紙の本
結構好きな文体
2015/03/26 16:43
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
結構好きな文体かも。意図して相手に弱みを作ることができる彼女は組織に依頼された先で裏社会の巨大な「化け物」の存在を知る....姉妹編でより評価が高い『掏摸』の方も読みたい。
紙の本
まぁ、おもしろい
2014/09/26 12:46
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投稿者:にゃんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
スリの兄弟作品。スリに続きもやもやした感じの終わり方。
ハニートラップとはこんな感じかなっておもいました。木崎の野望がわかる続編がでればかいます
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組織によって選ばれた、利用価値のある社会的要人の弱みを人工的に作ること、それが鹿島ユリカの「仕事」だった。ある日、彼女は駅の人ごみの中で見知らぬ男から突然、忠告を受ける。「あの男に関わらない方がいい…何というか、化物なんだ」男の名は、木崎―某施設の施設長を名乗る男。不意に鳴り響く部屋の電話、受話器の中から静かに語りかける男の声。「世界はこれから面白くなる。…あなたを派遣した組織の人間に、そう伝えておくがいい…そのホテルから、無事に出られればの話だが」圧倒的に美しく輝く強力な「黒」がユリカを照らした時、彼女の逃亡劇は始まった(「BOOK」データベースより)
『掏模』の兄妹作である『王国』。
装丁もお揃いで、対になっているのかな?
表紙に描かれた二人を、向かい合わせるか、背かせるかはお好みで。
今回も、キーとなるのは、木崎。
絶対悪の象徴のような男。
彼に出会ってしまった美人局のユリカ。
古代ギリシャの娼婦・フリュネに憧れる彼女は、全てを失い、卑小な命をつなぐだけの生活を送っていた。
そんな彼女が、木崎に出会い、抗えない理不尽さに対抗する過程がうまく描かれてたように思う。
木崎のぶれのない、一種の哲学のような思考も後に残る。
「でも、何かを達成したとしても、あなたは虚しさを感じるだけでしょう?」
「その時は、虚しさを楽しめばいいだろう。・・・それがこの世界の答えだ」
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「掏摸」の兄妹編。
矢田の依頼で犯罪に手を染めるユリカは、化物・木崎と出会い・・・
ユリカがどうやって切り抜けていくのか、ドキドキ。
そして、木崎の悪には圧倒された。
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絶対的な力を持つ「悪」に対して「美」というあまりにもはかない力でもって対決を挑む一人の女。 誰も信用できない状況の中で「生」への執着のみで戦い続けるユリカに女の強さを見た気がする。 不条理な運命を変えることができるのは、自らの力だけなのだ、と改めて思った。
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…なんていえばいいんだろう。どう読めばいいんだろう…。
圧倒的な力と力の狭間で揺れるユリカ。
常に閉塞感がつきまとうが、どんどん先へと読まされる。
途中途中で挟まれる「月」。冴え冴えとした印象が残る。
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ユリカは、女流作家の書く女性に似ているのだけれど、嫌いではなかった。こんな職業ももしかするとあるのかもしれない。「掏摸」はまだ読んでいないのだけれど、冒頭のナイフの彼が、主人公なのかな。わくわく。
矢田好き。
長谷川くんも好き。矢田よりタチ悪くて、木崎よりはマシ。
「掏摸」を読んだらまた何か付け足します。
しかし「王国」って題名は上手いな。
ところで矢田はリヴァイ隊長をもう少しかっこよくなくした感じのイメージでした。進撃です。巨人です。
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『掏摸』の姉妹編となる作品。怪物木崎が新しい顔を見せます。「掏摸」の主人公がちらりと登場します。もっと出てきて欲しかったな。きっといつかまた登場してくることでしょう。
施設で育った美しい女性ユリカは、政治家などの弱点を作る仕事をしています。娼婦のように美しさを武器にしていますが、相手を眠らせている間に写真をとるのが仕事です。依頼してくる矢田という男は正体を明かしません。
