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ボクシングの文化史 みんなのレビュー
- カシア・ボディ (著), 稲垣 正浩 (監訳), 松浪 稔 (訳), 月嶋 紘之 (訳)
- 税込価格:5,280円(48pt)
- 出版社:東洋書林
- 発行年月:2011.12
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紙の本
野蛮?それとも高貴なスポーツ?絶えずイメージ化されるボクシングを問う一冊。
2012/02/05 12:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書痴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ギリシアから現代まで、ボクシングが、社会や芸術に与えた影響を、文化史の視点から解説した本書、読みでがありました。
ボクシングといえば、その試合内容やボクサー自身(個性や闘い方など)に注目が集まりがちですが、本書は、絵画、彫刻、文学、写真、TV、映画などのメディアを通して、ボクシングやボクサーが、クリエイターや観衆に、時代ごとにどのようなイメージを与えてきたか、特に英米の人種問題を提起し論じている点が特徴です。
論拠として、ボクシングを題材にした小説や映画を、数多く引用しているので、一種のガイドブックとしても読めます。
19世紀のイギリスでは、紳士階級やパブリックスクールにおいて、剣などの武器を手にして闘うのは、軟弱な外国人と思われ、ボクシングを尊重、奨励する気風があったことを理解すると、シャーロック・ホームズがボクシングをたしなんでいた理由にも肯けます。ギリシア・ローマの健全な肉体美の象徴として、表紙カバーの彫像のモデルとなったボクサーが、ユダヤ人だったという事実は、その後の人種問題や階級対立を想起させます。
20世紀から現代までのアメリカでは、白人と黒人の人種対立に、ボクシングも利用され、政治思想やイデオロギーを代弁しているボクサーとして、モハメッド・アリが出現。黒人チャンピオンに対して、白人が長い事望んだ『白人の期待の星』(白人チャンピオンの出現)は、人種対立の皮肉ともとれます。
豊富な図版とあわせて、ボクシングが持つざまなイメージの変遷を、興味深く読みましたが、ただひとつ不満に感じたことは、対象が英米に限定され、それ以外の日本を含めた世界に関しては、一切触れられていないことです。例えば、中国の義和団の乱(英訳はボクサー・レべりオン)や、日本のコミックなどにも言及していれば、より面白く読めたのではないかと思います。
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