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なぜタイトルの本屋に「」がつけられているのか。
それは本書を読み通せば、わかるようになっている。
出版不況が叫ばれて久しいが、
そのなかのヒントとなるものが書かれているような気がする。
それにしても、著者の本屋に対する姿勢はすごい。徹底的だ。
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本屋は死なないというタイトルだが、私にとっては、まるで末期ガン患者の訪問記のようだった。「本屋のことは本屋にならないとわからない」と、この本を読みながら、私も思っていた。
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本屋とは本好きには特別な場所である。その場所が徐々に失われつつある。その現状をレポートしているのが本書。地方の小売店は苦戦を強いられており、グループで展開さらに新古書、ゲームなどを扱わなければやっていられなくなっている状況で、孤軍奮闘する様々な書店があると知りエールを送りつつ、決して楽観的には見ていない著者。だが希望はあるとする姿勢に、敬意を表したい。
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書店員の中に「本屋」を発見した著者の視点が素晴らしい。
本文中では、書籍の中に「本」を発見しようかという考察もあり、新刊発行点数が多過ぎると言われるいまの出版業界に投げかけるメッセージの重要性は計り知れない。
ここに紹介されている書店以外でもこの「本」を面陳にしているところが多いことを、金太郎飴的な新刊書店ばかり作っている業界人は知るべきであろう。
事業の維持、安定した経営ということで考えれば、ここに描かれる書店が本来あるべき姿というわけでは決してない。が、僕はそこにいる「本屋」に憧れを禁じえない。
「本屋」は死んではいけない。祈りに近いそうした想いに応えてくれるリアルが、本書には詰まっている。
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骨のある全国の書店や書店員を紹介する。札幌のくすみ書房も登場。大手流通網に左右され管理されるチェーン店ではなく、地域に根ざした本屋のポリシーをこれからどうやって守っていくのか、それを考えるためのヒントが様々ある。
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職業柄ということでもなく、本もしくは本屋さんについて書かれた本は好きである。最近は電子書籍について書かれた書物も数多く、それらを読むことも多いが、本書はそんな時代背景の中で、特に紙の本、実体としての本を扱う、書店員の方々をクローズアップしたルポである。しかも、敢えて全体像を俯瞰したり、一般化したりして、より明確な結論に向かわせることを、極力排そうとした態度が一貫している。その“散漫さ”が、どこかの評ではマイナスの言われ方もされていたが、僕自身はとても誠実で好ましいルポだと思った。取材先と取材先の間に現れる国道沿いのチェーン店の様子なども含めて「日本って書店多いよな」という実感と共にリアルな現状が飛び込んでくる。――この中に出てくるいくつかの書店には行ってみたいと心から思った。そしてこの中に出てくるいくつかの本を読んでみたいとも思った。この本を読んでも出版界や書物の未来像は分からない。でも、「本」に対する愛おしさを再確認することはできるはず。僕はそうだった。
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原田真弓 ひぐらし文庫
井原万見子 イハラハートショップ
道成寺 妻宝極楽 わが妻こそ日本一なりと大切にすることが、一家の繁栄、極楽浄土への道という考え
盛岡 さわやか書店 伊藤清彦
図書館の仕入れ 図書館流通センター TRCが用意するセットに頼る
南相馬の図書館
鳥取 奈良敏行 定有堂書店
ちくさ正文堂 古田一晴
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本を売ることに大なり小なり、いろいろな苦労があることを感じさせれつつも、個性的な書店員、魅力的な書店の存在に驚かされた一冊。
自分にとって本屋は目的の本を買うところでしかなかったから、棚の在り方やPOPの作りとか意識したことなかったけど、今度はそういったことを気にして本屋に行ってみよう。
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悩ましい本。難しい本。
巡り巡って、最後はガワの話?装丁が素敵、以上のこと、紙としての、物質としての本、って意識は原田さん以外の書店員さんはあったのかなぁ。
著者の中で答えが出てないなかで、本屋は死なないって結論ありきなんだけど、まだモヤモヤしてる頭のなかをとりあえず文書にしてみました、って感じてしまう。何か提言とかあるわけでもなし。
結局僕は本屋じゃないからなぁ。本屋に何を期待するかとか、改めて本屋との関係を考えるきっかけにはなりました。
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以前から気になっていた一冊でしたが、今年から読書環境を電子書籍リーダーに切り替えたので、読める機会はないだろうと思っていました。なにしろ、電子書籍は印刷の本とは対立構造にあり、印刷の本しか扱わない書店にとっては電子書籍は商売敵でしかないですからね。それが電子化されたということ自体に、まず驚きました。
ここでいう「本屋」は、一般の書店ではなく、そこで働く書店員、それも本の並べ方や棚のつくり方にこだわりを持っている書店員をさしています。本書を読むまで、書店の品揃えはともかく、並べ方まで意識したことはなかったので、新鮮な気持ちで読むことができました。
