妄想の彼女と走り回れ!
2015/08/21 14:12
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕は大学一年生の春に失恋した。相手は大学前にある電柱だった。妄想癖のある僕には電柱が読書の似合う深窓の令嬢として認識されていたのだ。だがその彼女は、ある日突然、消えてしまった。僕が電柱だと気づいてしまったのだ。
こうして周囲から変人扱いされることが当たり前になった大学二年生。僕は自分の部屋に閉じこもっていた。訪ねてくるのは、砂吹という変人くらいだ。そんな時、僕の前に人型の妄想が現れる。それは小柄な女性の姿をしていた。そして彼女は言う、もっと人間ときちんと付き合え、と。
ジョナさんと名乗る彼女に引っ張られ、ゼミのコンパに出席して絶望したり、学園際のイベントに参加して電柱美女と同じ容姿の安藤さんに出合ったり、推理小説研究会の会長・坂井に引っ張りまわされてゲームをしたり、傷つきながらも徐々に仲間が出来ていく。
しかしそれは別れの始まりでもある。自分の妄想とは理解しつつも、自分に親身になり、自分の子とだけを考えてくれるジョナさんに恋心に似たものを感じるようになっていた頃、彼女の姿が透けだしたのだ。もともと僕が現実に復帰する助けになるために生まれた妄想なので、その役割を果たせば彼女の寿命はそこまでなのだ。
アニマ・アニムスの概念もあるように、理想の異性は自分の心の中にある。普通はその理想と自分が相まみえることは、夢の中くらいでしかありえない。しかしこの主人公は、その彼女が自分の目の前に現れ、会話をし、自分の部屋で暮らすのだ。それは惚れないわけがない。
だが相手はあくまで妄想。それと真剣に恋愛をすることは、常識的にありえない。それはある意味で禁忌だ。しかし禁忌ゆえに盛り上がる感情もある。その葛藤が、そして予見される結末が、せつなく、美しく、かなしい。
それでもこの別れはかなしいものではない。なぜなら、彼女との別れは僕の新たな人生の始まりを保証しているのだから。
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妄想に取り憑かれている青年が主人公。ヒロインすら妄想。主人公の妄想の正解について行けないと、正直読むのが辛いと思う。主人公を導く存在である、砂吹という男の存在が正直ご都合主義すぎる。この男こそ妄想かと思った。ラストのあたりは悪くない。
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この物語は主人公のかなわぬ恋をえがいた物語である.
いつかはきえてしまうと分かっている.
絶対にかなわない恋.
現実世界から目を背けたいときに読むと元気をもらえる作品だと思う.
最後まで読めばきっと心あたたまると思う.
以下あらすじである.
主人公は,妄想に悩まされる男の子である.
過去のトラウマにより,現実から目を背けていた.
ある日,主人公の前に一人の女の子が現れる.
彼女の名前はジョナさん.
彼女は,主人公を現実から目を背けている主人公を助けるためにあらわれた妄想であった.
最初はジョナさんの存在を疎ましく思っていた主人公であったが,ジョナさんとの日々を過ごしていくうち,ジョナさんの存在は主人公にとってなくてはならない存在になっていた.
ジョナさんの努力の成果もあり,主人公は現実に少しずつ向き合うようになる.
ある日,ジョナさんの存在が消え始めていることに気づく主人公.
現実に向き合うことで,妄想をみる頻度が減った.妄想であるジョナさんも例外ではない.
主人公はジョナさんに消えてほしくはなかった.できることならずっといっしょにいたいと思っていた.
だんだんジョナさんと会う頻度が減っていく.
その日は,やってきた.
ジョナさんがいない.
いなくなって始めて気づく.ジョナさんの存在.
ジョナさんに合いたい.
主人公は再び現実から目を背け,妄想の世界に入り浸るようになる.そうすればジョナさんに合えると.
しかし,ジョナさんは現れなかった.
ジョナさんが望んだこと.それは,主人公が現実と向き合うことである.
ジョナさんにあう方法.それは,現実と向き合うことであったのだ.
再び,現実と向き合う決心をする主人公の前に現れたジョナさん.
ジョナさんは最後の別れを言いにきたのだ.
ジョンさんの存在を忘れることは決してないだろう.
