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“「ナゾナゾ。まあ、こういうこともあるさ。」
「うう……。」
奈那は顔をあげないが、どうやら泣いているみたいである。
「桃園さんは、アームチェア・ディテクティブって知っているだろう?」
功太が、静かに語りかけた。
「日本語にすると、安楽イス探偵。つまり、現場にいかずに、人や資料から得た情報だけで推理する探偵のことさ。」
「バロネス・オルツィの『隅の老人』とかでしょう。」
「そうさ。つまり、今回、桃園さんは、安楽イス探偵になるんだ。」
奈那は、ようやく顔をあげる。
やっぱり、ほおは涙でぬれていた。”[P.123]
次巻予告が無いよー。
いつ出るだろ。
“「どうして、わたしたちには教えてくれないのに、胡蝶先生をさそったんですか?」
「え……。」
「もしかして、黒坂先生は、胡蝶先生のことが好きなんですか?」
黒坂先生は、ギョーザを口にふくんだまま、はげしくむせる。
ふたりの会話をきいていたのか、カウンター席にいたおじさんが、ニヤニヤしながら、ふりむいた。
「バ、バカ野郎!あんなイジワルな女を好きになるはずねえだろ。」
「えー。そうですかあ。わたしたちには、すごくやさしいですよ。黒坂先生だって、もっときちんとすれば、やさしくしてもらえると思いますけど……。」
「う、うるさい。よけいなお世話だ。」
黒坂先生は、ゴホンとせきばらいをしてから、まじめくさった顔でいった。”[P76]