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紙の本
人間国宝らしい端正な句、噺家らしいクスリとしたくなる句、みんな合わせて桂米朝
2011/10/11 18:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
説明するまでもなく、上方落語の第一人者で人間国宝の桂米朝の俳句集である。米朝が最初に俳句に興味を持ったのは、まだ小学生のときだというから、いまどきの小学生とはかなり違う。当時の小学生向けの雑誌には、わかりやすい俳句が載っていたという。中学生(旧制)になってからは、さらに夢中。正岡子規の影響で、蕪村を好きになったり、一茶をよみふけったり、いやいや、やっぱり芭蕉に戻らねば…。『ホトトギス』も読んでたそうだ。もちろん、作句もしたようだが、残念ながら戦火でみな失ってしまった。
戦後のどさくさでは、趣味を呑気に楽しむ余裕はない。噺家になってから、しばらくは俳句とはひとまず縁が切れた。それが復活したのは、旧知の面々から誘われたから。いわゆる句会とは違って、気の置けない面子での駄弁りを楽しむようなもの。本書に載っている作品のほとんどは、その「やなぎ句会」で詠んだものだ。
芸術作品を、作者自身が解説するのは、野暮というもの。本書も、その例にもれず、作品だけが、羅列してある。あとは、読んだ人が自由に鑑賞すればいい。昭和44年の3月に詠んだ句に「パンティはふとんの外に朝寝かな」というのがある。私はこれが真っ先に気になった。最初は、単に「パンティ」という言葉に、スケベ心で反応しただけだが、この句で詠まれた情景を想像してみると、なかなか面白いものがある。「パンティ」は単なる下着を指すのではなく、それを着けた“中身”なのではないか。つまり、「女房が、布団をはだけて、朝寝をしているさま」を詠んだ句と、私は判断した。もちろん、私の考えが違っているかもしれないけれど。それとも、女房以外のパンティ?
女房を詠んだ句は、まだある。「女房留守なめくじと居る古畳」(47年6月)、「新米に新海苔添えて古女房」(49年11月)。ちなみに、前のほうの句は「女房と畳は新しい方がいい」を受けた形ですね。
「舞い初めのまごのてぶりについつられ」(50年1月)-微笑ましい句です。それが、「富山梨売る子の胸のはちきれそう」「マニキュアの爪でむく桃のみずみずし」(いずれも49年9月)、まだ枯れていないんですね。さらに、「土用波何人処女を奪われし」(51年8月)、ちょっとストレート過ぎません? ま、私は句の巧拙は分からないが、懐の深い、いかにも“米朝らしい”句ばかりだとは言えます。
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