ジョナさん「大好きだった」
主人公「僕もだよ」
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とても森見さんぽかった。"僕"の妄想の産物であるジョナさんとそんな"僕"に関わる奇妙な人々とのキャンパスライフな話。
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あとがきに書かれてた通りの、人から見れば滑稽で情けなく痛々しい恋のお話。
だけど、だからこそ、その切なさに涙してしまう。挿絵もとても魅力的。
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妄想彼女とキャッキャウフフして、最後は愛と奇跡で妄想が現実になってハッピーエンドなら、窓から放り投げていたのは間違いない。
ジョナさんがそれなりに魅力的なのだけど、嫉妬も好意的な対応も全て自分の妄想だからということを考えると、とても虚しくなる。
この本の面白いところは主人公の特性が、そういった部分を感じさせず妄想の被害者的な立ち位置が、上で書いた部分を打ち消していて面白く読める。
個人的にとても現実的な終わり方をしたのが高評価でした。
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別名・僕は友達が「いない」。
対人関係が苦手で友達ができない……そんな現実から逃避するために、想像の世界で遊ぶ。幼い頃、思春期の頃にそういった経験を持つ人は少なからずいると思う。
でもそれが徐々に強まり、いつしか現実の光景を変容させ、架空の人物すら生み出してしまう程の厄介な妄想になったとしたら。
そんな「妄想と現実の区別がつかない」症状に悩む主人公が、自分の妄想が生み出した架空の女性(正体は電柱)に、そうとは知らず恋をし、失恋。
世の中も自分自身にも絶望し引きこもる彼の前に、一人の少女が現れた。
彼女の名前はジョナさん。
その正体は、主人公が再び現実と向き合う為に生み出された、妄想の産物――。
何事にも一生懸命な美少女(ただし非実在)と、生きることに不器用な青年が、リア充めざして七転八倒する話。
ジョナさんは「いつでも僕のことを第一に考えてくれる女の子」って夢の様なヒロインなのに、妄想の産物だから悲しみがある。自分の願望が形になるから理想通りで当たり前だし、妄想だからいつか来る別れが見えている。
だから、基本はラブコメなのに、底の方で見える悲しさが切実。
その複雑さが、予想していた以上におもしろかった。
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妄想にとりつかれた僕。
街を歩けばただの道もレンガづくりになり、しゃべるカエルがキセルをくわえ、二足歩行のウサギが目の前にいる。
そのウサギ、ヒロインもやはり妄想。
そんなヒロインに心を奪われてく―。
…そんな感じでしょうか。
とにかく主人公の妄想がすごい。なんか尊敬できるくらいに。
妄想ってやっぱさみしいですね。妄想してるときは楽しくても戻るとさみしくなる。
ジョナさんは、妄想だけど妄想から現実に引き戻そうとする妄想。主人公のために必死になる彼女はかわいいけどかなしい。
彼女のためにがんばると彼女から離れなきゃならなくなる。
なんかもどかしいです。
ラストは、さみしいけど前を向かなきゃならなくなる。前を向こう、と思えます。
読んでよかったかな?
また時がきたらもう一度ジョナさんにあいたいです。
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非常に評価しずらい作品だと思いました。挿絵と出版社からライトノベルであろうという先入観で読み始めたら人物像のビジュアル面での描写が薄く、一般的な小説のような印象でした。
妄想によって繰り広げられる世界は決して破綻することなく、現実感を保ちながら主人公が成長していく物語です。
ライトノベルのような派手さとスピード感を求めて読み始めてしまったために、評価は星3つとしました。
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何を信じているかなんて人それぞれだなと再確認させられた。
作者の方、人間が好きなんだろうなあ。。と思わせるような暖かい雰囲気が好き。それだけに、もっとドロドロなのも書いてみて欲しかったり。
他の作品もチェックしてみようと思う。
書店にて表紙買い。タイトルが秀逸。
ファミレスはジョナサン派。
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妄想が止まらなく、現実にまで侵食してきた少年と、そんな彼を更生すべく現れた同じく妄想な彼女ジョナさん。設定と展開がいい!!
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友人も恋人も「妄想」。
けれど、その妄想は主人公自身も現実と見分けが付かないほどに自身の周囲を侵食していて・・・。
妄想から生まれた美女(ジョナさん)と共に、主人公が現実世界と向き合うまでの成長を描いたほんのり甘くてちょっぴり切ない恋の物語。
読みやすく、笑って泣ける心の温かくなる作品です。
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ヒロインが存在しない恋愛小説というこの作品。どう足掻いても報われることの無い恋愛なんて悲しみ以外のなんの感情もわかない。その点この作品はまだ救いのある結末だったかなって思う
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とにかくジョナさんがかわいい。安藤に対抗意識を燃やしている所なんてもう最高にかわいい。さらっとゲスいことを言ってしまう部分も好きだ。最後のシーンは不覚にもうるっときてしまった。
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自分も妄想することはよくあるけども主人公は次元が違う。「妄想する」っていうのは誰でも口に出したことあるんじゃないかな。こうだったらとかこんな風にとか思ったり。でも主人公は勝手に妄想が見えてしまう。安藤さんが言っていたような医学的な観点は全然分からないし、そうならないと分からないだろうと思うけど、少なくとも私たちの想像する妄想とはちょっと違うお話でした。自分の心の中の拠り所?可能性への一歩?妄想で人生が壊れ、妄想で治る。なんとも不思議なお話だと思いました。
h29.6.8