さんらしく、しっかりとした文で書かれています。残念なのはストーリーに起伏がいまひとつ不足しているように思えます。しっとりとした話といえばそうなんですが。びっくりするようなどんでん返しもなく、淡々と話が進んでしまっています。
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主役は誰で、何者なんだぁ???と思いつつ読んだら、
今回は材木関係の達人たちのお話でした。
相変わらず面白い、江戸時代の「お仕事小説」。
流通の仕組みなんかも、よくわかります。
しかし、鼠小僧にまつわるエピソードは、かならずしも必要ないのでは?
などと思ってしまいました。
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山本一力の作品では、真ん中くらいの好み。
まず設定が面白く、読み始めから引き込まれた。
展開も含めて面白いのだが、エンディングはどうなんでしょう?もう少し厚みがあってもいいのではと思った。
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先日 、赤川次郎の軽い「鼠小僧」の小説を読んだばかりであった。
この本は、鼠小僧次郎吉が、磔で、処刑された後のことが書かれている。
残された妻子の事を、次郎吉が、生前、材木屋「新宮屋」の主の祥吉に、面倒を見る事を依頼されており、祥吉も、その意思を継いで、息子の大次郎を可愛がる。
大商いの熊野杉の買い付けも、大次郎を連れて行く。
大次郎が、幼くても、父親の言った慣習の様なねこままの仕方など、江戸者へ、さりげなく、禁止の事を告げたり、十五夜、十三夜の月見で、酔っ払いに絡まれても、泣かない強い子であった。
材木の買い付けも、やり方次第、商いをする方法として、600本ものを舟で運ぶのを、3回に分けて運ぶ名案。
碇泊料の負担が少なくて済むいう利点等、、、ちょっとした発想の事で、両方うまく行く方法を考えたものだと思う。
最後の方で、大次郎が、自分の父親の事を話すのだが、祥吉も一命を賭して買い付けする武家に、友としての次郎吉の話を打ち明ける。
全てがうまく収まる方向で、物語は終わるが、題名の満月が、江戸と、新宮を結び付ける良い話だった。
どの場所に居ても、同じ月が見れると思えば、嬉しくなり、フルムーンの時は、遠くに居る人へ同じ月がみれるよ!と、連絡する私である。
この本も「満月」と、題名をしないで、「いかだ満月」としたのは、次郎吉の思いを、誇りと、知恵、そして、その意思を継ぎながら、遠くに居る人と、同じ月を眺める人がいる事を思いながら、月見をするのだと、、、、
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江戸に生きる材木商たちの話だが、ちょっと中途半端感が否めない。
彼らの描写は具体的で生き生きとしているが、話としては一体何が言いたかったのだろうか、という感じ。
磔になった鼠小僧の妻と子どもという特別極まりない設定をもう少し別のことで活かせなかったのか…
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本作は、鼠小僧の忘れ形見の女房と息子を中心に、鼠小僧亡き後に親子の面倒をみる材木問屋商の祥吉が大量の吉野杉を仕入れるために鼠小僧の息子とお目付け役の川並の健次とともに新宮まで買い付けに出向く道中や新宮での義理人情ストーリーにほっこりさせられると同時に、自分のテリトリーでのことが全て正しいのではなく、相手のテリトリーでは、相手の道理を尊重するという姿勢が感服しました!