投稿元:
レビューを見る
舞台は昭和初期。横浜のミッションスクールに通う主人公三千子と、
上級生の洋子、克子の「三角関係」を主題とした川端康成の著書。
当時の女学生は「エス」という甘美なまでの擬似恋愛関係に、これほど
酔狂していたのか、というのが素直な感想。
自由恋愛が主流の今日では、考えられないような世界観。
好きな場面は、軽井沢で三千子と克子が水泳大会に行く場面。
日本人の少女が西洋人に勝つ場面で、克子は三千子に、
「でも、三千子さんが喜ぶの見てると、西洋人は日本人より偉くって、
そのえらい者に、日本人が勝ったから、嬉しがってるのよ。そんなの
わたしは嫌だわ。」という場面(169頁)
おそらく、全国の読者乙女が「はっ」となったことと思う。
今の時代だって、日本人の西洋への憧れはやむことがないのだから。
さらに、次のページでは、
「私たちはね、だから、世界の灯にならなければいけないと思うの。
日本の少女は、もっともっと、誇りを持っていいのよ。」(170頁)
雑誌「少女の友」を読む全ての乙女たちへの、川端康成最大の
メッセージであるように思う。
洋子は、日本の乙女。品があって、慎ましくて、どこか儚げな輪郭。
でも、これからの時代を予感させる克子の明朗で、自信に満ち溢れ、
太陽の光を燦燦に浴びたくっきりとした姿は、当時の乙女たちに、
どんなふうに受け入れられたのだろう。
でも、わたしは洋子のほうが好き。
投稿元:
レビューを見る
百合小説と言ってしまうと俗っぽいけれど、上品な味わいで良かった。
良家の子女、男子校・女子校、同性同士の愛・友情、信仰…
というキーワードから、なんとなくトーマの心臓を連想した。
私は洋子派です。←
ちなみにこれを川端康成の作品として出すことには疑問を感じる
投稿元:
レビューを見る
なんかマリみてみたい。エス小説。まあ当たり前か。
戦前の作品なのに、読みやすい。
私なら、2人のうちなら洋子がいいな。ああいうお姉さまが好みなのです。
ああ、だけど克子に引っ張られて一緒に遊んじゃうかも。
結局、三千子と同じだわ
投稿元:
レビューを見る
お嬢からの借り物
女子校独特のノリ(私は女子校じゃないけど)が、過剰過ぎると怖くなることがわかった。
ドロドロ昼ドラ展開かと思ったら最後は後味良く終わったのでよかった。
投稿元:
レビューを見る
1937年に少女の友に連載された少女小説。実際は川端康成の作品とゆーより、中里恒子との合作だったみたい。とにかく、この頃の少女たちの愛らしいこと。主人公三千子を巡る二人の上級生の淡い人間関係を描いた少女小説の傑作。中原淳一の挿絵も素敵。
投稿元:
レビューを見る
昭和初期の横浜のミッションスクールを舞台に、女の子たちがお互いを「お姉さま」とか「私のすみれ」とか呼び合ったりしています。
避暑に訪れた軽井沢で別のお姉さまと親しくなってしまったことを教会で懺悔しようとしたり、お姉さまのおうちの事業が立ち行かなくなったり、それでも健気にがんばるお姉さまを一層お美しいと思ったりしています。
びっくりした…
ただの少女向けライトノベルだろうが!
でも好き。何が好きって、その文章の美しさ。さすが文豪。もし現代にこんなに言葉遣いのきれいな女の子がいたら…
いないか。
投稿元:
レビューを見る
とても素敵な少女達の物語。女子校出身のせいかエスの関係はすんなり理解出来る。
言葉遣い、気遣い、作法など学ぶ事が多い。
少女達が清らかで美しく、時代背景を考えるとその後戦争に突入していくのかな、とふと考えてちょっとだけ切なくなった。
投稿元:
レビューを見る
まるでマリ見て…って思いましたが、もちろんこちらが源流ですね。
川端先生が書いていることにも驚きですが、中原先生の絵が可愛らしすぎます!
姉妹の契りはどうも異文化でよくわからないなりに、繊細でうつくしいものをこわさないようにこわさないように慈しむ…という感じが、こういう関係もあるんだなぁ~と新鮮でした。
投稿元:
レビューを見る
前半で、ミッションスクールのエスというものについて濃厚な世界を読んだと思ったら、後半では主人公とその周囲が大人になる全段階で、いっきに成長する様子を見られた。
少女たちが熱狂したのも納得がいく。
投稿元:
レビューを見る
川端康成によって書かれた少女小説。昭和12-13年に「少女の友」に連載されていた、当時は大ブームを巻き起こしたようだ。挿絵の中原淳一郎の不思議な魅力が花を添えている。
投稿元:
レビューを見る
言葉づかいを真似たくなる本。
女の子らしい悩み、愛しいこと、嫌いなこと、そんな掛け合いが
優しくて温かく見守るような言葉選びでつづられている。
情景が見えてくる甘やかな物語。
投稿元:
レビューを見る
ずっと読みたくて仕方なかった本。
ようやく読めました。
横浜のミッションスクールを舞台に三千子と洋子と克子の三角関係が展開していく様子は鮮やかでもどかしく、最後には柔らかな気持ちになれます。きれい。
恥ずかしくなるほどロマンティック。
女学生って、少女っていいな、と改めて感じさせる。
投稿元:
レビューを見る
イギリス留学時、ロンドン三越内の日本語の本屋さんで立ち読みしてから、ずっと読みたかった本(ロンドンで買うと2.5倍以上の値段なんだもん…)
中畑淳一のロマンあふれ少女挿絵、当時大流行した少女小説を、現代読めるとあれば、興味津々!
でもぶっとんだのが、作者川端康成!?!?!?
ノーベル文学賞を受賞した大家が、十代の女の子向けに少女の気持ちなんて描けるの…?と思ったが、いい意味で期待を裏切られました。
女子高のスクールカーストっぽいのや、可愛らしさや妬みや自慢、微妙な思春期の友人関係までばっちり。
それにしても、疑似恋愛のように、上級生と下級生の女の子が「Sの関係」(SはSisterの略)を結び、下級生は上級生を「お姉さま」と呼び、まるで付き合っているように1人としかそんな関係を結べないという、現代からはちょっと想像しがたい少女間の関係。
でもそれも、独占欲を満たした友情の範囲にとどまるんですけどね。
良家の子女(夏休みに別荘に行っちゃう)の、ふわふわしつつでも自分の人生にしっかり意思も持っている、少女たちのお話です。
投稿元:
レビューを見る
最初は高い買い物だなと思ったけど、いい買い物でした。
こんな時代を過ごしてみたかった。少しだけ、が結局最後まで読んでしまい、百合好きの孑に勧めてみたり、とても楽しい。
どうも陳腐な感想しか出てこないのが残念だけど、今は昔の乙女たちに憧れて、短い夢をありがとう。
初めてきちんと読んだ(多分)川端作品がこれで良かった。
投稿元:
レビューを見る
たまたま立ち寄った本屋で見つけ、手に取って少し読んで一目惚れしたので買いました。
時折見られる少女小説ならではの心情描写に「撃ち抜かれた」という感想。あまり現代小説は読まないのですが、こんなに美しい描写にあふれた小説は現代にあるのでしょうか。外来語の表記が現代と異なるのも、日本と外国の文化が混じり始めた時代の雰囲気を演出していて面白かったです。
近代の女学校という浮世離れした世界に浸りたいなら、おすすめの一冊だと思いました。