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面白くないわけではないが、努力のいる本だった。
ある程度、イスラーム法学派などの知識がないと、かなり読みにくいのではないだろうか。
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西洋の絵画と細密画では、根本の芸術に対する考え方が違い、それがオスマンの絵師には脅威に写り、自分の存在基盤を揺らいでいく。
時代は遠近法の西洋が、個性を盾に細密画を飲み込んでいく。
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物語の挿絵を様式に則って描くことを是としてきた細密画師が16世紀イタリアルネッサンス期の肖像画(テッィツィアーノか)を見てその手法のみならず,画家とのその対象の自意識(Identity)に触れた衝撃を記している。
パムクは,万華鏡のように視点を変えて物語を紡いでいく中で,命なき者にも語らせている。絵画に書かれた犬,大木,金貨,そして"赤"
シェキュレとカラの愛の駆け引きもとても奥深く,官能的。
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訳者あとがきを見ると、この小説は、「東洋絵画と西洋絵画の相克に対峙した芸術家たちの葛藤というスリリングなテーマ」で書かれているようだ。
それに歴史小説、推理小説としての娯楽性や神秘性が混ざりあい、イスラムの細密画といういまは失われた美麗な世界を通して、滅びゆく東方の文化世界が絢爛豪華な装飾写本さながらに描き出されていると述べられている。
まとめれば、確かにそうだと思うが、イスラム文化やオスマン帝国と西洋諸国との対峙といった歴史的背景になじみのない自分には、ほとんど理解できず、読み流すだけに終わってしまった。
また、描かれている「模倣を強いられた絵師がその名誉を守るため、針で自分の目を潰すとか、盲目になることに栄誉を感ずる」といった恐ろしいほど崇高な境地には、とてもついていけず、離脱するべきかと思いながら、加えて、睡魔に何度も襲われながら、なんとか読み終えたというのが、正直なところ。
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後半、怒涛の展開。最後まで先が読めなかった。
ストーリや作品全体の仕掛けも、なるほど面白い。
他の作品も読んでみたい。
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門井慶喜氏の「マジカル・ヒストリー・ツアー」を読んで興味を持った作品。細密画やイスラム教について、多少予備知識があった方が分かりやすいと思う。一人称多視点という珍しい形態のミステリで、犯人が分かったところでもう一度読み返してみたくなった。
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ちょっと読みにくすぎる…。
とどのつまり、ある絵師が殺されて、その犯人を探して、最後は犯人が殺されてちゃんちゃん。
イスラムの文化というのが分からないからこんなにも読みにくかったのだと思う。
神とか悪魔とか本気で出てくるし、過去の偉人のことを思って目を潰したり、もう理解できない思想、思考ばかり!
きっともう一回読んでも読みにくいと思う。
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西洋美術の卓越と限界、そして、イスラムの細密絵師の世界を対比する形で、物語は進み、終わる。
謎解きの要素は少ない。
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これは、、、ミステリーなのかな、、、。
細密画の様式から犯人を推理していくシーンがスリリングなんだろうけど、全然分からん。
様々な当時人物ばかりか人以外の物まで語り手として登場し、多視点で物語られる物語は、常に緊張感をはらんでいて面白い。
背景知識が乏しかったのでよく分からないところも多かったけれど、それでも十分に面白かった。知らない世界だから面白いし、こんだけ人を惹きつけている。さすが、ノーベル文学賞作家。
『雪』と本作、長年の積読作品がようやく読めた。
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冗長な部分を読み飛ばしてしまった。
オスマン棟梁はカラと一緒に犯人探しをしてるのかと思ったら、実はそうではなく、工房の様式を守ることに固執して?自分の眼を潰してしまうというあたり、よくわからない展開。
確かに『薔薇の名前』に似た要素が多いけれど、視点が次々変わる形式のせいか、(写実的に描かないという細密画と同じように)制限された表現のせいか、背景に馴染みがないせいか、読みにくさがある。
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数ヶ月前に読んだ同じ著者の『赤い髪の女』がとても面白くて、ぜひ同じ著者の本を読んでみたいと思って読んだ本。歴史と美術が関係していてミステリーらしい、ということがあらすじで分かり、なんかダヴィンチ・コードみたい、ぜひ読んでみたい、と思って読んだ。「訳者あとがき」に書いてあるあらすじがとても分かりやすいので、少し引用する。
「舞台はイスラム暦一千年紀の終わりがおし迫る十六世紀末のイスタンブル。半世紀前には栄華を極めたオスマン帝国も、隣国であるサファヴィー朝ペルシアとの長い戦に疲弊し、巷には雁金が横行、人々は音曲や絵画、葡萄酒や珈琲に耽溺し、そうした不品行を過激に糺そうとするエルズルム出身の説教師とその一党が帝都には跋扈している。そんなある日、皇帝の細密画工房に属する絵師が何者かの手によって謀殺された。その背後には、愚像崇拝を固く戒めるイスラムの教義とは相いれない、秘密の装飾写本の存在が見え隠れするのだが、犯人の正体は杳として知れない。ときを同じくして十二年ぶりに帰京した主人公の一人カラは、否応なしにその事件の解決を迫れていくー」(p.427-8)という話。それぞれの章で、「わたしは○○」と言ってそれぞれの立場でストーリが語られていき、死人や動物、悪魔までが話し出し、タイトルにもなっている「赤」色が自分のストーリーを語るという、何とも独特な形式。「わたしは人殺しと呼ばれるだろう」という章がいくつか挟まったりして、ドキドキしながらページをめくることになる。
(ここからはネタバレになります。)正直言って、結構読むのにエネルギーを使った。中東の歴史におれが馴染みがないことも大きな理由だし、結構ストーリーの展開がゆっくりで、なかなか見えてこない。あと、拷問とかグロテスクな描写とか、生々しい筆致はすごいと思うけど、別にそんなに読みたい内容ではないし。さらに、カラの相手で、物語の半分くらいに出てくるシェキュレという女が気に入らない。なんて自分勝手なヤツなんだ、という不快感で、読んでいて疲れていた。ただこのシェキュレの台詞で、「神様、どうかお力をお貸しください。愛とは無為に苦しむためのものではなくて、あなた様の御許へ至る道のはずでしょう?」(p.34)ってなんか遠藤周作みたいだなあとか思ったけど。そして、ここからは本当にネタバレになってしまうが、『赤い髪の女』で感動したどんでん返しが、なかった。最後の最後の方、4人のうち犯人が誰なのか、というところまで来るが、実は4人のうち誰かと思わせつつ全然違う人物が犯人であることを期待していたが、遂にその中の1人だった。そしてその1人が犯人だからと言って、別に何の驚きもなく、終わってしまった。なので、文庫本2冊読んだけど、スイスイ読んだというよりは、義務感に駆られて読んだみたいになってしまった。でも確かにドキドキしたところはあるのは確かだし、いくら展開は遅くても結末を知りたいという気になりつつ結局最後まで読んだのだから、すごい本といえばすごい本なのは確か。(24/04/05)