著者は取材した店員の方々以上に、書店のあり方にこだわっているのかもしれません。棚のつくり方にこだわりがなく、ただ取次から送られてきた書籍を並べるだけの書店は嫌っているし、そういう売り方しか認めない大型チェーンの書店に対する嫌悪感を隠そうともしていません。
とはいえ、とは思います。著者がこだわっているほど、読者や一般の消費者は棚の中の本の配置に気を留めているとは言えないし、書店員もそれを理解していて、わかる人には書店員の意図やこだわりがわかるし、わからない人にも目的とする本や関連書籍を見つけやすい配置を目指す、そういう形にしているのであり、こだわりを押しつけているわけではないでしょう。
本屋も商売でやっている以上、経営を継続させることもミッションのひとつ。来店者の利便性を優先させて棚を作っているでしょうし、そこは著者のこだわりとは相容れない部分となっているかもしれません。
その辺りの対比というか、著者が自分の理想と現実との間で苦悩している姿も見て取れます。自分の理想を押し通そうとする著者と、現実の商売の立場からそれは不可能だとする書店側のギャップは、いつまでも埋まらないものではないかと思います。
著者や書店員のこだわりとは関係なく、書店はいまや重大な岐路に立たされています。新刊書を多数発行し、書店は返本前提でそれらを受け入れるというビジネスモデルが崩壊しつつあり、売れない書籍が多数出版される状況が出版社や書店の経営を苦しめています。また、ネット通販や電子書籍の販売も本格的になり、書店で本を買わない人も増えてきました(私もその中に入っています)。
そういった中で、書店や出版社がどのような生き残り策、あるいはビジネスモデルの変換を行えるかは、今後の出版のあり方を含めて注目すべき部分ですが、まだその見通しは立っていませんし、本書の射程とは別の部分の問題提起であるようにも思います。
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久しぶりで硬派のノンフィクション、それも書店についての本を読む。モノとしての本に対して自分が持っている価値観(こだわり)が、自分だけのものではない、ほかの人とも共有できるものであったことを認識することができ、正直嬉しかった。従って、モノとしての本を扱うリアル書店も当分はなくならないであろう。定年を迎えたら、小さい本屋を開きたくなった。
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「本屋は死なない」という書名を見たとき、また電子書籍に反発し、ただ本の素晴らしさや思い出などを書いてる本だと思った。
しかし実際に読んでみると、上記のことなどは全く書かれてなく、書店員が本屋を維持するために、様々な努力している様子が書き記してあった。
都市圏を中心に大型書店が増えている今だからこそ、中小書店の良さが際立つのではないだろうか。
読み終わったあと、街の書店に足を運ぼうという気持ちになった。
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序章から、あとがきへ飛び、終章へ戻り、そして第1章と、順路無視で一通り(ひぐらし文庫の原田真弓さん関連)を読み、第2章の途中まで行ったところで図書館へ返却。
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サッカーが好きだからサッカー選手になる。
野球が好きだから野球選手になる。
本が好きだから本屋になる。
なろうと思えば、なれるのだと思う。
様々なレベルはあるだろうけれど。
ただ、それを続けていくこと、それで飯を食っていくことは、えらく大変なことだと思う。
この本のことは早くから知っていた。 けど、手を出さずにいた。
きっと、出版業界の未来を憂いながらも、がんばっている書店を取り上げるビジネスストーリーなのだろうと思っていた。
違った。
書店のことを書いているが、本をだれかに届けようと、こだわり続けている人びと「本屋」を描いているルポルタージュだ。
本屋の本で、 出版業界の本なのだけれど、人なのだ。著者が書きたかったのは。
出版業界紙の元記者、元編集長という肩書きを持つ著者は、取材というよりも、「本屋」なる人たちと同じ場所同じ時間を持とうとする。
外から観察するのではなく、いっしょに中に入ってしまう。沢木耕太郎型ノンフィクション。
鳥取にある書店を訪ねたのち、夜、ひとり車を走らせながら、考えを巡らす姿は、ロードムービーのよう。
この作品を映画化してもおもしろい。
和歌山の過疎の村で本屋を営むイハラ・ハートショップの井原万見子。
大型書店を辞め、商店街に5坪の店を開業した「ひぐらし文庫」の原田真弓。
「カリスマ書店人」とも呼ばれた元さわや書店の伊藤清彦。
鳥取で太極拳を教えながら、正統でかつ個性的な店・定有堂書店を営む奈良敏行。
だれもが絵になる。
それはきっと、「本屋」のかっこよさなのだ。
自分も「本屋」であろうとするものが読めば、 少なからず考える、想うことになる、心の奥に届く本。
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へーえ、とうなること多数、面白かった。近所の本屋は閉店してしまった。僅かに本を買い続けてはいたけれど、私はその書店の棚を育てる客ではなかったな、きっと。個性的な棚ではなかったと思うけれど、注意力不足で気付かなかったのか、独自のカラーを打ち出す棚そのものがなかったのか、どちらだろう。
たまたまこれの前に読み終わった本の台詞が、私の中でこの本とリンクした。「一億稼いだとしたら、『あぁこれだけ損ができる』と思うのが本屋さんなの」と出版社の社員。損するとわかっていても出さなければいけない本のために、違う場所で余裕を作る(ちなみにその本は朝霧 / 北村薫 , 2004.4 -- 創元推理文庫)。独特な存在だなぁ、本って。
今度本屋に行ったら、そういう目で見てみよう。