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紙の本
さかな君はこの内容をどのように解説するのか。
2011/09/20 07:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人を英語で「フィッシュイーター(魚食い)」というそうだ。そう言われれば、グルメ番組でも肉と魚の紹介の割合を見てみると、どっちもどっちなのか。いや、魚だろう、などと考え込んでしまう。
若き日、西ドイツ(当時ドイツは東西に分かれていた)のミュンヘン駅で列車に乗り込もうとしたとき、構内に充満する名物のバイセブルスト(白ソーセージ)の臭いに気分が悪くなった。バックパッカーとしてヨーロッパを廻っている時だったが、ヨーロッパの人間が日本に着任すると一様に「魚臭い」と感じるのと同じ感覚なのだろう。そのバックパッカーの旅では宿泊先のユースホステルでの食事で魚にありつくことは皆無だった。オーストリアの山中で昼食のパンを買いに入った店で購ったニシンの酢漬けのサラダを食べた時、噛みしめた魚肉の味に幸せを感じ、ザルツブルグのとあるテラスで水槽に泳ぐ鱒を目にして、ムニエルにして食ったならばさぞ美味かろうとしばらく眺めていた。日常、米よりもパン、魚よりも肉を好んでいたが、米はまだしも、しっかりと身体の方が魚食を覚えていたのだった。
本来、本書は九州一の大河といわれる筑後川河畔での魚とその地域に住む人々の生活を巡るものなのだが、読み進むうちに、自身の魚食についての思い出が甦って来た。というのも、一地方の魚食文化のみならず、ヨーロッパやアジアなどの魚食にまで言及し、読み方によっては魚食の比較文化論にもなっているからである。それでいて、人間による魚の生態系の破壊にまで話は及び、学習から生活に至るまで画一的な規格品に慣らされ鈍感になった現代人への警鐘ともなっている。
それにしても、筑後川という河川にこれほど多くの魚に関する文化があることに驚く。有明海という独特の海が広がっているからだろうが、海の魚が10キロも20キロも川を遡上する不思議をさかな君であればどのように解説してくれるのだろうか。
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