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複雑系の本を買ったのは久しぶり。複雑系ブームはもう去ったのかと思っていたらこんな本が発売されたので買ってみた。複雑系という考え方は面白いと思うので、もうちょっと良く理解したいです。
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ヒトゲノムの進展があり、人間の細胞がアメーバやその他の単細胞生物の同程度または遥かに少ない数しかないのに遥かに複雑な進化と行動が生まれるのは単純な細胞の数の多さが生み出すものではなく、細胞間のネットワークとコミュニケーションの複雑性によるものとされる。
これに対してこれらの複雑系を取り扱えることが人類の生物間での競争優位性を生んできたのであれば、これらの複雑系をより上手く扱えるものが生き残り繁栄していくと考えられる。
なおかつ単純であればあるほどどんなに大量のデータ計算も一瞬でコンピュータが実行できるようになったこの時代においては、より複雑な複雑系を取り扱える科学者やビジネスマン、ひいてはより複雑系を巧く取り扱える企業や国家を競争優位性を有していくと考えられる。
と思った。
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サンタフェ研究所の第一線の研究者が、複雑系の現在について自らのせいかを交えながら概論した最高レベルの一般向け書物。
セル・オートマンやフラクタル、ベキ乗分布など一般化しつつある複雑系科学の言葉だが、さらにそれを深く分かり易く掘り下げているのが他の書との一番の違い。
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自然・社会現象の理解を先人たちがどのように試みたかをまとめて読むことができる良書。一部難しいところがあるけれど、飛ばして読んでも十分楽しめる。
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初めて複雑系の概念に触れてから二十余年、本書を読む限り歩みは遅々として進んでいないように見える。
それでも数多の秀才がこの分野、概念の灯を守り続ける。
突破口を開いてくれる天才の出現を待ちながら。
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円城塔作品を読んでから複雑系に関してぼんやりと興味を抱いていたので読了。そうか、複雑系も総合学問領域なのか、と目からウロコ。「講義ノート」とあるだけあって中身は門外漢からするとやや難解な部分もあり(第九章のアルゴリズム、わけわからん…)??となりましたが、高校までのぼんやりとした知識だけで楽しんで読むことができました。満足。
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カオスー初期条件に対する鋭敏な依存性
一般的な複雑系の話は網羅されていると思う。
あとは数理的理解に挑戦したい!
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複雑系研究のメッカであるサンタフェ研究所に所属する著者による複雑系理論の解説です。本格的な入門書となっています。
人間を含めて生物がやっていることは突き詰めて言えば「計算」だといい、すなわち生物が持つ複雑さは計算が持つ複雑さに帰着すると書かれています。セル・オートマトンやチューリングの計算可能性理論のところはやっぱり難しいですね。
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複雑系がいかに未だ不完全な学問であり、魅力的な現象と可能性を孕んでいると感じた。生命がどのように適応し、進化していったのかがとても興味深い。生命にとっての適応と進化のルール(コード)はシンプルなものなのか、気になるところだ。
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ガイドツアーという署名の通り、複雑系科学の概観を紹介する内容。
はじめに「複雑系とは何か」について、明確な定義はまだ無いそうだ。逆にそれを知る事が目的とも言える。
とはいえ共通する特徴はある。
・単純な個々のユニットが集合すると、予測不能な振る舞いをする
・ユニット同士が影響を与えあい、信号を伝達する
・硬直的ではなく、環境に適応して振る舞いを変える
まとめると、「数多くのコンポーネントから構成されながらも、単純な運用規則を持つのみで中央制御機構を持たない大規模なネットワークから、集合体としての複雑な振るまい、複雑な情報処理や、学習、進化による適応が生じるシステム」となる。
複雑系科学は、こういった特徴がなぜ生じるのか、どのような法則があるのか、どのように制御する事ができるのか、について知る事を目的としている。
「創発的で自己組織化する振る舞いを示すシステム」の例は、
・蟻のコロニー
