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坂の上の雲
良き指揮官とは、自分の決断を神の如く信じる。さもなくば人は動かじ。過去の戦死者のためによく考える。
どんな教訓を得たか?
無識の指揮官は、殺人犯なり
いかに、正しい判断を下せるようになるのか、皆と一緒に考えていく授業
喧嘩する相手をまちがえるな
戦は平和のためにせよ
それでも参謀か
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おすすめ度:95点
「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている━━。」
日本という国は、明治という時代に、世界や近代というものに向きあった。
チーフ・プロデューサー藤沢浩一氏によれば、全三部を通じたテーマは、人間を通した「戦争」であったという。
戦場シーンが中心の第3部では、何よりも戦争をリアルに撮ることが重要であり、明治になり、日本人が初めて国民となって、戦場における死をも強制されるようになったということをきちんと描くことが必要であった、という。
二〇三高地のシーンでは、俯瞰した山肌をアリのように登っていく兵隊たちが、上から機関銃で撃たれて、どんどん人が死んでいく。あまりにも悲惨すぎて、絶句、目をおおいたくなる場面だ。
演出&脚本加藤拓氏は、ひたすら行軍し、ひたすら突撃する、名も無き兵士たちのそんな一人ひとりが戦争を担っており、撃たれれば血が出る人間であるということをしっかり描きたかったという。
本ドラマと原作により、そういった悲惨を乗り越えて今の日本があるということを、その痛みとともに知らされる。
日本という小さな国が近代とぶちあたってどれだけ血が流れたのか。
戦争の悲惨さは日本だけではなく、ロシアや戦場になった国も含めて変わることはない。そうしたあまりにもリアリティーな悲惨な映像に圧倒されたドラマであった。
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2009年から3年に分けて放映されたドラマ「坂の上の雲」。本書は第三部のガイドである。オール日露戦争という内容であり、あらためて本作品を映像化できたことの凄さを感じた。203高地奪取や日本海海戦など陸海軍の死闘は、軍事マニアでない私にとっても充分見ごたえのあるものだった。ドラマを何度も観ながら本書を読んでいると、もう一度司馬遼太郎氏の原作を読み返したくなった。2年前に読了した際はあまりの長さと戦闘記のマニアックさに苦戦したが、ドラマと本書によりしっかりとイメージが作られたので読みやすくなっただろう。
ただ、本書に対しての不満が2点。
1つ目は、地図が少ないこと。例えば203高地の位置関係を知りたいが、いっさい掲載されていない。なぜ児玉源太郎率いる日本陸軍があそこまで203高地奪取に拘り続けたか、ドラマでは多少説明があるもののいまいち弱い。こうしたものを本書でカバーして欲しいのだが。おそらく、坂の上の雲関連の書籍は他でもたくさん出ているだろうから、そちらを購入して読めばいいということなのだろうが。
2つ目は、第一部の書評でも書いたが、ドラマにほんの僅かしか出演しない登場人物を、さも重要人物のように取り扱うのは卑怯である。赤井秀和が演じる鈴木貫太郎など、秋山真之との絡みで一瞬しか出演しないのに、わざわざ1ページの半分を費やしている。小沢征悦が演じる夏目漱石も、正岡子規逝去後に仲間で集まる場面で少しの台詞を喋るだけなのに同様である。だいたい、原作にも夏目漱石は名前しか登場しない。まあ映像化ということになると、視聴率を始め色んなしがらみが出てくるため仕方のないことなのだろうが、それこそ司馬遼太郎本人が本作品の映像化を最後まで渋っていた一因なのではないだろうか。まあ今さらNHKに対して文句を言っても仕方がないし、映像化しえたこと自体が快挙なのではあるが。