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“「シャル。なにか欲しいものない?」
こんなに弱っているシャルは、はじめてだ。心配のあまり、彼がベッドの上に投げ出している片方の手の甲に触れた。
すると軽く閉じていたシャルの瞼が開き、アンを見てちらりと笑った。
「欲しければ、くれるのか?」
「うん」
「じゃあ、おまえ」
「へ?」
意味がわからず、きょとんとした。が、すぐに耳が熱くなる。彼に触れていた手が恥ずかしくなり、引っこめた。
「シャル!わたし本気で心配してるのに、からかわないで!」
真っ赤になって怒鳴ると、シャルはくすくすっとすこしだけ笑って再び目を閉じた。やはりいつもより元気がない。
どうにかして元気になってくれるような方法はないものだろうか。
人間ならば医者に診せ、安静にして、栄養のあるものを食べればいいのだろうが、妖精の医者など聞いたことがない。
ミスリルが言うように、温めたワインで元気になるものでもないだろう。
——妖精が元気になるもの?
はっと思い出して、立ちあがった。”
「シュガーアップル・フェアリーテイル 日と月の密約」 三川みり
例によって例のごとくシュガーアップル・フェアリーテイルだけ読んだりもごもご。