・免疫
・遺伝と進化
・代謝
・コンピュータによる類推
・セルオートマトン
・遺伝アルゴリズム
など、多岐にわたる。
複雑系の難しいところは、適応されるジャンルが多岐にわたる為、それぞれの分野の専門家同士が協力する必要があるところ。例えば、生物の代謝スケーリングに関する研究のため、生物学者と理論物理学者が協力するというに。しかし、この構造は「個々のコンポーネントの働きが、全体としてより大きな機能を生む」という複雑系の考えそのものである事が面白い。
自分が複雑系の何処に魅力を感じているのか考えると、つまり個々の単純なユニットが作り出す全体のパターンに、生命の息吹のようなものを感じるからではないかと思う。
本文中で紹介されている書籍で、読みたいものをメモ。
「サイバネティクス(ノーバート・ウィーナー)」
「自己組織化と進化の論理(自己組織化と進化の論理)」
この2冊は過去に途中で挫折したので、再挑戦したい。
「ゲーデル、エッシャー、バッハ(ダグラス・R・ホフスタッター)」
ずっとAmazonのほしい物リストに入っているので買いたい。
「遺伝アルゴリズムの方法(メラニー・ミッチェル)」
プログラムの実装で参考にしている「複雑系のシミュレーション」という本を書かれた伊庭先生が翻訳されているので、ぜひ読みたい。
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ヒルベルト、チューリング、ノイマン、アクセルロッド、バラバシなどの豪華な歴々の名前が次々と出てきて、各章ごとにその分野のとても丁寧な解説本になってはいるのですが、逆に多岐な分野を横断しすぎることで複雑系それ自体の名前を書名に冠するにはやや漠然としてしまった印象は持ちました
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人工知能の周辺分野として複雑系の研究に興味を持ち手にとる。
複雑系(自然や社会における振る舞いなどのシステムを紐解こうとするという解釈)について学ぶ上で必要な概念や知識、歴史を述べた後に複雑系で扱っている領域についての例(アリのコロニーの様子、免疫系のメカニズム、自己生命の複製、進化のメカニズム、様々なネットワークの振る舞いなど)を楽しめる。
注釈も多いが比較的専門的な話題を取り扱っているため、情報科学についてある程度の知識がないと読んでいて辛いかもしれない。
個人的には読んでいてとてもワクワクして読めた。
進化や遺伝のメカニズムしかり様々なメカニズムについての知識を知ることができた上に、特に進化についての知見とネットワークについての知見について関心をもったのでまとめる。
進化はダーウィンの提唱した自然選択によって漸進的であり、メンデルの提唱する不連続な変化の積み重ねによって生じる。
自然選択は有限な資源の競争によって生まれ、親から子へランダムな変化が生じた結果、環境に適応した変化を起こした種の数が増える。
人間にはたくさんのサンプルから共通性や類似性を見出す能力に非常に長けている。
病原体にはランダム性を取り入れてウイルスから身をまもる性質がある。
アリのコロニーは情報が蓄積されるにしたがってランダム性を減らしている。
見込みに応じて資源を割りあてる。これは人間の脳のメカニズムとも同様でありそう。
物事はそれぞれ個体の振る舞いを明確にすることだけでなく、それらの関連性を見出すことで新たな発見が得られる。
人間の知能のメカニズムも同様で、様々なエージェントがそれぞれと連携・強調・競争をする
ことで問題を解決するように、複雑なネットワークを解明することが人間の知について明らかにする
ことができると考える。
そのネットワークサイエンスにおいてスモールスケールネットワークが応用では多く使われている。
(このネットワークは長距離ノードは少なく、ネットワーク間の平均距離が短いネットワークである。)
このネットワークはランダムなネットワークのノード削減には強いが拠点(ハブ)が消えると脆弱性を示す)という概念である。
例えば脳もスケールフリーでスモールスケールなネットワークであり、ある脳細胞がを受けてもさほど影響はないが、主要な機能をつかさどる海馬などが損傷した場合、甚大な影響をうける。
脳がこのようなネットワーク構造を持つ理由は、進化の過程で全部が結合していたらエネルギーの消費が多過ぎるからであると述べている。
メモをまとめただけであるが、まだまだワクワクすることが面白く書かれていた。
ネットワーク構造を解明することで世の中で曖昧な領域について新しい発見が次々と生まれてくる予感さえする。
考えたこと:
抽象概念を知ろうとするのは、それを使っていろんなことがしたいって人に���る気がするように考える。
究極人間の好奇心から生まれるのかと。
遺伝子の複雑さは個々の総和ではなくそのネットワーク構造に起因する。
人間のネットワークも似たようになりそう(どんな人がハブにいて自分自身の社会的役割や潜在的な貢献がネットワーク構造で解明できたら面白そう)
