紙の本
恩寵の力と肉親のつながり
2012/02/26 21:47
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルス公家の支配する敵地に赴いたヤエトは、そこで彼の過去視の恩寵を前提とした真上皇帝陛下kらの伝言を受け取る。恩寵を隠し通そうとすれば、陛下の伝達官にして商人のナグウィンが死ぬ。彼を助けようとすればルス公家の内紛に巻き込まれかねないし、何より恩寵がばれてしまう。巧みに作られた罠にはまったヤエトは、こういうときにはまず、自分のことよりも北嶺王のことを、誰かのことを考えてしまう。
ひとまず危機を乗り越えて北嶺と戻ったヤエトだが、ナグウィンの問題は何も解決していない。他国に介入するため、強大な力を持ちながらも幽閉されているル=シル・ル=ウル・ア=ヴルスと協力関係を結ぶことを考えるヤエト。それには、皇帝陛下の気を別の方面にそらす必要がある。そのための策を練ることにするのだが、それはいくつかの成功と、いくつかの傷跡を残す結末をもたらすことを、ヤエトはまだ知らない。
ちょっと時間が空いてしまったので、ストーリーを忘れてしまいそうになっていた。まあでも読んだら大体思い出した。今回、ヤエトはかなり勤勉に働いている。
魔王に関する情報も加わり、アストラあるいは古き竪琴ハルウィオンという人物が登場し、神々の一部も積極的に動き始めた気がする。しかしそれとは関わりなく帝国は運営され、そこに生きる人々も、日々、小さな想いを交わし合うこともあるわけだ。肉親同士がいがみ合い、あるいは無関心を貫く関係がある一方で、元々は何の関係もなかった人々がつながり、互いを思いやる関係も、またある。
今回は特に、ヤエトの台詞に良いものが多かった気がする。
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本格隠居ファンタジー第三弾下巻。
ヤエト先生の隠居の道はさらに遠く、今回も死にそうな目にあいながら体を張ってお仕事?されてます。
あんなに虚弱なのに、しかも本人は「どうして自分が」と言いながら、世界の破滅の阻止まで動かなければならない・・・本当に不憫です、ヤエト先生・・・。そして誰も代わってくれない(苦笑)。
しかし、ほんと、女心がわからない先生ですね・・・。そこか先生らしいんですけど。
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ううん、「下巻」だけど途中感たっぷりー。まあそう簡単に北方問題が片付くわけもなく、かな。
ところでかなりわかりやすい誤植が2ヶ所あったんだけど、これは初版の運命ですか。2版からは直されるんでしょうねー。しかしこれが編集さんも校正さんもくぐり抜けたとは…
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ヤエトさんはあいも変わらずよく働く。隠居したいと言いつつもぶっ倒れつつも。
北方でのゴタゴタは半分くらいは解決した、のかな。しかしまだまだ明かされていない謎も多いような。
で。次巻が出るのはいつなんでしょうか。
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このシリーズの1巻を読んだところで「翼の帰る処」というタイトルがいいなあと思ったのですが、別の意味で、この3巻を読み終わって、まさしく「翼の帰る処」である、と実感した次第。
しかし懸案は相変わらず、いや増え続け、いくつものXデーは刻一刻と近づいているようにも思え…。ハラハラドキドキというよりも、あの人の健康と展開にやきもきしています。
そして毎回両翼が欠けることなく、ちゃんと帰ってきますように、と願わずにはいられません…皇女のために。
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待ちに待った下巻です。
ヤエトさんがまた死にそうになりながら奮闘しています。
彼のように「常に正しい」という姿勢を貫くのはとても難しく、だからこそ惹かれるのですかね?
随所に張り廻られた付箋が少しずつ解明されたり、また新たな付箋が貼られたりしていてこの先の展開が楽しみです。
個人的には皇妹殿下の色気にノックダウンしっぱなし(笑)
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(No.11-63) ファンタジー「翼の帰る処」シリーズ3です。上・下巻をまとめて書きます。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『望んでもいないのに四大貴族の一角〈黒狼公〉に出世してしまったヤエトだったが、その隠居願望と病弱さは変わらぬまま。どこで倒れたのか気がついたら、皇女のいる北嶺国で看病されている始末だった。そんな折、ヤエトは前の〈黒狼公〉妃であった皇妹から「復縁」を提案される。激しく動揺するヤエトに追い討ちをかけるように、宿敵・北方蛮族の使節が北嶺国を突然訪れ、相互和平のため人質交換を要求。
皇帝の策略によって罠に陥ったヤエトは、ルス公当主ライモンドと対面し、逃亡した商人を引き渡すよう要請する。要求は受け入れられたものの、無理がたたって倒れてしまうヤエト。からくも北嶺に戻るが、皇帝の策略を阻止するため、ヤエトは無理をして再び北方へ向うことを決意する。それを決断させた裏には〈過去視〉の力で出会った謎の少女・ルシルの願いを聞き入れたいという思いがあった。』
3の上巻が出たのは一年前。下が出たら続けて読もうと取っておいたら、なんとこんなに間が開いてしまいましたね。でも出ないよりは良いけど。
もうこうなったら最初から読み直そうと、6冊全部通して読みました。至福の時でした!
