紙の本
乙女は必読
2012/02/04 08:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:胡柚子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読んで、乙女と女子の違いを思い知らされました。
女子とは、単に「十代の女の子」というだけ。なんとなく学校に通い、部活や受験やらで精一杯……まさに私の青春時代です。
一方、乙女はとにかく純粋。ここまで純粋で大丈夫か。この先、生きていけるのかと心配になるほど。乙女たちの世界ははかなく美しく、ある意味、別世界だな……と感じました(トシのせいでしょうか)。
物語は、昭和初期のミッションスクールが舞台。新入生の三千子に、2人の上級生から手紙が届くところから始まります。2人の上級生との間で揺れ動く乙女心が、じつに繊細に描かれています。
いわゆる三角関係なのですが、どろどろした感じはありません。
人気ライトノベル『マリア様がみてる』ファンの方にもおすすめ。乙女の気持ちは、今も昔も変わりません。
瀬戸内寂聴さんの特別寄稿もあり、当時の少女たちが、いかにこの作品に夢中になったかもわかります。
中原淳一氏の絵は、作品にぴったりの夢のある雰囲気で、非常に魅力的でした。
「少女の友」に掲載されていた作品を、もっと読んでみたいなと思います。
紙の本
学生時代の憧れ
2012/01/23 19:05
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:文野 - この投稿者のレビュー一覧を見る
川端康成の本は大切に読んできたので、この本の発行も楽しみにしていた。思い起こせば自分自身も小学生時代には憧れの先輩がいたなぁと思ったりして、懐かしい気持ちにさせられた。安心して読め、川端氏の美しい文章に酔うことも出来るすばらしい本である。
紙の本
乙女の港
2018/08/06 00:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:海南浪士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は男ですけど少女同士の友情とも恋愛ともつかない、この作品で描かれているような関係性にめちゃくちゃあこがれるんですよね。手紙と好きな花を送って告白なんてとてもロマンチックじゃないですか。
中原淳一の挿絵も最高すぎる。
紙の本
美しい世界
2015/08/09 09:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:愛美 - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しい言葉に美しい中原淳一さんの挿絵で、最高に美しい世界でした。
克子さんのアグレッシブなストーカーっぷりも大好きだし、洋子お姉さまの愛情にもキュンときます。
三千子の言動には時々噴き出してしまいます。
癖になりそうな感じの本です。
吉屋信子さんの本も読んでみようと思います。
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舞台は昭和初期。横浜のミッションスクールに通う主人公三千子と、
上級生の洋子、克子の「三角関係」を主題とした川端康成の著書。
当時の女学生は「エス」という甘美なまでの擬似恋愛関係に、これほど
酔狂していたのか、というのが素直な感想。
自由恋愛が主流の今日では、考えられないような世界観。
好きな場面は、軽井沢で三千子と克子が水泳大会に行く場面。
日本人の少女が西洋人に勝つ場面で、克子は三千子に、
「でも、三千子さんが喜ぶの見てると、西洋人は日本人より偉くって、
そのえらい者に、日本人が勝ったから、嬉しがってるのよ。そんなの
わたしは嫌だわ。」という場面(169頁)
おそらく、全国の読者乙女が「はっ」となったことと思う。
今の時代だって、日本人の西洋への憧れはやむことがないのだから。
さらに、次のページでは、
「私たちはね、だから、世界の灯にならなければいけないと思うの。
日本の少女は、もっともっと、誇りを持っていいのよ。」(170頁)
雑誌「少女の友」を読む全ての乙女たちへの、川端康成最大の
メッセージであるように思う。
洋子は、日本の乙女。品があって、慎ましくて、どこか儚げな輪郭。
でも、これからの時代を予感させる克子の明朗で、自信に満ち溢れ、
太陽の光を燦燦に浴びたくっきりとした姿は、当時の乙女たちに、
どんなふうに受け入れられたのだろう。
でも、わたしは洋子のほうが好き。
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百合小説と言ってしまうと俗っぽいけれど、上品な味わいで良かった。
良家の子女、男子校・女子校、同性同士の愛・友情、信仰…
というキーワードから、なんとなくトーマの心臓を連想した。
私は洋子派です。←
ちなみにこれを川端康成の作品として出すことには疑問を感じる
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なんかマリみてみたい。エス小説。まあ当たり前か。
戦前の作品なのに、読みやすい。
私なら、2人のうちなら洋子がいいな。ああいうお姉さまが好みなのです。
ああ、だけど克子に引っ張られて一緒に遊んじゃうかも。
結局、三千子と同じだわ
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お嬢からの借り物
女子校独特のノリ(私は女子校じゃないけど)が、過剰過ぎると怖くなることがわかった。
ドロドロ昼ドラ展開かと思ったら最後は後味良く終わったのでよかった。
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1937年に少女の友に連載された少女小説。実際は川端康成の作品とゆーより、中里恒子との合作だったみたい。とにかく、この頃の少女たちの愛らしいこと。主人公三千子を巡る二人の上級生の淡い人間関係を描いた少女小説の傑作。中原淳一の挿絵も素敵。
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昭和初期の横浜のミッションスクールを舞台に、女の子たちがお互いを「お姉さま」とか「私のすみれ」とか呼び合ったりしています。
避暑に訪れた軽井沢で別のお姉さまと親しくなってしまったことを教会で懺悔しようとしたり、お姉さまのおうちの事業が立ち行かなくなったり、それでも健気にがんばるお姉さまを一層お美しいと思ったりしています。
びっくりした…
ただの少女向けライトノベルだろうが!
でも好き。何が好きって、その文章の美しさ。さすが文豪。もし現代にこんなに言葉遣いのきれいな女の子がいたら…
いないか。
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とても素敵な少女達の物語。女子校出身のせいかエスの関係はすんなり理解出来る。
言葉遣い、気遣い、作法など学ぶ事が多い。
少女達が清らかで美しく、時代背景を考えるとその後戦争に突入していくのかな、とふと考えてちょっとだけ切なくなった。
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まるでマリ見て…って思いましたが、もちろんこちらが源流ですね。
川端先生が書いていることにも驚きですが、中原先生の絵が可愛らしすぎます!
姉妹の契りはどうも異文化でよくわからないなりに、繊細でうつくしいものをこわさないようにこわさないように慈しむ…という感じが、こういう関係もあるんだなぁ~と新鮮でした。
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前半で、ミッションスクールのエスというものについて濃厚な世界を読んだと思ったら、後半では主人公とその周囲が大人になる全段階で、いっきに成長する様子を見られた。
少女たちが熱狂したのも納得がいく。
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川端康成によって書かれた少女小説。昭和12-13年に「少女の友」に連載されていた、当時は大ブームを巻き起こしたようだ。挿絵の中原淳一郎の不思議な魅力が花を添えている。
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言葉づかいを真似たくなる本。
女の子らしい悩み、愛しいこと、嫌いなこと、そんな掛け合いが
優しくて温かく見守るような言葉選びでつづられている。
情景が見えてくる甘やかな物語。