この本を読んで、進化生物学と遺伝、ネットワークサイエンスに非常に関心をもったので感謝している。
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複雑系科学の総本山、サンタフェ研究所の客員教授であり、ポートランド州立大学教授でもある学者の本。著者自身は、情報工学の専門家で同著内でも遺伝的アルゴリズムの説明に詳しい。また、同著では生命科学、生物学分野での複雑系の説明も多く、詳しい理論は理解できずとも、生命の不思議ささらに垣間見ることができて、好奇心を大いに刺激する。本の最後に書かれている「複雑系って一体に何」を取り扱う章は面白く、複雑系がアンチテーゼとして生まれつつ、自らの定義や学問の中での位置づけを、学者自身が苦悶していることがわかる。道理で、複雑系の本をいくつか読んでみても、いろいろな具体例や発端が説明されるだけで体系的には理解しづらいと思うものだと、気持ちが晴れて、余計に複雑系のことが好きになった。
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多くの学術領域にまたがる複雑系こそ真理に至る道と言えるのでは、という期待を胸に本書を手にとったが、どうやら少し違う模様。理由の1つは、複雑系で現す世界が真理の1つの側面であり、1つのモノの見方に過ぎないと思われるため。もう1つは、複雑性の定義すら未だ確立されておらず、真理に至る道(統一理論と呼ぶらしい)を求めるには学問として若過ぎるため。それでも多くの学術領域に新しい考え方をもたらしたという点で、そしてまだまだ未開の学問である点で、非常に興味深い。
本書では「自己組織化する集合の仕組み」「進化など自然界のシステムにおけるランダム性の影響力」「コンピュータで再現する生命」「フォン・ノイマン型アーキテクチャの限界」「モデリングによるシュミレーションとその弊害」「ネットワークとスケーリングに現れる"べき乗"則」などなど、現在進行形で探求の進む複雑系の各分野について満遍なく、それも批判的な見解も含めて紹介してあり、その中から特に興味を持った分野へ進むための導入とするにはうってつけだった。また、上記解説を始めるにあたり「力学」「カオス理論」「情報の伝達と計算」「進化と遺伝」などベースとなる領域の歴史(主流となった考えの推移)についても十分ページを割いてあり、科学から離れて久しい読者にも優しい作りとなっている。したがって複雑系という学術領域に対する網羅的でかつフェアな入門書といえる。
なお本書は2回読んだ。というのも、私は遅読のため約500ページ(注釈除く)という分量を読んでいるとはじめの方の内容を忘れてしまう問題が発生するのだが、次の本に進みたい欲求を抑えて再度読み返すことにより後半の内容と前半の内容がリンクして少なからず理解を深めることができた。そのためレビューを書くのに購入から1ヶ月以上も経ってしまったわけだが、それでも上記で挙げ連ねている内容に抜け漏れも多く、とても理解しきれたと言い難いのは誠に遺憾である。その朧気な理解の中では社会科学分野のシュミレーションが面白そうだと感じたので、この方向に食指を動かしていこうかなと思う。モデリングによる予測はできそうなものだが、さてそれは操作/誘導できるものなのか非常に気になるところ。ひと昔前からバズっているビッグデータやデータサイエンスとも絡んできそうで興味は尽きないが、興味の推移に遅読がついて行けないありさまでとてもツラい。でも先ずはもう1冊ぐらい複雑系の本を読んでみるかな。できればもう少し薄いやつを。。。
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計算機科学を基盤に,いわゆるカオスを研究している著者による,カオスに関連したトピックを網羅的に扱った一般向け講義を基にした内容.著者の専門ということもあり,様々なトピックの中では,生物学に関連したものが多め.一般向けということもあって,カオスそのものの事例だけでなく,背景にある物理学・生物学についても丁寧に説明されていて読みやすく,勉強にもなった.前半は20世紀の物理学・数学における発見により,従前の予測可能性や理論の完全性に対する期待が破られた,という文脈の中に,カオスを置いている.シンプルなモデルから,ランダムに見える結果が生じ,更にそれにも実は当初のモデルからは想像できなかった規則性が見いだせるというのが,カオスの骨格.遺伝的アルゴリズムの例にあった掃除ロボットのプログラムが面白かった.また,Wolframが考察した,1次元のセル・オートマトンの話は全く知らず,非常に興味深かった.生物の代謝などを規定する4分の1乗則が,血管のフラクタル構造の次元に起因しているという説も.あと,著者がHofstadterに師事するきっかけになったエピソードが,個人的には良かった.私は地球科学の専攻で,この手のトピックが直接関わる話は今のところ気象くらいしか出てきていないようだが,どちらかというと数値シミュレーションやそれに基づく予測のような分野で,この分野の知見が生きる可能性はあると思った.