紙の本
苦しさをもう少し引っ張ってほしかった。
2016/07/31 08:49
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投稿者:tix - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章は攻め視点で10代のお話。
高校生なんて、もっと能天気に恋愛するのかと思ってたら
いきなりしょっぱすぎて、涙ぐみました。
互いに好きなだけなのに、若さゆえに恋に溺れてしまい、
自分と将来を見失っていく攻めを間近で見ている受けの辛さ。
攻めを正気に返すために、別れを選択するというありがちな展開だけど、
読んでると、西江さんの筆力のおかげか、すごく痛い…。
攻め視点なのに、受けの虚勢、いじらしさが胸に迫ります。
180cmオーバーの受けが可愛すぎました!
自分の中でめちゃくちゃ盛り上がって、
この章だけなら★5です。
続く第2章は受け視点で十年後(20代)のお話。
第1章と第2章はどちらも約100Pの分量だったので、
この章でも、当然『もう一揉め』あると思っていたのですが、
無かった・・・。
再会こそ焦らされましたが、その後はほぼノープロブレム。
二人とも相手に再び会うことを支えに十年間頑張ってきて、
めちゃくちゃ成長してました。(特に攻め!)
相手のことが大好きで、中身がちゃんと大人なら、そりゃ問題起きないわ。。
何か起こると思って最後までハラハラしながら読んだ私が馬鹿でしたw
この章は、もう甘々後日談扱いだったんですね。
そして第3章は再び攻め視点で、約30Pの甘々後日談part2という構成。
1章の苦しい感じが、2章に引き継がれることなくぷっつり終わってしまっていたのが、少々残念でした。
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まさに大河BLですよ。このまま、40代も50代もその先もずっとラブラブしてほしいし、続き読みたいです。
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【観点別評価】構成☆2、文体☆3、作品としての質☆3、個人的嗜好☆4
【総合評価】小さな瑕疵が目立つ。1部と2・3部のバランスが悪い。「上手い」小説ではないが、個人的には好き。よって☆3。
3部構成。しかし分量的に2部+αと捉えた方がよさそう。
1部は高校時代で攻視点。同級生だった攻(表紙左)と受(表紙右)が付き合い別れるまで。誘い受に押し切られて、のはずが、次第に攻の方が盲目的に受に溺れてしまい、勉強も部活も、将来の夢さえも捨てそうになる。思春期特有の行き場のない熱、子供であることの痛々しさといったものが、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていて、とても良い。健気な受が選んだ幕切れにじんとくる。
2部は社会人になってからの話で受視点。1部の魅力はどうしようもない遣り切れなさ、青春の残酷さ、といったものだったが、ここではその辺が「反省した」「大人になった」攻さんにより綺麗さっぱり排除され、それと同時に一気に平坦になる。再会シーンはそれなりに感動的ではあるものの、以降はとんとん拍子に事が運んで、いや何か波乱があるはずだ、と思いながら読んでいたら最後まで行ってしまった。こういうしっとりした話も大好物だが、1部であれだけドロドロしたのに2部はこう来るのですか、大人になりすぎじゃないですか、と思わずにはいられない。恐らく攻も10年の間に苦労して「大人になった」のだろうが、いかんせん10年ほったらかされた受視点なものだからその苦労がぼんやりとしか伝わってこないため、尚更そのような印象になる。
(でも個人的には凄く好きなんですこの穏やかな甘さが……)
3部は2部から数年後で攻視点。エピローグとして捉えてよい。やはり穏やかな甘さに満ちた幸せな二人を描いている。
というわけで、1部も2部も3部も、話としては良い。だが、1部と2部(+3部)の方向性というかテンションが全く違うので、1つの作品として読むと整合性に欠け、少々戸惑うのも事実(恐らく1部と3部は商業誌に発表済みで、その後2部のみ書き下ろした、という事情も背景にあるのかもしれないけれど……)。膿んだ熱の塊のような1部と、良くも悪くもまったりした2部がほぼ同じ分量なのも違和感の原因の一つだろうか。
上記の「いびつさ」に加え、その他の点でも瑕疵が目立ち、小説としてはあまり「上手く」はない。受さんのワルなエピソードも爺様の話も、彼の孤独を印象づけるには必要だったのだろうけれど、どうにも不発といった印象が拭えない。再会シーンも出会うことを地の文でサクッと予告していて美味しさが半減。読んでいても時折「あれ?」と思う箇所があり(「ありがとう」って前にもう言ったよ!とか受さんは高校時代攻さんのこと連れ回してたじゃんか、とか)、文章自体もややこなれていない感じがする。そしてこれは誤植だと願いたいが、地の文(内的独白でもなんでもない部分)でら抜きが一つ……。
……とまあ、批判ばかりになってしまいましたが、それでも1部の熱と2・3部の甘々がどちらも好きなのと、いい感じに不憫な健気受の可愛さにハマったのとで、再読率は高めになりそう。大変美味しゅうございました!
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学生時代の攻めの熱と溺れようが怖い。
大人になった部分を読んで単にそういう気質の子(目的一直線)だったんだなとわかってちょっとホッとしたり。
BL的萌えというより二人の成長して寄り添っていく物語をのぞかせていただいたな。という感じ。