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「最後の証人」にも出てきた佐方の検事時代の物語。
良い話だし、ウルっとくる部分もあるけれど、人間的にデキすぎてる人ってなんか苦手かも。
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【県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める(『樹を見る』)。出所したばかりの累犯者が起した窃盗事件の、裏に隠された真実を抉る(『罪を押す』)。同級生を襲った現役警官による卑劣な恐喝事件に、真っ向から対峙する(『恩を返す』)。東京地検特捜部を舞台に“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく(『拳を握る』)。横領弁護士の汚名をきてまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く(『本懐を知る』)。骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が、見事に融合した極上の連作集。 】
前作『最後の証人』ではやめ検弁護士・佐方の活躍が描かれていた。
本作は、弁護士に転向する前の検事・佐方の絡んだ案件が短編となっている。
これまでの著者作品の中では一番好きな一冊となった気がする。
法廷モノのレビューを見ていると、「著者の勉強不足」だとか、「ありえない展開」だとかの苦言をよく目にするが、
わたしの場合、そもそもそれらに詳しいわけではないので、
おのずとストーリー展開や、心理描写、キャラクターについての評価が、作品の評価になっている。
今回の短編どれをとってもなかなか面白く読めた。
佐方の検事らしからぬ風貌と、捜査に対して真摯な姿、
彼がこのような検事となった根底となったであろう、父親の行動を描いた巻末の「本懐を知る」などは感動した。
まだまだ検事としての佐方を見てみたい気がするが、
すでに弁護士に転向してしまってからの前作が発行されている以上、シリーズとしては弁護士視点なのかな・・・と。
作品ごとに成長がうかがえる著者に今後も注目したい。
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「魅せる」本だなあと思った。
それぞれの視点で描かれる描写がとてもわかりやすく、
特に「拳を握る」の章等は加東に感情移入して読んでしまった。
すっきりするようで、じわじわ聞いてくる読後感もすきだ。
佐方さんの出てくる続編?(そもそもこれが続編なのか?)
シリーズを是非読みたいと思った。
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柚月裕子さんの3作目。読みだしてから、「最後の証人」のヤメ検佐方貞人の検事時代の物語だということに気づいた。
佐方の初登場のシーンが非常に印象的。「ぼさぼさの髪によれよれのスーツ」しかし若いのに目に落ち着きがある、と紹介されている。
こういう、やや浮世離れしたキャラクターが私は大好きなのである。
佐方は、事件を見るとき、表面的なことやデータや条件だけでは見ない。なぜなら事件を起こすのは人間だから。人間だからということは、そこに千差万別の動機が存在するということなのだ。
作者が描きたいと語る「動機」こそが、私の読みたい物語だ、という思いが、読んでいる間じゅう胸に漂う。
骨太の人間ドラマ、という帯の言葉に間違いはない。骨太で極上の人間ドラマだと思う。次回作が楽しみである。
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真実を突き止めるためにはただ情報を集めるのではなく、人の気持ちに寄り添わねばならない…とわかっていてもなかなかできることではない。そして、人の気持ちに寄り添うことの大切さはどんな仕事でも変わりないのではないかと思った。
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年末にいい本に当たりました~。キャラ良し、ストーリー良しの大満足本です。「最後の証人」も良かったので期待して読みましたが期待どおり!!満足です。
横山秀夫さん好きな人は楽しめるのでは・・?もっともっと評価されていいと思うけど・・・。出版社の力かなぁ・・?
次作も期待!
