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過去に読んだいくつかの福岡氏の他著との重複が多く、特に前半はまとまりに欠ける印象が否めず、やや不満が残る。既に読んだ内容をさわり程度に書かれているだけに見えるからだろうか。
あまりに簡素な感じがしたので、細かいコラムのようなものをつなぎ合わせた本なのかと後付けを確認したが、それほど細切れに書かれたものでもないらしい。
ついこの前読んだ「センスオブワンダーを探して」と重なる部分が非常に多かったので尚更かな~。伸一少年が博物館へ発見した虫を見せに行く話とか、フェルメールの話とか、ネオテニーの話とか…。
重複しつつもところどころ心に留めておきたい言葉なども見つけたし、後半8章9章あたりは興味を引く内容もあったが、う~ん、物足りない。
似たような本を書きすぎ??読みすぎ??
追記。
一年以上前に買ったきり読んでいなかった「働かないアリに意義がある」という長谷川英祐氏の本と、スティーブン・グールドの「ワンダフル・ライフ」(こちらは5年以上も積読…)が紹介されていた。そうだった、まだ読んでなかったっけ、と思い出した。読もう。
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著者である「福岡伸一」氏が生物について語ると、まるで輝きを放つ宝石のごとく美しく、愛おしくなるのはなぜだろうか。
それは福岡氏が、生き物に対する飽くなき好奇心とセンス・オブ・ワンダー(自然などからある種の不思議さを感じ取る感性)を備えているからだとおもう。
エントロピーの増大という不可避な「死」を運命づけられているすべての生き物が、その短い命の中でこれほどダイナミックに生を謳歌しているという事実。
リチャードドーキンスが利己的な遺伝子で、生物は遺伝子の運び屋でしかないと僕ら人間にとっては非常に「味気ない」生命観を提示していたが、福岡氏のいう「動的平衡」な生命観は、まさに「自由」という翼を与えれくれる。
知性と教養を兼ね揃えた著者のようになれれば、きっと世の中違って見えてくるはずだ。
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私のように遺伝子とか生命現象については全くの素人にはとても楽しく読める本。
福岡先生の絵画や音楽に対する造詣の深さにも感銘。
衝撃的だったのは、「この世に因果関係は存在しない」という項目でした。サイエンティストがこんな風に言い切っていいの?と思ったのですが。後から、先生は昨年人文系の教授に転身されていることを知り、なるほどねぇ、と思った次第。
http://podcast.jfn.co.jp/poddata/susume/susume_vol307.mp3
兎に角、せっせと良質の水を摂りつつ、出来るだけ必須アミノ酸のひとつであるロイシンを口にして、適度な運動を心がけ、健康な毎日を過ごすことに心がけるか・・・。
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爆問学問で福岡さんのお話しを聞いた時はかなりときめいてしまって第一弾を買いました。私としては東洋医学とリンクしてお話を聞いてしまいます。
その後メディアで大活躍の福岡さん。
良い意味でカテゴライズに困る世界観です。
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前著である「動的平衡」の続編である。が、前著を読んでいなくても問題は全くない。というのもこの作者「生物と無生物のあいだ」からあまり主張が変わっていないからである。良く言えば、心が通っている科学者であるが、読み手から見ては、またこれかよ!なんて思ってします。
著者は処女作から一貫して、「生命とは何か」ということを問う。
それは、動的平衡つまり絶えず変化してエントロピー増大の法則に対抗していることであると主張する。今回も、この主題をあるときは音楽に、あるときはダンスに例えて技巧的に表現している。筆者の優れている点は、現象の比喩が巧みであり、言葉選びにセンスがありまるで小説を呼んでいる錯覚に陥るということであると思う
今回の著書の新しいトピックとしては、エピジェネティクスである。これは、遺伝というのは同然先天的な要素であるが、それに加えて外部の環境に適合するように遺伝子のスイッチがONとOFFになることで多様性が生じるという仮設である。
生命は遺伝子の設計図の通りに作られるというのが高校生物から学ぶことであるが、我々の住んでいる社会を見渡すと多種多様な人間がいる。
これは環境による差異が遺伝子のONとOFFのタイミングを遅らせ(又は早まらせ)、多様性を構築しているのだという。
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e_r2d2さん
ご連絡ありがとうございます。昨年、11月下旬よりツイッターをサボっています。が、2012年最初に読んだ本は「動的平衡2」(福岡伸一著)です。ある意味衝撃を受けました。科学の本を読んだことがなかったので、これから、読むように心がけます。文系の、私にも面白かった!