今回は主に北方とのいざこざです。北嶺と北方はこの物語が始まった時からすでにきな臭い関係でしたね。北嶺は帝国の外れですから、北嶺にとっては帝国より北方の方がずっと近いわけで。
地理的に近いほど、両国の緊張は高まるのは世の常。北方にとって見れば、帝国の一地方だった北嶺の地位が昇格して、国として認められたのは脅威なはずです。
またもや魅力的な人が新たに登場しました。志願して人質になってやってきた北方の公子レイランドです。特異な育てられ方をしたルシルも。前回から登場しているアルハンのファルバーンもたくさん出てきてくれて嬉しいこと。
この物語には敵味方とも(あるいはどっちか分からない人も)癖のある人物がたくさん出てきますが、それぞれ背景というか奥行きがあって生きて感じられるのが良いと思います。ストーリーを進めるための駒にするために作った人物というのは、私は好きではないので。
どうやら4巻も上・下巻になるようなのですが、上巻と下巻の間が一年も開くという今回のようになるのを防ぐため、下巻の見通しが立ってから上巻を出版することになったとか。これは・・・、次は相当待たされますね、覚悟しなければ。
まあともかく書き続けてくれた作者に「ありがとう」と感謝。
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上巻から1年以上たっていましたが、変わらぬ面白さで安心。
ここにきてあの人物がこうやって出てくるとは思いませんでした。
ヤエト節全開で、知るかボケが前以上に活躍中です。(笑)
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どちらかというと流れの巻だったのかな、という気がします。皇帝陛下の意外な一面に、主人公ともどもびっくりする巻。主人公の「知るかボケ」は、きっと一生使えないんじゃないかと思うと思わず笑ってしまいます。
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皇帝の命に従うか否か、いなくなった商人をどう探すかどうか。
…の前に倒れてしまっていますが。
とりあえず、王からの指示は辛うじて守れた、という感じでしょうか?w
いやもう色々たらし込んでるような気がしてなりません。
守備範囲広いな~とか言ったら、違います、と反論されそうですが。
意図せず友人をげっとしてしまった状態ですが
またこれは次回とかに効力を発揮しそうな繋がりです。
皇帝にしては、驚きの真実が出てきましたし。
王とはまた約束事が増えてますし。
己で首絞めてるような感じが、ものすごくします。
もう、これ以上約束増やすと、切っても切れないどころでなく
切るってどうやって? な状態に。
要所要所の、鳥馬鹿一直線なのも面白かったですw
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安定の面白さでした。
まだまだ続きそうですね!
解決、というよりは
これを機として
石が転がっていくのかな、と。
きっとヤエトは
「知るかボケ」を口に出す事なく
終わるのでしょう^q^
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今更ながらに、この本のタイトルの意味が自分の中でしっくりきた。
ヤエトは皇女の翼であり、色々なことがあっても最後に翼であるヤエトが還る処は皇女の居る場所。
どこかへヤエトが出かけるたびに、皇女が「無事に帰ってこい」と言うのが腑に落ちたというか。言葉に出すことは念じることであり、それが力になるから。
魔法とは言葉であり、名前であることというのが主題のひとつのお話だったから、題名について今更納得したのかも知れない。
世界の罅についても少しずつ謎が明らかになってきた。
ルシルやアストラの存在も気になり、今後の展開が待ち遠しい。
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幼女!幼女!幼女可愛いよ幼女。スーリヤも敵意可愛いよ。
北方の主・ア=ヴルスになつかれるの巻。
そして散々視てきてはいた謎の人物・アストラさんがまさかの登場。
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歴史ものだ
『風の王国』と同じく「歴史もの」ではあるにせよ「歴史小説」なのか
立場が政治権力者だから「歴史」なのであって
そういう「職場」でのお仕事ものなのではなかろうか
という点
利害の絡む人間関係を描いていて
登場人物たちが物理的にではなく政治的あるいは軍事的すなわち社会的に力があるので
歴史もののようではある(戦争部分を主と描くなら戦記ものである)が
社会的に力がない場合としていることは変わらないのでは
例えば学校における友達関係立ち居地問題とかみたいな
しかし逆に言えば「利害の絡む人間関係」を描いていない「小説(=物語)」で
ないものでないのであり
その中で社会権力者を描いたものが歴史に残ったか動かしたかに関係なく
歴史ものというべきだろう
もちろん史実かどうかはフィクションとノンフィクション(ファンタジーと現実)の違いと同じく
区別する意味はない
もうひとつタグ付けするか迷うのは「少女」
作品主人公は30代男性だが
読者視点はその後方上空にあって作者の見せ方は「女子向けライトノベル」のものに近い
しかしイラストを除けばライトノベル的なものはファンタジー的なものと同じく
歴史ものであることに対して比較ごく少
であれば皇女や皇妹視点で主人公の挙動を楽しむこの見せ方をどう表すべきか
少女小説少女向け小説女子向け小説について経験量不足で判断つきかねるので保留する
いずれにせよ「女子向けライトノベルファンタジー風味な歴史もの」として
けちのつけようない優れた作品
が今のところ感想
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主人公ヤエトは、北方ルス公ライモンドと会談することでいったん危機を脱する。しかし、北嶺国は北方と同盟を結ばざるを得なくなる。強大な力を持つがゆえに幽閉されていたラ=ヴルスの幼女ルシルと会い、友となって、来る破滅の日にともに戦うことを約する。一方、皇女は、皇帝の勘気を買った第4皇子を庇うという危ういことになっていた。そのために、ヤエトはルーギンとともに皇帝に会うが、魔物たちを捉えている蓋が開きそうになっていることを告げても、あまり信じていそうもない。
この蓋が開きそうだということが、これからの物語の展開のキーポイントなのだろう。ラ=ヴルスや風に捕まえられていた南方の男アトラスなどがこれから大いにかかわってくるのだろう。やはりファンタジーの世界なのだ。まだまだその全容が分からないというか、世界観の理解は難しい。