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「「反日」地方紙の正体」これはまたいったいどんな事実が載っているのだろうか?と思い手に取ってみた。何をもってそのような指摘をしているのかを単的にいうと、現在地方紙はおおよそ一県一紙の割合で発行されており、その多くが「共同通信社」から配信される記事をそのままタイトルを付け替えただけのものや、若干文章をいじったレベルの記事が地方紙の社説に至る部分まで採用されている事実を指摘。この共同通信社が配信する記事には朝日毎日顔負けの左傾記事が多い事実があり、これが地方紙に「共同通信社」の顔を覆った状態(中には共同通信社の記事と分かるように記載されている地方紙もある)で載っている為に「「反日」地方紙」の”正体”となるのであろう。
ただ、本書を読んでみるとわかることだが、地方紙の中にも小勢ながら独自の主張(保守的視座からの記事、若しくは中道)を持っている地方新聞もあるようである。石川県の北國新聞である。他にも若干の地方紙が一定程度左傾から距離をとった地方紙もあるようだが、北國新聞だけが目立っているような印象を受けた。また逆に愛媛(愛媛新聞)や長野(信濃毎日新聞)、北海道(北海道新聞)、沖縄(琉球新報)は特に左傾著しいことが本書に記述されている事実からは受け止めることができよう。しかし多くの地方紙は中央の共同通信社から配信される左傾記事垂れ流しの実体があるようである。
本書は著者ではなく編者日下公人となっていることからも分かる通り、何人もの執筆者が寄稿しており、それをまとめたものである。各論者が各自の視点や専門から記事を分析、「「反日」地方紙の正体」を浮き彫りにする具体的な指摘を行っている。もちろん各論者はいわゆる保守系の論客といわれるメンバーが多くを占めている。(保守でない立場の人間が冷静にこの問題を論じられる識者がいれば、新たな読者層にも主張が浸透する可能性もあるかもしれないが、なかなかそういう立場の人の執筆は見かけにくいのが現状。勝手な想像だが、そのような立場を取った時点で「保守」の仲間扱いになるから自動的にそういう立ち居地をキープした人間がいないことにされているだけかもしれませんが。)
本書各項目を以下に列記しておく(これを見るだけでもある程度文脈が想像出来るのではないだろうか)
第一章 地方紙を操る共同通信
・日本を解体する「地方の時代」 八木秀次(高崎経済大学教授)
・誰でも書ける!地方紙社説の作り方 五十嵐徹(産経新聞論説福委員長)
・東京都の歴史教科書採択を共同通信はこう報じた 藤岡信勝(拓殖大学客員教授)
・読者が知らない共同通信の強大な影響力 安藤慶太(産経新聞社会部編集委員)
第二章 一体どこの国の新聞か
・謝罪、謝罪、謝罪・・・・・・「思考停止」の反戦紙面 片岡正巳(評論家)
・東日本大震災と田母神バッシング 佐藤守(軍事評論家元空将)
・言論封殺!「か」の字も許されない核アレルギー 湯浅博(産経新聞特別記者)
・集団リンチか ルール違反の歴史教科書攻撃 石川瑞穂(産経新聞論説委員)
第三章 トンデモ地方紙ウオッチング
・イラク人質事件をめぐる北海道新聞の異常報道 安藤豊(北海道大学名誉教授)
・「ミニ朝日」「赤旗愛媛版」!?県民性と真逆の愛媛新聞 大津寄章三(愛媛県公立学校教諭)
・地方紙はローカルニュースだけでよい 兵頭二十八(軍学者)
・「8・15」に見る驚くべきパターン化社説 藤岡信勝(拓殖大学客員教授)
第四章 「反日」新聞の行く末
・なぜ郷土の名誉を回復しようとしないのか 渡部昇一(上智大学名誉教授)
・地方紙は本当に地元民の幸福を願っているか 兵頭二十八(軍学者)
・要らない新聞、必要な新聞 日下公人(評論家)
最後の章で編者でもある日下氏の寄稿「要らない新聞、必要な新聞」という項目があるが、これはある意味本書全体に通じる主張にもなっていると言えよう。要旨を言えば、今やインターネットの時代。地方紙は中央から配信される記事を「思考停止」状態で垂れ流しているだけでは存在価値すら無い。もっと地に足を着けて自分の頭で物事を考え、地元だからこそ伝えられる記事、事実、温もりを地元民に伝えること。これは遠まわしではあるが下からの「愛国心」(ナショナリズムではない。自然発生的に生じるはずの感性)であり、戦後的価値観への懐疑、ひいては現状の新聞紙面の否定でもあるわけである。
本書は特定の人に勧めたい本というよりは、一人でも多くの国民がこの本で指摘されている事実を認識し、メディアの在り方、現実を再考して欲しいと思う。購入しないまでも本屋や図書館で斜め読みでもいいので興味を持ってもらいたい本である。
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私の住んでいる埼玉県は地方紙として埼玉新聞があり、地元の公務員の方は読んでいる人が多いと思います。
10年以上前に、以前勤務していた会社が表彰を受けて、ある業界紙の取材を受けた時に、新聞に載せる原稿を提出するように言われて驚いたことがあります。
このようなことは、特別の業界紙に限ったことと思っていたのですが、この本を読んで、多くの地方新聞社が共同通信社から記事を買う(利用する)ことがあると知って驚きました。
どうりで各社の報道内容が同じようになるのですね。今回の内容を一般に出すことは一種のタブーのように思いますが、新聞の中でも特徴のある(とこの本で書かれている)産経新聞出版の強力があったので本になったのかもしれません。
以下は気になったポイントです。
・地方紙の記者は地元にだけいて名士扱いされるのでインテリのつもりでいるが、彼らの権勢は飽くまで地域限定である(p17)
・全国紙の社説と地元紙の社説を比較することはあるが、地方紙の社説を地域をまたいで読み比べることはない、これが盲点で、それらが似ていることが多い(p18)
