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犯罪あるいは詐欺、だまし討ちにあった被害者や被害者遺族は黙って法の裁きを受け入れることができるのか。
法の裁きは万全で、彼らが納得することができるのか。あるいは、そもそも加害者が反省していようとしていなかろうと、被害者や被害者遺族は黙って事実を受け入れるしかないのだろうか。
普通の人であった被害者やその家族が、犯罪者に対する復讐を行うと決意したその時から、彼らもまた怪物となってしまうと宮部みゆきは展開していきます。
しかも、ルイス・キャロルの『スナーク狩り』を引用して、怪物が怪物を仕留めた時の展開まで持っていっています。
結局、犯罪は不幸しか招かないという悲しい展開ではあります。
ところで、本作品では多少テクニックに走りすぎているような気もして、展開が分かりやすいというか、ひっくり返してまたひっくり返して、最後はお決まりにひっくりかえすといったお仕事小説のような感じが少しした。著者にとったらそんなことは絶対にない!ということなんだろうけど。
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ドラマSPを視聴。展開の隙のなさがすばらしい。
役者陣の演技もすばらしく、特に柄本明の迫力はさすが。
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元彼の結婚式に正装して猟銃を持って乗り込んだけど、そういう愛のもつれみたいな話かと思いきや、それさえただの伏線のひとつだった。織田のおじさんが健気で応援してたけど、後半は怪物と化してしまうし、もうハラハラが止まらまい。善と悪を考える。
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「スナーク狩り」
スナークとは。
織口邦男の勤める釣具店に関沼慶子は鉛版を買いに来た。不思議に思った織口だったが、後日再び店にやってきた慶子から銃を持っていることを聞く。そして、織口はある計画を思い付く。その為に今晩中に銃を盗まねばならないが、その晩、慶子は銃を持ってある場所に現れた。
あらすじにある様にkey personは織口と慶子。織口は公判に通っていることが明かされ、慶子は辛い過去を抱えている。それぞれの理由により銃を手に取ったことでミステリーが深まっていく。過ぎる時間はたった半日、登場人物も数人。少ない時間に少ない人物で濃厚な展開が繰り広げられる。小悪党も極悪人も出てくる。
小悪党に対しては、国分、和恵、範子の順で腹が立つ。小悪党として十分な役目を果たしていたということなのだが、どうにもこういうやつらへの耐性が落ちてきている。織口が立ち向かう極悪人は、取り敢えず殴りたい。腹が立ってしょうがないのだ。範子に関しては、若さ故の過ちと100歩譲ってやろうとは思えど、自己都合で慶子を駆り立てた訳で決して許されることではない。
ポイントとしては、スナークを上手く取り入れている所と解説にある映像型の宮部みゆきが挙げられる。スナーク(the snark)とは、「スナーク狩り(ルイス・キャロルによるナンセンス詩)」の中で探索隊が捜し求める架空の生物である。スナークには様々な異なった品種が存在し、あるスナークは羽毛を持っていて噛み付き、あるスナークは頬髭を生やしていて引っ掻く。あるスナークはブージャムであり、ブージャムに出くわした者は突然静かに消え失せて、二度と現れることはない。殺意に絆された慶子、取りつかれた織口、問われた修治は、怪物になり、そして消えていき、また消えそうになった。
後者は、解説を読んで頂きたい(書評を書きながら思うのだが、解説者の様な視点を取り込みたいと思うが、難易度は高い)。映像型だからこそ、宮部みゆきの作品は映像化しやすいという点はあるかもしれない、映像化の出来不出来は置いといて。
宮部みゆきの長所である「圧倒的なストーリーテリング」と「感動的な物語」も充足された小説。
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強制捜査に無理がありすぎるのはさておき、道中ややだれはするが、最後の追い込みは作者の気合いが伝わってきた。
織口のなにが竹夫に響いたのだろうか…
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私の中では「クライム小説」という印象。
話が目まぐるしく、かつ劇的に進んでいくという感じ。
この著者の作品としては少しめずらしいかなと感じた。
個人的に「クライム小説」が好きなので楽しめた。
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登場する人の話を交錯までの展開が巧いからこそ楽しめる話。ドラマのような、息をのむ展開。そうさせる宮部の圧倒する描写力。
緊張感のある中、関越自動車を走る情景表現が好き。
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アクション映画ばりのストーリー展開で予想もつかないサスペンスの傑作。これが著者の初期のものとは思えないほど完成度が高い。
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まさに「最後までノンストップ。息もつかせぬサスペンス」。一晩の出来事。最後の結末は重いものもあり、読後感スッキリ、な小説ではないが、誰しもが抱える「怪物」の一面を考えさせる。
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久しぶりの宮部みゆきさんという事で、
かなり期待して読んでしまったけど裏切られませんでした。
一気に読んでしまうくらい、引き込まれる。
普段は仮面をかぶっていて、見せなくても
人にはそれぞれ心に闇(ここでいう怪物)があって、、、
沢山の人のそういう感情が入り混じって絡まっている話。
暗いといえば暗いんだけど、呼んでいる間はどきどきの方が上回った。
でもラストはもうちょっとHAPPYな展開が良かったな。
2013/5/28
かなり久しぶりに宮部みゆきさん作品を読みました。
ちょっと後味悪いけど満足感!!
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そもそもこの本を読み直すきっかけになったのが、英国のミステリードラマ「ルイス警部」。ドラマの一端で出てきたルイス・キャロル作のスナーク狩りという詩集。哲学的だとの評価もあって、宮部さんがどのような作品に仕上げたのかが気になって読みました。殺意を抱く瞬間の悪意がスナークなのか...作品の結末は悲しく、それでも生きていかなければならない登場人物たち。一度そういう感情と対峙してしまった以上、以前と決して同じではいられないだろうといろいろ考えさせられました。詩集の「スナーク狩り」もいずれ読んでみたいです。
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もう思いっきり感情移入した。
怒り・悲しみ・やるせなさ…色んな感情が自分の中で芽生えながら、
ページを半分過ぎた頃には気になってしかたがない。
某サイトのレビューで、
「ラストは切ない」みたいな半分ネタバレのような文を読んで、かなり後悔しましたが(-_-#)
読んでいて少し違和感を感じた1文があったけれど、
総合的にみて、宮部みゆきさんの描く人間ドラマってやはりいいな…と感じた。
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宮部みゆきの初期作品だか、完成度がやはり
素晴らしい。
色々複雑な人間模様が交錯して、関係の無い
人間関係からまた一つづつ事件へと繋がって行く
様は、読んでいてスピード感もあり事件の結末
への展開がとてもハラハラする仕掛けになっている。
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怖かったです。
元恋人の結婚式に銃を持って乗り込む女性
妻の病状を心配して夜中に子供と車で向かう男性
元妻と娘を殺されてその裁判を傍聴しに出かける男性
いろんな人がからんできて すごい話しになった。それぞれが一瞬でも殺意があった…ってところがよけいに怖かった。
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テーマは”復讐”。恋人に対する復讐、犯罪者に対する復讐、それぞれどうあるべきか、といった話が展開される。
ある一晩のだけの流れを描いた話であり、誰がどのような背景を元に、どのような復讐を企てて動くのか、というのが時々刻々と明らかにされてゆくさまが素晴らしい話であった。