紙の本
レーニンによる国家論
2023/09/02 17:26
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投稿者:哲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マルクス=エンゲルスのテクストを引用しながら、レーニンが同時代の日和見主義者を激しく非難する。
彼が批判しているのは、国家の中での漸進によって革命を擬似的に達成できるという考えをする者であり、国家は階級闘争の矛盾の現れである故にその試みは原理からして失敗する運命にあることを指摘する。
訳者あとがきでも指摘されているが、彼の過ちはエンゲルス自身が「例外的に国家が階級対立の調停者に見える期間がある」と述べていたその例外規定を深く考察しなかったこと、また官僚制など国家が少数者による抑圧を可能にするために作った機構を多数者(→全員)によって行うことで階級を消滅させると語った時、それを具体的にどのようにするのか、という滅びゆく社会主義国家の行政的な部分についての考察の不足であろう。
…云々と彼の理論に関する欠点を浅学者が現代の視点から批判をしたのではあるが、訳者の翻訳業、そしてソビエトを理解するための資料として非常に優れたものである事には相違ないと思われる。
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訳:角田安正、解説:白井聡
階級社会と国家◆国家と革命 1848-1851年の経験◆国家と革命 パリ・コミューン(1871年)の経験◆つづき エンゲルスの補足的注釈◆国家死滅の経済上の原理◆日和見主義者によるマルクス主義の卑俗化
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共産主義を学ぶ集中講座、終わり。マルクス、エンゲルスの「共産党宣言」、レーニンの「国家と革命」、毛沢東の「毛沢東語録(超訳)」を参考図書とした。
まだまだ稚拙ではあるが、学びは以下2点。
一つ目は、共産主義の真の実践者は、おそらく毛沢東ただ一人だったのであろうという理解。
パリ・コミューンの不完全さ、ソ連の自壊、この歴史的に重要な共産主義社会はいずれも現存していない。
しかしながら、中国共産党による中華人民共和国だけは、60年以上継続し、現存している。
革命家としての毛沢東と、それを鄧小平が開放路線へ導いた奇跡的な進化があってのこそだとは思うが、それほど共産主義というものがユートピア的なもの(基本的に成立し得ないもの)であることを物語っている。
そして二つ目は、世界が閉ざされ、組織や環境が硬直化すると、物事は悪い方向へ向かうということ。
そして、世の中が悪い方向へ向かう時、暴力は正当化されてしまうということ。
今まさに、世界中でイデオロギーが再燃しているように感じる。
これからの未来が不安になった今日この頃。
以下、備忘録を兼ねた概要
「共産党宣言」
マルクス、エンゲルスの主張。封建社会の終わりは、単に新たな抑圧者を生み出したに過ぎなかった。それがブルジョワ社会。階級闘争の終わりを目指したのが、共産主義革命。プロレタリア階級がブルジョワ階級を支配し、強力的に古い生産諸関係を廃止することで、最終的には階級そのものを廃止するという考え方。
「国家と革命」
国家は抑圧のための権力であり現代の国家はブルジョワジーがプロレタリアートを搾取・支配する組織である。このような階級支配を終わらせ、国家を廃絶することが究極の目的。
マルクスによるパリ・コミューンからの学びを中心に、暴力、プロレタリアによる独裁を強調。プロレタリアート革命によるプロレタリアート独裁を経て、階級は廃絶され、国家も死滅していくという主張。そして日和見主義や無政府主義への批判、決別。
「毛沢東語録」
18. 愛国主義と国際主義:日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリアを意識。すべてのプロレタリア階級と手を組んで世界の民族と人民を解放する。民族主義や愛国主義を否定。
19. 文化と芸術:階級を越えた芸術、政治から独立した芸術は存在しないとの理解。芸術の自由な発展、自由な議論を認めながらも、政治路線に属した芸術を否定。
→毛沢東が、国際的な視点や芸術に対して、これほど開かれた考え方を持っていたことは意外。