・夫婦別姓の法案(民法改正)は、新進党で反対論が続出したことが法案提出を断念させた大きな原動力となった(p24)
・数紙の新聞を読み比べることは少ないので、一般の人は特定の政治的傾きをそうとは知らずに受け入れてしまうことになる(p39)
・共同通信が加盟社である地方紙に向けて、社説を書く際の参考資料として「資料版論説」を配布している(p43)
・かつては新聞も鮮度が勝負であり、配送時間の問題から全国紙は地方紙の敵ではなかったが、現地印刷の普及、交通機関の発達により、両者のライバル関係は次第に強まってきている(p47)
・加盟120紙の総発行部数は、5000万部とされる、そのうち半分以上は中央ニュースを共同通信に頼る地方紙があるので、地方紙はやがて事実上の「共同新聞」になる(p49)
・共同通信は、公益法人として新聞、テレビなど様々なメディアを支える裏方のような役割を持ったニュース供給メディアである(p74)
・地方紙はおおむね県庁所在地に本社を構え、県庁に手厚い取材部隊を置く、郷土のニュースをどこよりも速く、手厚く詳しく報じることを全国紙と競い合う(p75)
・平成21年4月に北朝鮮がテポドン2号ミサイルを打ち上げた時は、日米安保条約の5条の「共同対処」の最初のケースであったが、日米により対処の仕方が異なった(p157)
・地方紙が朝日新聞とともに犯した過ちは、検定中に扶桑社教科書の白表紙本の内容と検定経過を報じて、それを社説で論じたこと(p171)
・文部省の検定によって日本の華北への「侵略」が「進出」に書き換えられたとマスコミが報じたが、この事実はなく、全マスコミの誤報であった(p188)
・新聞を読まないことのメリットは、赤の他人の編集者が選んで送り届けてくるテキストや知りたくもない情報から不必要なストレスを受け取らずに済むこと(p220)
・8月15日は日本と連合国との戦闘行為が終了した「停戦記念日」であり、戦争状態が終了したのは、講和条約が発効して日本が主権を回復した1952年4月28日である(p224)
・1951年5月3日のマッカーサーの発言は、日本にとっては東京裁判の無効宣言に等しい(p245)
・日本の敗戦から数年の間、戦犯追及や公職追放によって、それまでの企業等の幹部はすべて職場から消えてしまい、そのポストを下級者等が、何段跳びもして占めた(p247)
・満州国は公務員たちの夢を地上にかなえた楽園であった、東京政府から歳入が補てんされるので、官僚天国だった(p267)
・自動車会社のアッセンブリー用ロボットは、GMで1961年に実現したのが最初で、日本メーカは米国製ロボットの模倣からスタートとした、米国では組合が強かったり、経営者に長期投資が許されなかったり等で普及を遅らせる条件が多かった(p270)
・新聞がなぜ命脈を保ってきたかは、折り込みチラシや「景品の力」である(p278)
・東日本震災で既存の権威が各方面で失墜している、庶民は底力があることが分かったが、学識経験者は無いことが分かった(p285)
2011年10月8日作成
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共同通信の記事を各新聞社が買っているのは知っていたけれど,これほどまでとは思わなかった。社説まで同じとくると笑うに笑えない。
地方紙の左傾化の原因は,各新聞社が自分の頭で考えて書くことができず,共同通信の記事ばかりを使っていることにあり,その共同通信が左傾化している,ということにあるのでしょうか。それが「正体」なのかなと思います。
1951年5月3日の米上院軍事外交合同委員会でのマッカーサーの発言は知らなかった。こういうことこそ,報道し,教育すればいいのに。
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どのようなイデオロギーが正しいかどうか以前の問題。
地方紙は共同通信の丸パクリ、丸写し。
なんと、新聞社の顔とも言える「社説」まで共同通信から送られてくる「資料版論説」という名の社説を丸写ししているのだ!
お前ら、新聞記者としてのプライド無いのか?恥ずかしくないの?
この本を読むと、地方新聞に対して怒りよりも、情けなさを感じるのは自分だけだろうか。
こんなんだから、「マスゴミ」と呼ばれるのですよ、新聞社のみなさん。
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本書は、主に「社説」に焦点を当てることで、地方新聞がいかに反日的・画一的で“魔女狩り的”な論調に染まっているか、その実態と構造を初めて本格的に明らかにしようと試みたものである。
地方紙の価値や存在意義が問われている。
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私は新聞はとらないし、たまに出先で手元にあればパラパラと目を通すくらいです。それが正しかったっと証明されました。地方新聞が共同通信の記事を写してるだけだったとは知りませんでしたが。
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左系は順番に朝日、毎日、日経、読売、産経という順番なようだ。地方紙は左系が多い。北海道新聞も左系だが、知らずに1紙だけ読んでいると気が付かないうちに洗脳される恐れがあるようだ。新聞社の人たちも下手したら気が付いていない。これには気を付けなければならない。
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この版元とも言える産経新聞は共同通信の「加盟社」である。宿敵「朝日」や「読宣」は「契約社」なんだけどなあ。なんだかなあ。そんなに嫌ならば加盟を外れればいいのに。
福島民報を批判する文面で「地方紙の記者は地元だけにいて、他流試合をしない」と書いてあるが、福島はライバル新聞のある数少ない地域である。このような思い込みや誤認が満載であった。