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わたしの名は赤 新訳版 下 みんなのレビュー
- オルハン・パムク (著), 宮下 遼 (訳)
- 税込価格:1,100円(10pt)
- 出版社:早川書房
- 発売日:2012/01/01
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文庫 最優秀海外文学賞(フランス) 受賞作品 国際IMPACダブリン文学賞 受賞作品 グリンザーネ・カヴール賞 受賞作品
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高い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2021/05/29 21:40
基本的には犯人捜しものだが、それだけじゃない
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰が「優美」を殺したかが主題なのだが、われわれ日本人にはなじみの薄い細密画の絵師のお話し、西洋画(遠近法)に対する対抗意識とコンプレックス、その両方から名人といわれた人たちの中には、この先の細密画が見たくないと自分で目に針をさして失明する人までいたりするという衝撃的な事実も加わる濃厚な作品だ
低い評価の役に立ったレビュー
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2016/03/14 20:02
犯人が誰かというよりトルコの文化を語る
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トルコという国は東洋と西洋の出合う国であり、宗教も複雑な国です。
十六世紀のオスマン帝国も陰りが見え始めた時代の「細密画」というひとつの芸術に
重ね合わされて語られる、洋の東西の衝突と葛藤。折り合いをつけるということは難しく、
様々な人々が様々な思惑にかられ、語り、生活し、絵を描き、そして名人と
言われる絵師が殺される。
名人と言われた絵師は4人。「優雅」「蝶」「コウノトリ」「オリーヴ」
殺されたのは「優雅」殿。
しかし、この物語ば犯人動機探しの物語ではありません。
日本にはなじみのないイスラム世界の伝統や伝承物語、そして細密画という絵画の伝統手法。
様式美であり、西洋の文化が押し寄せるオスマン帝国には、写実的で、陰影のある全く違う様式美(=文化)との融合はあり得ません。
ヴェネツィアの偽金貨が流通するくらい、西洋がひたひたと迫ってきている中、必死に伝統様式を守ろうとする絵師、新しい西洋の手法を取り入れてしまう絵師、絶大なる皇帝の思惑。
権威というものに芸術がひれふすことはあるのか、というとどの国にも歴史的にそれまでの芸術を否定する、または、排する動きがあったのです。日本にもありました。
葛藤と戦い・・・芸術を描きながら、歴史に翻弄される人々を重厚な言葉でもって描き出します。
殺人をめぐる所はスピーディで、絵画様式を語る所は物語が全く動かず・・・なので、読みやすいとは言えなかったのですが、最後まで読んだ後の充実感や余韻は、絶大なものがあります。
ただ、迫力なだけに読み終わってぐったり。
紙の本
基本的には犯人捜しものだが、それだけじゃない
2021/05/29 21:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰が「優美」を殺したかが主題なのだが、われわれ日本人にはなじみの薄い細密画の絵師のお話し、西洋画(遠近法)に対する対抗意識とコンプレックス、その両方から名人といわれた人たちの中には、この先の細密画が見たくないと自分で目に針をさして失明する人までいたりするという衝撃的な事実も加わる濃厚な作品だ
紙の本
犯人が誰かというよりトルコの文化を語る
2016/03/14 20:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
トルコという国は東洋と西洋の出合う国であり、宗教も複雑な国です。
十六世紀のオスマン帝国も陰りが見え始めた時代の「細密画」というひとつの芸術に
重ね合わされて語られる、洋の東西の衝突と葛藤。折り合いをつけるということは難しく、
様々な人々が様々な思惑にかられ、語り、生活し、絵を描き、そして名人と
言われる絵師が殺される。
名人と言われた絵師は4人。「優雅」「蝶」「コウノトリ」「オリーヴ」
殺されたのは「優雅」殿。
しかし、この物語ば犯人動機探しの物語ではありません。
日本にはなじみのないイスラム世界の伝統や伝承物語、そして細密画という絵画の伝統手法。
様式美であり、西洋の文化が押し寄せるオスマン帝国には、写実的で、陰影のある全く違う様式美(=文化)との融合はあり得ません。
ヴェネツィアの偽金貨が流通するくらい、西洋がひたひたと迫ってきている中、必死に伝統様式を守ろうとする絵師、新しい西洋の手法を取り入れてしまう絵師、絶大なる皇帝の思惑。
権威というものに芸術がひれふすことはあるのか、というとどの国にも歴史的にそれまでの芸術を否定する、または、排する動きがあったのです。日本にもありました。
葛藤と戦い・・・芸術を描きながら、歴史に翻弄される人々を重厚な言葉でもって描き出します。
殺人をめぐる所はスピーディで、絵画様式を語る所は物語が全く動かず・・・なので、読みやすいとは言えなかったのですが、最後まで読んだ後の充実感や余韻は、絶大なものがあります。
ただ、迫力なだけに読み終わってぐったり。