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エッセー集。発表先が異なるものを集めているせいか、前作に比べるとややまとまりがない印象だが、話題の豊富さ、文章のうまさはやはり際立っている。
丈夫なものを作るには、頑強に作る方法(建築物など)と、生命のように動的平衡を維持していく方法がある。頑強なものはあまりメンテナンスを必要としないが、いずれは寿命がくる。動的平衡を採用したシステムは日々、部品を入れ替え、環境に適応していくことで永遠に生きることもできる。
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遺伝子以外の何かが生命を作っている、かもしれない。時間軸を意識しなければならない。全体としては、著者のいつもの主張で、自分の中の動的平衡を想像しながら、少しおかしな気持ちになれる本です。
印象に残ったのは、9章の「木を見て森を見ず」。CO2や放射線で騒いでいる世の中に対して、細胞と同じで、全体は見えなくても、お隣にヒントがあるかもよ、というお話。そうなのか。そうなのかも。
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福岡さんの『動的平衡』では、日々細胞がいれかわりつつ、生命体を維持するという発想に衝撃を受けた。
その2がでたということで購入。
相変わらずおもしろいが、何となく、エッセイ風。
(1)チンパンジーに比べて、人間のDNAはスイッチがオンになるタイミングが遅い。ひとは長い期間、こどものままでいる。(p210)
前提として、DNAだけでは、ひととチンパンジーの違いが説明できず、スイッチの入り方が大事という仮定がある。
(2)腎臓の仕組みは、浄水器より圧倒的に優れていて、一度、血液をすてて、必要なものを再度とりこむという仕組みなので、濾過材などの交換がいらない。(p221)
(3)私たち人間は、真偽、善悪の次には、美しいか、美しくないかという判断基準が大事になる。(p247)
なんとなく納得できるのだが、最後の話などは、ちょっと思いこみチックになっている。
福岡さんには、科学者としてのアウトリーチに踏みとどまって欲しい
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「生物と無生物のあいだ」から一貫した主張。「変わり映えなし」という印象ではなく、何度も「やっぱりそうだった」と思える。生命現象から、社会問題解決へのヒントを学ぶ。
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この人の考え方は、一貫しているし、とても面白いと思う
けれど、なんだか物足りなく感じてしまったのは、何故だろうか。
動的平衡の続編だしねー、仕方ないのかもしれないけれど。
エピジェネティックスという考え方はとても興味深かったです
遺伝子がどのようなタイミングで活性化されるかで、ヒトとチンパンジーが違うかもしれないだなんて、(勿論遺伝子にも差異はありますが)、想像するだけで面白い!
チンパンジーのネオテニーがヒトだって、なんだか魅力的よね
福岡伸一の本は、生命の不思議について様々な想像を私たちにさせてくれることがとても面白いと思います
それから、マイケル・クライトンの、アンドロメダ病原体、を読んでみたいなと。
これはメモです笑
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生物は遺伝子によって決定されているかをテーマに、ドーキンスのミームや大腸菌による遺伝子工学、DNA修復系を中心に意外にフレキシブルなんだと結論付ける。
芸術・物理・化学ととにかく幅広くレンジで記述される作者の守備範囲の広さで読書を楽しませてくれる。
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生物学者、福岡伸一の新刊。面白い。この人の本を読むたびに、生物学者というものに憧れます。血も動物も虫も苦手ですが。
すべてのシステムは、摩耗し、酸化し、ミスが蓄積し、やがて障害が起こる。つまりエントロピー=乱雑さは、常に増大する。このことをあらかじめ織り込み、エントロピー増大の法則が秩序を壊すよりも先回りして自らを壊し、そして再構築する。生物が採用しているこの自転車操業的なあり方、これが動的平衡である。P243
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『生物と無生物のあいだ』で、生命現象を特徴づけるのはドーキンスが提唱した自己複製だけでなく、たえず合成と分解を繰り返しつつ一定の恒常性を保つあり方、すなわち動的平衡にあるのではないかと主張した著者が、エピジェネティクスという新しい生命観に注目し解説している。同じ遺伝子を持っていたとしても、遺伝子の動くタイミングや順番、ボリュームが異なるからこそ多様性が生まれるのではないかということだ。確かに、遺伝子の突然変異だけではカンブリア紀の爆発的な生命の横溢とその多様性は説明しにくい。楽譜は同じでも演奏家が出す音の強弱でまったく異なる曲のように聞こえるように、遺伝子の発露のタイミング、強弱で多様性が生まれるという仮設はそれなりに説得力があるように思った。
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福岡伸一のサイエンスエッセイ。
持論である動的平衡状態にまつわる様々なテーマ(芸術からCO2の問題まで)を取り上げる。DNAからタンパク質、必須アミノ酸、昆虫、大腸菌、フェロモンなど、分子生物学者の著者は生命に関わる多くの話題について考察しているが、ややまとまりのない印象で、タイトルとの関係はいまひとつわかりにくかった。エッセイは面白かったけれど、読み終わった後に著者のメッセージみたいなものは特に感じられなかった。このシリーズは続くのかな。