紙の本
弱者の復讐
2012/03/02 19:41
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
教師を含めた形でのスクールカーストもの
なんというか怨念のようなものを感じる設定
暗く邪悪で陰湿な、弱者の復讐と執念を描く
幼くも強烈な「プライド」こそが根幹にあるだろう
エグい展開だが読みやすく、考えさせられる内容
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201112
前作、パニッシュメントには、ラノベのふりして「信じる」ことへの根源的な問いのようなものが感じられた。
なので若干期待外れではあったが、それでも、熱量はすごい。
「俺は太っていて、背は高くない。腫れぼったい顔に不機嫌そうな目、手入れもしていない天然パーマの汚い髪」 てなルックスの主人公。
トラブルを撒き散らして、いるだけで周囲が壊れていく有害な外来種が転校して来た先は、
教師が大学への推薦枠を餌に生徒への密告を推奨し、相互監視しあうクラス。
平穏な、真っ当なクラスを取り戻そうとする鷹音。
享一は、鷹音の存在により、これまでとは違う意に反した形で壊していく。
最後の預言的なラストには衝撃。
(発売日後の訃報と最後の享一に関する記述。)
それにしてもスマホがコミュニケーション手段として、ブログ更新手段として、武器として、普通にでてきてそういう時代かと思う。
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孤独に酔う映画フリークの転校生デブが、密告蔓延る管理社会化したクラスの崩壊に挑む話。
本来ディストピアSFで描かれるような大きな物語を、高校の1クラスという極小単位に圧縮転写した、意欲作。
ラノベらしく自己陶酔的な主人公が、一貫性をもっていじめを煽る。
好きなタイプのキャラクターではないが、ラストの潔さには結構なカタルシスを感じる。
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江波光則が書く作品は、変奏曲かリフレインのような印象がある。言いたいことが一つしかなくて、それを丁寧に繰り返し描いてみせる。その点は、デビュー作の「ストレンジボイス」と是非読み比べてほしい。
作品単体としては、陰惨すぎて笑えてしまうB級映画の味わい。露悪的であるけれど、偽悪的にも感じてしまうのは作者の計算か。
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読んでいてあまり気分がよくない描写などが多かったけれど、ラストがどうなるかとても気になって結局読了してしまった。ね。。。
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決して明るい物語ではないのに、どこか癖になる。密告制度がある進学学級に、その場の人間関係を壊さずにいられない転校生が転入してき、化学反応が起こる話。愛や夢や希望は出てこず、暴力と犯罪と後ろ暗さとが出てくる話。なのにどこか夢中になる。これはヤバい。毒なのに、それが堪らないって感じ。危ない。
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内申点をネタに密告を推奨するクラス。それに対抗する破壊衝動を持つ転校生。といった殺伐とした世界の物語。最後は小さくまとまりすぎたかな。
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前作『パニッシュメント』に引き続き
興味深い筋書きのお話であるところが良いところ
高校という場でおきる事件というより状況に対し
ライトノベル風でなく現実味というより小説における登場人物的なキャラクタが
青春とか教養とかでなく冒険という非日常のひとつとして通過する話
「非日常」にも現実味を持って起こりうるものとそうでないものとに
区別され得ることを思い出させてくれるおはなしの面白さである
文芸という点で昇華されなければ一山いくらで消費消えていく種の
どこにでもあり小説にはされにくい物語