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真実を追求するために緻密な取り調べを行う検事佐方貞人。それは時には権力にねじこまれ長い物に巻かれない姿勢を貫き特捜からはずされ出世の道を絶たれる。一途な生き方に感銘を受ける。
本懐を知るではある会社の顧問弁護士である佐方検事の父親が横領で逮捕され実刑判決を受けるがそれには社長との約束を果たした隠された真実が・・
短編5編。
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前作『最後の証人』の主人公・佐方弁護士の
検事時代のエピソードを綴った短篇集です。
切り口としては、キムタクの『HERO』かな。
もっと泥臭いけど、それがいい感じ。
お話そのものは、読み始めてすぐに先が読める程度で
ひねりは無いけど、前作同様、文章は丁寧で読みやすい。
いずれストーリー性の高い小説が書ければ、
直木賞にも手が届きそうな作家さんじゃないかな~。
欲張りを言えばきりがないけど…、
欲張りを言いたくなるような作家さんですね。
欲張りを込めて、
満点ではないですが、評価は高めです。
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敏腕検事の活躍を描くミステリ連作集。事件ではなく人を見る。検事はある程度「固まった」事件を扱う印象があるので、先入観にとらわれているとなかなかできることじゃないのかもしれません。だからこそ、「人間」に関する真相が解き明かされるのには感動させられました。
お気に入りは「本懐を知る」。彼の父の関わったとある事件の真相。彼の父もつらかったでしょうが、真相を知っていて隠し通した人たちもつらかったろうなあ。だけどとんでもなくかっこいい物語です。
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「最後の証人」の元検事の弁護士佐方の、検事時代の連作短編集。「HERO」みたいな人物設定だが、なかなか良くできていると思う。
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短編集。
前2作が面白かっただけに期待が大きすぎたのか、、
最初は、、あれ?って感じでした。。
が、、最後の短編で、、やっぱりこの作家好き!って思わせてくれました。
佐方検事、、シリーズものになったりしそうな感じもします(笑)
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途中ところどころ、説明が冗長でう~んと思った。基本的には、前作「最後の証人」のおまけ的な感が強かったかな。とは言え読後感は良く、印象に残りそう。人間という存在の温かみも感じられた。
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佐方貞人弁護士が地方検事だったころのストーリー。
「樹を見る」「罪を押す」「恩を返す」「拳を握る」「本懐を知る」の5編からなる連作短編集。
ミステリ風の味付けもあるがその根幹は人間ドラマで、ちょっと予定調和かな~という側面もあるが、安っぽくない深みのある作品にまとまっている。
思いがけずこの作品で泣いてしまったのだが、そんなのは私だけだろうか。
最近続けて司法関連の本を読んだこともあり、その司法の限界というか、人が人を裁くという現実についていろいろ考えるところがあって、余計に心に響いたかもしれない。
星5つつけようかな、どうしようかな、というところの4つ。
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シリーズ2作目。
正直、1作目の印象があまりないのだけど、読みやすく、オススメ。主人公・佐方をあくまでも第三者目線でからしか描いてないせいか、彼の人となりが気になり、次作を期待してしまう。
うまく説明出来ないのだけれど、タイトルから受けるほどの難しさもなく、独特の雰囲気のストーリー展開で惹きつけられる。
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◆樹を見る・・・18件もの連続放火事件が管轄内で起こりながらいまだ犯人が捕まらないということで、米崎東警察署所長である南場は上やライバルから吊し上げにあっていた。そんな中、ようやく容疑者・新井が逮捕される。しかし17件に関しては素直に犯行を認めたが、死者が出た13件目だけは頑なに自分の犯行とは認めようとしない。南場をはじめ、部下達も皆、新井の犯行だと決めつけて取り調べる中、担当検事となった佐方だけは異論をとなえた。
◆罪を押す・・・佐方の上司である筒井が3年前に窃盗で起訴し、実刑となったハエタツこと小野辰二郎が再び送致されてきた。出所したその日に腕時計を盗んだところを捕まったということで、刑務所に戻りたいがための犯行かと思われたが、佐方は疑問を抱く。
◆恩を返す・・・高校時代の同窓生・天根弥生からの突然の電話。婚約者には絶対に知られたくない過去をネタに現役警察官から強請りにあっているので助けてほしいという。
◆拳を握る・・・大物議員の贈収賄容疑をなんとか起訴したい東京地検特捜部は各地検に応援要請を出した。それぞれの地検が太鼓判を押す検事と事務官が集められた中で、佐方、そして病気の増田(佐方の事務官)に代わって山口地検の加東がさらに選ばれ、重要人物の事情聴取を行うことになる。事務官としての能力を認められたと思って意気込んだ加東であったが、上が求めているのは真実を求めることではなく、すでにできあがっている検面調書にサインをさせ、罪を認めさせることと知り、加東は愕然とする。
◆本懐を知る・・・ニュース週刊誌「ピックアップ」の専属ライター・兼先守が今度のネタに選んだのは過去の弁護士の業務上横領事件。実刑を受けたということがまず異例であり目を引いたのだが、さらに調べるとその弁護士・佐方陽世は、なにひとつ弁明することもなく実刑判決を受け入れたという。一体なぜなのか?
以上5編の短編集。「最後の証人」ではすでに検事を辞め、弁護士となっていた佐方貞人だったが、この5編ではまだ若手検事として働き、事件を処理していく。
どれも短編とは思えぬ程、濃い内容で楽しめた。「最後の証人」がおもしろかったのは覚えているけれど、佐方に関してはどういういきさつで弁護士になったなどは忘れてしまっている。また読み直そうかな・・・。
◆恩を返す・・・一番好みだったのはこの話かな~。事件(と呼べるかどうかも疑問)は単純だったけれど、佐方の人物像というか、内面が垣間見えた気がして。淡い初恋(だよね?)物語も良し。結婚式への招待の断り方が、佐方らしい。
◆本懐を知る・・・佐方の父親が逮捕された理由、その真相と一部始終がわかる話。父親の意志をしっかり受け継いでいる佐方。父親はさらに、真面目でカタブツすぎるかなぁとも思うけれど。そこまで他人のために動けるのがすごい。