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コミック版で担当させて頂いている水谷修氏の最新作。しかも氏の代表作である「夜回り先生」シリーズの最新作という位置づけでもある。このシリーズは常に具体的な「夜眠れない(眠らない)子ども」たちとのエピソードの強烈さに、しばし読む手を止めて、目をつむってしまうことも多い。事実であるだけに、漫画のストーリーのように都合よくは展開しない。悲惨な結末だったり、途中で途切れてしまうようなエピソードも少なくない。しかし、タイトル「ありがとう」が示すように、本作は嬉しい涙で締め括ってくれるエピソードばかりで、心がポカポカ温かくなる一冊である。宮城県で被災したリストカッターの少女が「先生、ありがと」の一言にまで辿り着く最終章は、氏が、震災後の日本人へのエールとして記した一編だろう。ぜひ読んでほしい一冊。
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夜回り先生のご本。
本屋で積んであるのを見かけた時、心が動いた。懐かしいという感情だったろうか。「そういえば最近はどうされていたのだろう」と本の表紙の夜回り先生ご自身の写真を見て、事後的ながら思いが巡った。
夜回り先生の本を読んだことは実はなかった。初めの著書である『夜回り先生』はいつか読んでみたいと思っていたが、何となくうまい機会がなかったとでも言うか、すれ違っていた。「おそらくこんな内容が書かれているのだろう」という思い込みと、それなりに周囲に恵まれている、といえるといえばいえそうな自分のために書かれた書物ではない、というひっかかりもおそらくあっただろう。なのでテレビで映る先生の優しい語りと柔らかい表情でしか、先生の姿を認識していなかったことになるのだが、その姿には心ひそかに敬意を払っていた。今回は何となく縁を感じて、出版されたばかりである本書を手に取ってみることにした。
先生に関するエピソードは断片的には把握している状態で、驚くようなことが書いてあるわけではなかった。エピソードはやさしい言葉で綴られ、小学生、中学生でも読めるだろうと思う。
基本的に傷ついた子供に寄り添いながら、最後の意志の決定は子供自身にさせるのが夜回り先生のやり方だと知った。そしてそのことによって最終的に先生に嬉しい結果をもたらしたエピソードがいくつか入っている。中には、一方的に先生が励まされているような内容もある。そしてそれらの嬉しい報告を前に、先生の「ありがとう」が発せられる。10のエピソードの最後にはどれにも「ありがとう」がある。
最後の意志決定を自身にさせるのは危険が伴うこともあるのだろうと思う。しかし、これは何が正解というものでもないのだろう。現に哀しいいくつもの結末が先生の中を通り過ぎていっている、と先生は語っている。104人の子供の命を失い、6人の子供は殺人の罪を犯したと。どうしてこんなにたくさんの哀しみと向き合うことができるのだろうかと、改めて驚きの念と敬意を払わずにはいられない。
そして「哀しくて、つらくて、書くことができなくなってしまった」という先生の何年かのことを想像する。この本を書くのは先生ご自身にとっても希望の光であったのかもしれない。
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水谷先生が関わった10人のお話。
少年だけでなく、教員のお話もありました。
この10人はみんな水谷先生との関わりで前向きな道へ進むことができました。
その10人すべてに水谷先生はありがとう、という気持ちを返されています。
先生のところには3月11日の震災以降も、毎日のように、死にたい、リストカットしたい、と書かれたメールが届くそうです。
上手く言えませんが、今、死にたいとか生きている意味が分からない、と考えている人にこの本を読んでもらえたらいいな、と思います。
もちろん少年だけでなく、社会で働く人や親になった大人たちにも。
きっと感じることはそれぞれで、「偽善」や「エゴ」という言葉で切り捨ててしまう人もいるかもしれません。
それでも、わたしがこの本から色んなことを感じたように、きっと、色んなことを考え、感じる人がいると思います。
少しでも多くの人に読んでもらえたらな、と思い感想を書きました。
いつか水谷先生の講演行ってみたいなぁ。
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震災後に書かれた夜回り先生の本。今回は、メールや電話講演などでしりあった子どもたちが笑顔を取り戻していく事例ばかり。夜回り先生シリーズのような大きな事例はない。水谷先生の「許し、信じ、待つ」姿勢が伺える。
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夜回り先生の著書。タイトルがあったかい。
水谷さんがこれまでかかわってきたひとが、変わっていくエピソードが収められている。ほんの一部やろうけど。
水谷さん自身、本書のなかで自分の活動について、これまでたくさんの哀しい思いをしてきたが、それと同じくらいうれしい気持ちも感じてきた、という。それがこのタイトルである『ありがとう』につながっている。
でも、正直哀しいことのほうが多いと思うし、何よりつらい役割やと思う。なんでこんなにも妥協せずにひとに優しくできるのだろう…。
読んだだけで終わらず、自分も何か変わろう、と思いたい。思わなければならない。そうでないと、夜回り先生の思いは途切れてしまう。なんてつらくて重い活動やろうか。
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泣きました。水谷先生の講演会を聴いたことがるので、水谷先生に語りかけられているような気持ちで読みました。
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眠れない夜に、一気に読み上げてしまいました。
今までの水谷先生の著書は本当に哀しいものが多かったけれども、この本は、困難のなかで自分の足で立って、一歩一歩自分の人生を築いていった夜回り先生の「生徒」たち。
ごめんなさい、先生。この本読んで、自分もこの「生徒」と本当に同じような想いで、「ありがとう」のメールを送ってしまいました。
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苦しむ子供たちのことを知ると自分の悩みのちっぽけさを知らされる。子供たちが這い上がろうとしているのを見ると努力をしない自分が恥ずかしい。
立ち直っていく子供たちに水谷先生自身も救われているのだと知った。
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心に傷を持つ子どもたちの気持ちを少しでも知りたくて手に取ってみたけれど、自分まで救われた気がする。悲しい事実と生きる力をもらえる言葉が詰まっていた。
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「苦しいと、つらいと、哀しいと、
私は空を見上げます。
そして、自分に言い聞かせます。
この苦しみ、つらさ、哀しみの向こうには、
必ず、子どもたちの笑顔が待ってると。」
水谷先生をよくワイドショーでよく見ていたけど、忙しい中でも見回りしたり、メールを返したり、目の前の子どもとリアルに接してたんだなと大変驚いた。
私も子どもと接する立場であるからこそ、目の前の子どもと一緒に過ごす時間を大切にしていきたい。そして、信じていきたい。