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安部公房の短編集ではこれが一番好き。当時の社会風刺や思想などがもちろんあるのだろうけど、文学作品として現在でも色褪せることはない。安部の発想に驚くばかり。変形譚がいくつかあるけど、<綿>のように疲れてしまった老婆が糸車を回しているうちに老婆自身が指先から<綿>になって糸車へ巻き込まれる『詩人の生涯』という作品が良い。彼女の息子に訪れる切なくそして美しい物語にしんみりとさせられます。
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コモン君はデンドロカカリヤに
なってしまったんだ。
デンドロカカリヤって植物なんだけど
つまりつまりね、そういうことじゃないんだよ。
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秀逸な短編集。特に表題作でもある「デンドロカカリア」の文章が好きで、どきどきが止まらなかった。立派な安倍中毒だ。
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世の中が水中の世界に変わったり不思議な植物に変形する話など初期短編集。
ただのSFで片付くものではなく当時の社会背景を風刺してるようなのだが、タイトルの2作品は理解に苦しんだ。
変形する話ばかり。公房の作品自体異形のものに変形する話が多い。(だからカフカと並べられるのかな)
ギリシャ神話の起用も多かった。
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この人の書く話はとにかく精神力が必要なので、短編集はやはり読みやすいですね。"デンドロカカリヤ"がかなり私好みな話でした。おもしろすぎます。どうしてこういう発想が出てくるんだろう。安部さんの本を読むといつもそう思います。
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短編集。中でも「闖入者」が秀逸。「民主主義」という不可侵的な概念に対する強烈なアンチテーゼとして描かれており、戦後間もなくの作品ながら、現代社会の方がより感じさせられる部分があるのではないかとも思える。
他にも、神話を元にした「ノアの方舟」、父親が魚になり、都市が水に沈む「水中都市」などなど。「変形」をテーマに、11の短編集はどの作品も面白く読めるだろう。
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公房短編集。
特に「闖入者」が面白かった!!
ある日主人公の部屋に突然やってきた知らない家族。
公房の不条理ワールド、炸裂です。
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一般的な小説を、だるま崩しに例えるなら、
最後にストンとだるまの顔が落ちるものですが、
安部公房のは、最後だるまの顔が爆散して何も残らない感じがあります。
気がつくと、意味を考えようとしている自分しか残らず
物語はとっとと終わってる。
文章はとても読みやすいので、どんどん引き込まれます。
予備知識があったほうが面白そうですが、なくても楽しめました。
他の作品も読みたくなりました。
△デンドロカカリヤ
○手
○水中都市
◎飢えた皮膚
△詩人の生涯
○空中楼閣
◎闖入者 一番面白かった。
○ノアの方舟
○プルートーのわな
○鉄砲屋
△イソップの裁判
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個人的にはかなり好きだが人に勧められるかというと微妙。
安部公房氏のもう一つの短編(中編)集「壁」と比較すると
ピリリと皮肉の効いた作品が多いと思う。
安部公房氏の短編はどの作品もとても似たような雰囲気を持っているにもかかわらず、
飽きる事なく読む事ができる。
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初期の短編集。全篇にそこはかとない貧しさが漂っていて、政治色濃厚。登場人物の「変身」をテーマにした作品が多いのが気になった。
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個人的には闖入者が一番面白かった。
どの短編も、背筋がぞっとする瞬間があって、
寓話だけど、2009年現在でもそんな効果を持つ短編ってなかなかない。
さすが安部公房って感じでした。
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初期の短編集です。
私の好みは、言うまでもなく「飢えた皮膚」です。
初めて読んだときに、衝撃を受け、もう一度読み返してみると、文章の節々にやたら「色」が目につくのです。
カラフルと言うにはちょっと違うような・・・全体的にどんよりくすんだ色を感じました。
もっとも不愉快だったのは「闖入者」。
あまりに不愉快だったので、そこで読むのを辞めようかと思いましたw
どう考えても理不尽だし、筋が通っていないのに、「民主主義」と「多数決の原理」という武器を持ち出して、正論のように語る。するとそれが自然と正論のように思われてきてしまうのです。
これとはちょっと違うかもしれませんが、小学生の時、係決めで「新聞係」がやりたかったのに、一番最初に学級委員に推薦され、私の意見も無視して勝手に多数決で決められてしまったことを思い出しましたw
表題作である「水中都市」は突拍子もない物語なのだけれど単なるヘンテコ物語ではないところが安部公房。
最初はなんという気持ち悪い魚だろう・・・と思っていたのに、逮捕される時にはなんだか寂しくなってしまいました。
それにしてもこの表紙の絵は素敵ですねえ。さすが真知さんです。
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不条理の代名詞安部公房の初期短編集。
魚になったり植物になったりの短めの短編が11編ですのでシュールでも比較的読みやすい方だと思います。
深読みしなくても人間存在に不安感とか感じてなくても「なんかすごいことになっとるな」と思いながら読めると思います。手に入りやすいし。
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初期の短編集
夢はいつも不条理だけど、現実もいつだって不条理だ
『宙に浮んでも、少しも不自然でないような気がする。』
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だいぶ前に読んだ作品ですが
内容はある日突然町が海に沈んで住民は皆魚ぽい魚類に変わっているというお話.みんな魚に変わっていても会話は出来て自分も町を泳ぎながら結構自由気ままに生活できて,こういう世界設定だけ見てみると結構ファンタジーな話なのかなと思いますが,そこは安部公房.暗さが行間からにじみ出てきて気分が滅入ります.
おそらく,多分ですけど,社会の孤独を暗喩しているからだと.資本主義化が進む近現代で個々の存在理由がとわれ誰もが孤独に埋没する.他者は誰もが魚の用に共感を持つことの出来ない世界が来ることを予感したのではないでしょうか.
ともかく題名に反して読後断然暗かったイメージで,さすが安部公房と思わせられる作品だった.