ある日同じ施設で育ったという長谷川という男が近づいてきます。彼が本当に長谷川なのかわからないまま、新しい施設長の近藤という男を紹介されます。
木崎と矢田の間で絶体絶命の窮地に陥るユリカですが、最後は逃げ切れることができたようです。派手なアクションもないので少し物足りない気はしますが、中村氏の文体は読んでいて心地よいのです。なんていうか、完成されていない未熟さがなんともかわいく感じられるのです。
裏社会についてはベールに包まれたままです。実際こうした仕事はあるのでしょうねえ。だから都合よく政治家が交代したり不祥事が発覚したりするのでしょう。
インパクトとしては「掏摸」ほどにはないので星は4つかな。これからも新作が楽しみな作家さんです。
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裏社会のスキームが垣間見える作品。
善悪は表裏一体で、最悪の木崎は最善にもなりうるんだと思う。
スリのような緊迫感は薄まってたかな。でも、この作者の作品はスキ。
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わたしは好きだった。
主人公の女性が、読んでいて気持ち良く感じるくらい格好良い。
頭が切れて勇気もあるけど、下手に正義感に溢れるわけでもなく楽天的で偽善的でもなく、あくまで自分の中のルールや正義にしたがって生きている感じが彼女の魅力。
ストーリーの雰囲気としては裏社会を扱っていることもあり全体的に暗いけど、無理矢理ハッピーエンドで終わらせていないのが逆にいい。
むしろこんな状態に主人公が陥っている中で完全なハッピーエンドになってしまっていたら、あまりにもリアリティにかけてしまう。
一見自分とは全くかけ離れた世界観であるにも関わらず、リアリティが追求されており、暗いけど途中で無理矢理ストーリーを不自然に捻じ曲げることもなく、激しいフィクション的描写や作者の押しつけが出過ぎていない。一つの物語として、楽しく読むことができた。
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『掏摸』続編。
ユリカは娼婦になりすまし、社会的要人の弱みをつくるという仕事をしている。次のターゲットは、依頼主:矢田と敵対する木崎という男だった。絶対悪として裏社会でも名前を轟かす木崎をユリカは欺くことはできるのか。
『掏摸』の方がスリル満点で面白かった。
でも十分この本もよかったです。
生きることに執着しないユリカが
窮地に立たされ、それでも持てる知力を駆使して生きようとする。
ドキドキしました。
木崎はやはり印象的な存在です。
何を考えているのか全く理解ができないというのではなく、
自分たちもよく知っている「同情・共感」という感情の動きを利用して
必要以上に悪を楽しむという、その姿勢。
猟奇的な怖さにしないところが、
中村さんならではだと思うのです。
だから、偽物をちょうだい。
その時は、虚しさを楽しめばいいだろう。……それがこの世界の答えだ
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ネーミングに魅かれて読み終えたけれど、このアイロニーは、今の私にはしんどい。
裏社会の中に屹然と生き抜くヒロインはそれなりに魅力的ではあるけれど、物語全体に嫌な後味が残った。
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裏社会の出来事。
女の不条理さ、悲しさが随所に描かれている。
人間の善と悪、哲学的なうんちくに納得させられた。
月の存在、描写が引っかかった。
どういうことだろうか。
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以前『掏摸』を読んだ時感じた「私の知らない世界」の凄さ、怖さがひしひしと感じられまいた。最後が良く分からない。
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対になっているという「掏摸」ではスリの行為にドキドキした。
こちらは主人公ユリカの仕事が危うくてハラハラする。
決して無くならない悪のシステムを暗示しつつ、木崎をはじめ狂気と紙一重の圧倒的な悪の論理が身震いするほど怖い。
恐ろしい考え方にぞっとする。
どれだけ思いを巡らしたかというほどの人の闇を書いているというのに
この作者にかかると文章がきれいで感心してしまう。
ユリカは親を知らず施設で育ったのだけれど、自分を守ってくれる存在や環境なしに生きていく人間がここに書かれている。
いつか続きを読んでみたいと思った。
中村文則、最近の3作だけ読んだ。すごい作家さんだと思う。
「土のなかの子供」は虐待された子供が出てくるときいている。
読もうかどうか迷う。